あなただけのLoveStoryW

このエントリーをはてなブックマークに追加
350343:2007/02/07(水) 01:05:13
そんな高校2年の夏。俺はちょっとした喧嘩をして補導され、停学になった。
その時は停学なんか休みを貰ったぐらいの感覚で、いつも通り夜遊び精を出して停学期間を満喫していた。
停学明けも面倒になり適当な理由をつけて休み、夜中まで騒いで機嫌よく家に帰った。
 
家の前まできて俺は時間が止まったように動けなくなった。
 
アパートの入り口の階段で瞳が膝を抱えて眠っていた。
信じられなかった。
 
混乱する頭で状況を整理していたが、頭がよく回らない。
それより瞳が風邪をひくから早く起こさないとと思い、慌てて瞳に声をかけた。
「もしもし?おねーさん?こんな所で野宿ですか?」

動揺している事を悟られないように明るく言ったつもりだったが、思い切り声が裏返っていた。
 
瞳はゆっくりと顔を上げ、俺を見て泣きそうな顔になった。
『どこ行ってたの?』
「いや…バイト」
『バカ!』
「…ごめん」
『バカ!心配させるなよバカ!』
 
瞳は泣き出した。俺は瞳の震える小さな肩に手を伸ばしかけてためらった。
少しでも手を触れたら抱きしめてしまうのが分かっていたから。
瞳が泣き止むまでただ見ている事しかできなかった。
 
 
瞳を送って久しぶりに2人で歩いた。
たいした話はしなかった。学校や友達の話、好きな洋服や音楽の話。
一年前の瞳とは声も話し方も違ったが、気にならなかった。
瞳と話しているだけで満たされた気分だった。
このままずっと話していたかった。瞳の家が近づいて来るのがもどかしかった。
 
家に付いて瞳は『ありがと。学校おいでよ』と手を振った。

家に入っていく瞳に思わず俺は声をかけた。
振り向いた瞳は『何?』という顔で俺を見つめていた。
 
「今日はどうして待っててくれたんだ?」
そう聞こうと思ったのを飲み込んだ。聞いてしまって期待した答えが返ってこないのが怖かった。

「今日はありがとな。オヤスミ瞳」
『おうオヤスミ和希』
瞳は嬉しそうに微笑んだ。一年ぶりに見た瞳の最高の笑顔だった。
 
351恋する名無しさん:2007/02/07(水) 01:10:34
いい話だなぁ。
オレも書きたくなってきた。
マテルヨ
352343:2007/02/07(水) 01:47:43
>>351
レスつけてくれてdクス。
是非オマイさんの話も聞かせてくれ!
 
俺の話は長いんだ。続きはまた明日から書くよ。
ノシ

353343:2007/02/08(木) 00:58:45
昨日の続き投下します。
 
それから瞳とはまたよく話すようになった。
学校でも顔を会わせば立ち話。放課後の教室で真っ暗になるまで話し込む事も。よく電話も来るようになった。
どれも部活の練習がキツいとか、バイクで超コケたとか、瞳の彼氏の誕生日プレゼント何にしようとか、俺の彼女の親が恐えーとか、しょーもない話しばかりだったが。

いつしか瞳は誰よりも話せる奴になって行った。
他の奴に言われたらカチンと来るような一言も、瞳に言われると何の違和感も無く耳に入ってきた。
 
結局まだ俺は瞳が好きだった。ただ同時に瞳は何でも話せる親友のようになって行く。

実際いい雰囲気になりかけた事もあった。
ただ瞳と離れた一年間を思うと、もしまた付き合っても別れが来た時にあの時以上に辛くなりそうな気がした。
 
俺は瞳とずっと楽しく過ごせる今の関係を大事にすることにした。
あの夜、家の前で待っていた瞳が泣いた事は記憶の隅っこに置いて忘れたことにした。
 
それからも瞳とはいい関係が続いた。
周囲から「ヨリ戻したのか?」と聞かれるくらい仲が良かった。

新しい彼女からも
『瞳が一番好きなんでしょ?』
とか言われたが、「あいつは中学からの大事な親友。今はそれ以上でもそれ以下でもないよ」と言っていた。

彼女に嘘を付いている気も無かった。瞳はもう恋愛対象ではなく、俺にとってもっと大事な存在になっていたから。家族みたいなもんだと思おうとしていた俺がいた。
 
354343:2007/02/08(木) 01:10:59
高3の夏。夏のインターハイ予選も佳境に入った頃。
 
奇跡的wに地区大会を勝ち進んだ我が部は、いつになく盛り上がっていた。
 
話は逸れるが、あれだけ夜遊びに精を出していた俺があまり学校を休まなかったのはバスケがしたかったからだ。
授業をサボっても部活にだけは顔を出していた。
 
監督からは「絶対問題を起こすなよ! お前がウチを廃部に追いやりそうな気がする」とか言われていたがw
とにかくそんな時に事は起こった。
 
大会中は軽めの練習で早く終わるので彼女が待っていた。
仲間達に彼女を加えて「打倒能代!」と盛り上がっていると、瞳がいつものように加わってきた。
 
彼女はちょっと嫌な顔をしたが、三年間隣の体育館で練習していた瞳と部員達は仲が良く『あんた達盛り上がりすぎw』と楽しく話していた時だった。
 
目の前で笑っていた瞳のスカートが突然まくれ上がった。
 
悲鳴を上げてしゃがみ込む瞳。
何が起こったか分からず呆気に取られる俺。
仲間の「何やってんだよゴルァ!」と言う声。
「いや〜練習で賭をして…誰か…スカートを捲れ…ヤリマンだからいいと思って…」みたいな他の部の奴の声。
 
物凄い怒りが込み上げてきた。
そのバカを殴り倒ししたい衝動に駆られながらも、彼女も見てるし、やっと掴みかけた県大会への道を暴力沙汰なんかで潰したら3年間一緒に頑張った仲間に申し訳が立たないと必死に堪えた。
 
355343:2007/02/08(木) 01:48:18
『ざけんな!誰がヤリマンだってんだよ!』
仲間の怒号が響く。

スカートをめくったバカは懲りもせずヘラヘラしながら
『こいつならパンツぐらいどってこと無いってw』と開き直る。
 
しゃがみ込んだ瞳は両手で顔を隠し耳まで真っ赤にして
『…違う。…違うもん』と小さく呟きながら震えていた。
 
「瞳…大丈夫か?」そう言って瞳の顔を覗きこんだ時…

 
瞳の指の隙間から涙がこぼれ落ちた。
 
瞳の涙を見た瞬間、俺の理性は吹っ飛んでいた。
仲間も県大会も暴力沙汰で廃部とかも、瞳の為に俺が本気で怒る姿を見た彼女がどう思うかなんか全てどうでもよくなった。
 
ただ瞳を泣かせたバカを叩きのめす事しか頭に無かった。
相手を殴り倒し、泣き叫ぶその顔を形が変わるまで殴り続けた。
止めに入った仲間や後輩や他の部の奴等から縋りつく彼女まで、俺の体に触れる奴を全て振り払い、突き飛ばし、殴りつけても止まらなかった。あの時は本当に"殺す"つもりだったと思う。

もう誰もが俺を止める事を諦めていた。鈍い音と声にならない悲鳴だけが体育館に響いていた。
 
 
『和希!』

瞳の声がした。
『和希やめて!』
馬乗りになって拳を振り続ける俺の背中に瞳がしがみついてきた。
『大丈夫だから!私は平気だから!お願い和希!もうやめて!』
 
背中に瞳の温かい鼓動を感じて俺は
やっと我に帰った。
 
『ごめんね和希。ごめんね。和希。和希。和希…』
瞳の呼びかける声に心が落ち着いていくのを感じていた。
 
ふと自分の手を見ると血だらけになっていた。
か細い声で「すいません」と繰り返す相手の血で真っ赤な顔は腫れてジャガイモのようになっていた。
止めに入った仲間や後輩達は鼻血を出していたり服が破れたりしていた。
彼女は憔悴しきった顔で俺を見つめていた。
 
356343:2007/02/08(木) 01:58:49
次の日、俺はまた停学になった。

仲間達の必死の弁護や、瞳を泣かせた他の部の奴の話から退学だけは免れた。

学校側としても問題を大きくするのを避けたかったのと、放課後の体育館での出来事で居合わせた人数も少なかったのが幸いしたようだ。
 
ただ俺は無期限部活動停止処分を言い渡された。要するにクビだ。
どのみち利き手の指の骨が折れていたから試合になんか出られなかったんだが… 
三年間バスケの為だけに学校に来ていたようなものだが、その時は後悔の念は湧いてこなかった。
 
 
瞳は学校を休んだ。
あんな騒ぎになった後だ。ショックだったろう。
瞳には何の責任もないが"瞳の涙"から始まった事だと周囲は思うだろう。
普段気丈に振る舞っていても周囲の好奇の目に耐えられるほど瞳は強くなかった。
 
彼女からは当然別れを言い渡された。
『あんなに瞳が好きなのにどうして好きって言わないの?』
『どうして瞳は和希の事を好きって言わないの?』
『2人共バカみたい!私は和希が好きだけど2人の恋愛ドラマの脇役にはなりたくない!』
そんな事を言っていた。返す言葉も無かった。
 
俺が抜けたチームは次の試合、百点近い大差をつけられてボロ負けした。
俺一人がいた所でどうにかなる相手じゃなかったが、そこまで大差を着けられる程の力の差は無かった筈だ。
試合直前の事件でチーム全体が戦える状態ではなかった。
 
いつまでも瞳への想いを引きずり続ける俺は、また麻紀のように自分の周囲の人達を傷つけていた。
そして誰よりも大切な瞳をも傷つけてしまっていた。

自分のバカさ加減にウンザリした。どこかへ消えてしまいたかった。
357343:2007/02/09(金) 21:56:53
停学明けも瞳は学校を休んだままだった。
連絡しようにも瞳の親に極端に嫌われている俺は電話もかけられない。
ただ心配するだけの自分の臆病さが情けなかった。
 
昼休みに瞳の彼氏に呼び出された。今回の件での彼氏の立場を考えたら2、3発殴られても仕方ない。俺は憂鬱な気分で出向いた。
 
会うなり彼氏は言った。
『瞳を迎えに行け!俺じゃ駄目だ!分かるだろ!?悔しいけどお前じゃないと駄目なんだよ!今すぐ行けよ!』
 
それは俺の役目じゃないと言おうとするのを遮り続ける。

『カッコつけんな!好きなんだろ!‥俺は降りる。瞳からお前の話ばかり聞くのはもうウンザリだ。早く行けよ!瞳が待ってるのはお前なんだから!』
 
学校を飛び出し瞳の家に向かってバイクを走らせていた。
 
 
家の前。二階の瞳の部屋のカーテンは閉まっていたが、バイクの音に気づいたのか少しカーテンが開いて閉じた。

チャイムを押すと婆さんが出てきた。
「真山(俺)です。瞳さん居ますか?」
婆さんは声を荒げた。
『帰りなさい!アンタのせいでウチの孫がおかしくなる!瞳は居ない!居ても絶対に会わせない!』
 
構ってられなかった。家の奥に向かって叫んだ。
「瞳!迎えにきた!学校行くぞ!みんな心配してる!」

上から瞳の声がした。
『みんなって誰!?誰が心配してるの?誰と誰と誰!?』
 
「俺が心配してる!俺と俺と俺がお前の事を心配してる!早く行くぞ!」
 
‥もうちょっとマシな事言えなかったんだろうか?俺は必死に叫んでいた。
 
ふと見ると婆さんが目を見開いて俺を見つめていた。

やべぇ…またやっちまった。そう思った時、婆さんがポツリと言った。
『ちょっと待ってなさい』
婆さんはそれだけ言って家の中に入って行った。
 
 
しばらく待って扉が開いた。瞳が笑顔で立っていた。

『行こう和希!』
「あ、あぁ…婆さんは?」
『行ってきなって。あんな大声出されたら、五月蝿くてかなわんってw』
「………」
『あんなバカ男に引っかかって、アンタも災難だよって笑ってたwww』
「………」
 
瞳は大声で笑っていた。俺もつられて笑った。

358343:2007/02/09(金) 22:19:30
あの頃の出来事で、俺も瞳も互いの存在の大きさをよく確認できた。
 
‥だがそれ以上進展する事は無かった。
強がりとか格好つけてる訳ではなく、ただ瞳と居られたら幸せだった。友達とか彼女とかそんな事は二の次だった。
 
2人はそのまま親友という形で卒業を迎えた。
 
 
瞳は卒業後すぐに某ブランドのショップに就職した。
いつも『早く大人になりたい』と言っていた瞳。学校の成績も悪くなかったが大学進学より1日も早く社会に出たかったのだろう。
 
逆に高校のころ全く勉強しなかった俺は大学なんか行けるはずもなく、ドンペリニョンを女性に勧めて自分で飲むような夜の仕事をなんとなくしていたが、瞳にめちゃめちゃ説教されてなんとかそれなりの企業に就職。
 
2人を取り巻く環境は随分と変わったが、瞳との関係はそのままだった。
車を買って最初に助手席に乗せたのも、成人式に一緒に行ったのも瞳。
週に一度は必ず会ってしょうもない話で笑って、仕事や恋の話から例えどんな小さな事でも真剣に話し合った。
 
一緒に海に行って、スノボに行って、温泉行って、クラブに行って、ライブに行って、合コン行って、朝まで騒いで、呑んで笑って泣いて。笑って笑って‥
 
でも体の関係どころかキスすらしていない。そんな関係になるのを互いに避けていた。
高校の時から何も変わらない関係が続いていた。
 

359343:2007/02/09(金) 22:27:08
卒業から7年目の夏。
テキトーだった俺もだんだん大きな仕事を任されるようになり、瞳も某ブランドの店長になっていた。
2人共ちょうど彼氏彼女はいなかったが、公私共に充実していた時期だった。
 
書類整理に時間を取られ、遅くに部屋に帰ると瞳が待っていた。
いつもの事だ。特に会う理由なんかいらない。暇だから、飲みたいから、眠れないから。週に一度は現れる。
 
ただその日は珍しく酒が強い瞳がへろへろに酔っていた。
『おぉかえりぃぃ!おっそいぞぅかずき!ばかにしてんのかぁ?』
へべれけだ。そういえばこんなに呂律の回らない瞳は初めてかもしれない。
 
「どした?ヤケ酒か?」
と言う俺を無視して、いつも通り勝手に冷蔵庫からビールを取り出して笑う瞳。
 
何かあるなら、この時点で言う。十年間ずっとそうやってきた。
俺は珍しい事もあるもんだと普段通り取り留めのない話を聞いていた。
 
そのうち瞳が黙りこんだ。やっぱり何かあったんだ。そう直感した。
 
「よう瞳。そろそろ吐いて楽になれよ。田舎でオフクロさんが泣いてるぞ。カツ丼食わせてやるからようw」
俺の冗談混じりの問いかけに瞳は目を伏せたままつぶやいた。
 
『…だっこしてよ…』
 
俺は固まった。高校入学の頃に付き合った時以来、瞳を抱いた事なんか無い。
酔って肩を組んで歩いたぐらいだ。
ずっとそんな雰囲気になるのを互いに避けてきたはずだ。
 
俺がそんな事を考えているうちに、瞳は俺の膝の上に座ってきた。
 
瞳の髪の香りがした。こいつこんなに軽かったのかと変な感慨にふけりそうな俺に瞳が追い討ちをかける。
 
『…ギュッてしてよ…』
 
瞳を抱く腕に少し力が入る。心臓が高鳴る。口の中が乾いて仕方ない。飲みすぎた次の朝みたいだ。

これが他の女なら迷うことすら無い。そのままベッド行きだ。
でも今腕の中にいるのは十年間想い続けた瞳。誰よりも腹を割って話し合える親友の瞳。
…瞳は俺の宝物。
 

そんな俺の葛藤を余所に瞳はいつもと変わらない調子で話を始めた。
俺は少しホッとしていた。

360343:2007/02/09(金) 22:32:28
瞳は出会った頃からの昔話を始めた。
 
『さいしょにあったときおぼぇてる〜?』
「ああ。麻紀の部屋だったな」
『あたしさいしょねえ。かずきのことドロボウかとおもったんだよw』
「俺はメチャクチャ焦ったよ。留守番してたら知らない女の子が突然入ってくんだもんなw」
『にらみあってたねw』
「目を逸らしたら負けみたいな感じでなw」

普段瞳はあまり昔の話をしたがらない。やっぱり今夜の瞳は変だ。

でもそれを問いただすより、その時は瞳を腕の中に包みながらゆっくりと流れて行く優しい時間が心地良かった。
 
2人で過ごしてきた時間を確認しあうように明け方まで話し合った。
 
そのまま瞳は俺の腕の中で眠ってしまった。
安らかな寝息をたてる瞳の横顔が今迄以上に愛おしく感じる。もう離したくないと心から思った。
 
 
昼過ぎに目覚めると瞳はもう居なかった。
昨夜の出来事を思い出しながら、次に瞳と会ったらもう一度はっきり好きだと告げようと思った。

今までずっと曖昧な関係だったが、誰よりも何よりも瞳の事を好きだと思う自分を再確認していた。

好きなんて軽い言葉で自分の気持ちを伝えきれるだろうか? 
瞳と付き合ったらどうしよう?そういえば瞳は遠くへ旅行に行きたいと言ってた。今の仕事が片付いたら休みを取って2人で旅行に行こう。 
そんな事をぼんやりと考えていた。
 

361343:2007/02/09(金) 22:38:55
それから旅行代理店に行って話を聞き、瞳の好きなカスミソウの花束を両手で抱えきれない程買った。
あんにゃろうビックリするだろうなw
瞳なら『うわ!何コレ!和希が花?超キモイwww』とか言うだろうなw
そんな事を考えて少しニヤニヤしながら瞳の携帯に電話をかけた。
 
瞳は電話にでなかった。変わりにやけに機械的な声が聞こえた。
「…こちらはN○Tド○モです。お客様のおかけになった番号は現在使われておりません」
 
間違えたと思い番号を確認してもう一度かけ直す。
「…こちらはN…」
 
あれ?あいつ携帯変えたのか?でも昨夜はそんな事言ってなかった。
少しだけ不安がよぎったが、早く瞳と逢いたい気持ちの方が強かった。
 
瞳の勤め先に電話を入れる。馴染みのスタッフが電話に出た。瞳と一緒に何度か遊びに行った事もある。当然俺と瞳との長い付き合いも分かっている。俺はいつも通りに話しかけた。
「よう理恵ちゃん。真山だけど瞳いる?」
俺の言葉に彼女の声は困惑していた。
『え…?瞳さんなら辞めましたけど?』 
さっきまで気にしていなかった携帯の事が頭をよぎる。
「…え?辞めたっていつ?」
『…え?あのう…1週間前ですけど。和希さん聞いてないんですか?』
 
意味が分からなかった。
何でそんな大事な事を俺に言わないんだ?携帯の事も番号変えたらいつも一番最初に連絡して来たじゃないか?

無言になった俺の雰囲気を察したのか彼女は話しだした。

『あの…瞳さんが辞めるって言い出したのは1ヶ月ぐらい前で…当然和希さんは知ってると思ったし…本当に知らなかったんですか?』
 
俺はその問いかけには答ずに聞いた。
「瞳は何で辞めたの?何かあったの?」 
『…いえ。店では何も無いです。あたしもビックリして何でですか?って聞いたら"ちょっくら旅に出てくらあ"って言ってたから…瞳さん今彼氏いないから和希さんとでも一緒に旅行に行くのかなって思って…』
 
頭の中は「?」で一杯だった。俺は礼も言わずに電話を切り、瞳の部屋に車を飛ばしていた。

362343:2007/02/09(金) 22:46:22
瞳の部屋。俺は不安な気持ちを早く振り払いたくて階段を駆け上がった。
部屋の前に着いてチャイムを押そうとした時。
 
通路に面した窓に普段かかっているオレンジ色のカーテンが無い事に気が付いた。
 
そっと中を覗きこんだ俺の目に映ったのは、何もなくなってフローリングがやけに反射するがらんとした空き部屋だった。
折れそうになる心を必死に鼓舞しながら階下の大家の元へ。
『彼女なら昨日の昼間に全部荷物を引き上げたよ』
 
意識が遠のきそうになる。人間いよいよダメだと思ったら自動的にスイッチが切れるらしい。

だが現実逃避している暇は無かった。
共通の友人に片っ端から連絡を取ったが、瞳の所在を知る者は誰もいなかった。
 
その夜、俺は一睡もできなかった。繋がらないと分かりきっている瞳の携帯に何度も電話をしていた。
様々な思いがよぎる。今迄十年間、こんな事は一度もない。どんなに小さな事でも、どんなに恥ずかしくて人には言えないような事でも2人は全部話し合ってきたはずだった。
 
知らずに瞳を傷つけていたんじゃないか?明日になれば普段通り『うす!』とか言いながら現れるんじゃないか?
延々と考えている内に夜が明けていた。 

363343:2007/02/09(金) 22:52:10
それから一週間経った。
瞳の行方は分からないまま。仕事を休んだ俺は瞳の実家に向かった。高校の頃より老け込んだ婆さんが出てきた。
事情を聞いた婆さんは俺に『上がんさない』と言った。
 
婆さんは瞳の子供の頃からの話しをした。瞳の生い立ち。親父さんが出ていった夜の事。俺と麻紀の事。
高3のあの日。俺が瞳を迎えに行ったあの後も瞳の母は瞳をなじり続け、婆さんも『この子は本当ににあの五月蝿い少年を愛してる。邪魔しちゃいけない』と思いながらも、自分を瞳の母や麻紀にダブらせて瞳を責め続けた事。
 
泣きながら俺への気持ちを訴える瞳に『あんな男と一緒になるなら身内は全部捨てたと思え』と吐き捨てた事。
それから瞳は実家に全く寄り付かなくなった事。
婆さんは『私のせいだ』と頭を下げてきた。

ただ婆さんも瞳の行方については何も知らなかった。
 
それから数ヶ月、俺は瞳がいない現実を受け入れられずにさまよった。
仕事を休み、少しでも瞳と接点のあった人を訪ねて回った。 
瞳はそれまで俺の親友であり、愛する人であり、俺の全てだった事を思い知った。

やっと今の状況が瞳が俺から離れる事を望んだ結果なのだと理解し納得した時、俺の中の何かが壊れて行くのが分かった。自分の半身が霞んでいく気がした。
 
それ以来、俺は殆ど笑わなくなった。
 

364恋する名無しさん:2007/02/10(土) 17:34:20
マテルヨ
365343:2007/02/13(火) 01:44:14
それから俺は友人達を避け、ひたすら仕事だけに打ち込んだ。逃げ込んだと言った方が正しいかもしれない。
友人達と居ると気持ちは安らぐが、心が緩むと瞳のことばかり考えてしまうから。

新しい彼女も作らなかった。誰も瞳を失った俺の半分を埋められる訳がないと思った。
何より俺が愛しているのは瞳だけだったと痛い程分かってしまったから。
満たされない気持ち誤魔化す為に瞳以外の人に逃げ込むようなまねはもう出来なかった。
 
仕事に追われ寝る暇もない日常が俺の心を俺自身から隠してくれた。
 
忙しければそれで良かった。誰もが尻込みするような案件に自ら名乗り出、必要以上に頭と体と時間を使った。
どんな小さな事も一切妥協せず、どんなに忙しくても他人を頼る事も無かった。 
少しでも自分の仕事にゆとりが出来ると、自分の仕事と平行して同僚達の手伝いに奔走した。 

周囲は最初『真山が目覚めたw』と笑っていたが、そのうち『やりすぎだ!』『仲間や部下を信じられないのか!』『お前がやり過ぎると後がやりにくい!』などと非難の声に変わっていった。
 
仲間を思いやる事も一切の妥協もせず、同僚や部下達、取引先や下請けにも随分と無茶もさせた。
 
その頃に下請けの社長に言われたのは
『真山さん。あんたの仕事ぶりはサラリーマンじゃないね。借金まみれで倒産寸前でもう後が無い零細企業の社長みたいだよw』
 
当然業績は異様に伸びた。桁が一つ違った。
当たり前だ。ある程度頑張れば利益が上がる流れが確率された会社という組織の中で、俺は仕事以外の事を全て切り捨ててやっていたんだから。
普通誰もそこまでやらないだけで、誰だって出来る事だ。
 
それを三年続けた頃、本社への転勤が決まった。
上司や同僚達からは異例中の異例の栄転だと持ち上げられたが、正直俺にとっては本社だろうが支社だろうが忙しくて瞳の事を思い出す暇さえなければ何でも良かった。

366343:2007/02/13(火) 01:47:37
本社に行ってからも俺の苛烈な仕事ぶりは変わらなかったが、以前と違ったのは周囲のモチベーションが高く、社内で俺がそれほど浮いた存在にはならなかった事だ。
 
瞳が居なくなってから5年。仕事以外では誰とも会話すらしなかった俺にも久しぶりに話せる同僚も出来た。
同い年の高田は2人でチームを組む事も多く、良いコンビになっていた。
高田は頭が切れて話しも上手く仕事も相当出来るが、やけに馴つっこい奴で仕事以外は女の事しか考えていないような奴だった。
 
高田と飲んだ時に瞳の話しをしたら
『そらお前、演歌の世界だなw 八代亜紀かよw』と笑っていた。

それから高田は俺に女の子を紹介しようと躍起になった。
正直迷惑だったが、仕事の相棒で、なんとか俺を幸せにしてやりたいと思っている心優しい高田との仲もあり、断るのも申し訳なくて何人もの女の子と会った。
 
どこからコネをつけてくるのかは知らないが、高田の紹介してくれる女の子は皆びっくりするほど可愛いかった。
某雑誌のモデルなんてのもいた。この世の物とは思えないほど綺麗だった。
 
だがいくら綺麗でも可愛くても、瞳の笑顔にはかなわない。
ありえないくらい綺麗な人が好意を寄せて電話をかけてきてくれたとしても、瞳の『あー暇。どっか行こうよ和希!』の一言ほどときめかない。
 
5年経っても俺の心は何も変わらない。ずっと瞳に縛られたまま。むしろ逢えない分だけ想いは強くなっていた。 

そんな俺に高田は『またダメかいな!贅沢な奴だよオマエはw 次はハリウッドスターぐらい連れてこないとダメかなwww』と笑っていた。

367343:2007/02/13(火) 01:51:08
春がきて俺は31才になった。
瞳と出逢ったのが14の春。もう17年瞳の事を想い続けてきた。
そして瞳はもういない。携帯は五年前のまま。俺の気持ちは中学生のあの頃のまま。俺は一生こうして瞳への想いを引きずっていくんだろう。
漠然とそんな事を考えていた。そんな春の週末だった。
 
いつものように高田の誘いを断りきれずに飲んだ帰り道。
『今日はうちに泊まっていけよ』と言っていた高田が女の子といい雰囲気になってしまい、俺は自宅に帰ろうと駅で電車を待っていた。
 
暖かい夜だった。酒も入ってぼんやりと街のネオンを眺めていた時。
 
人もまばらな向かいのホームから俺の名を呼ぶ声がした。
 
『和希!?』
 
その声を忘れるはずなんかない。ずっと俺が探していた声だった。
自分の手が震えているのが分かる。
 
目を向けた先には瞳が立っていた。
 
 
時間が止まったようだった。全てがスローに流れて行く。
無言で見つめ合う2人の間に電車が滑り込んでくる。瞳がもう一度俺の名を呼ぶ。
電車が出ると俺は線路に飛び出した。後ろで誰かが叫ぶ声がする。降りる時に鞄を落としたが気にしてはいられない。
俺は線路を突っ切り瞳の元へ走った。
 
瞳は泣いていた。髪型も化粧も服装も変わっていたが、泣き虫なのは変わってないようだった。
 
俺は吸い寄せられるように瞳に歩み寄り、瞳を抱きしめてキスをした。
背中に回った瞳の腕が痛いくらいに俺を抱きしめ返してくる。
 
十数年ぶりの瞳とのキスだった。周囲から笑い声や怒る声や拍手が聞こえたが、気にもならない。
長い長いキス。息も出来ないほどに唇を求め合っていた。
 
瞳を抱く腕の感触。唇の柔らかさ。優しい髪の香り。瞳の息づかい。全てが俺を満たして行く。そんな気がした。
 

368恋する名無しさん:2007/02/13(火) 04:09:28
荒らしません
369343:2007/02/14(水) 00:29:21
>>368
ごめん。いい加減ウザいかな?
文才無さ過ぎるし、時間無いし、携帯厨だし、サクッと終わらせらんなくてスマソ。
 
 
永遠とも思えたキスは瞳から唇を離して終わった。
目に涙をいっぱい溜めて瞳が話し出す。
『和希…』
悪い予感が頭を駆け巡る。5年ぶりに逢った瞳はこの後なんて続けるんだろう?また逢えなくなるのを告げる言葉だったらどうしよう。
思わず唇で言葉を遮ろうとした俺に瞳は言った。
 
『誕生日おめでとう』

…力が抜けた。地面に座り込みそうだった。
「…アホウ。誕生日は先月だってw」

あんなにあんなに逢いたくて、もしもう一度逢えたならどんな言葉をかけようかと眠れずに考えた事もあったのに。出てきたのはあの頃と何も変わらない冗談まじりの一言だった。

『…ねえ和希。』
「ん?」
『眉間にシワのあとがあるよ』
「年取ったからなw」
『あんまりキツい顔ばかりしてると禿げるらしいよw』

瞳は笑った。俺も笑った。あの頃と何も変わらない笑いオチ。
あんなに心の底から笑ったのは何年ぶりだろう。俺は久しぶりに大声で笑っていた。

370恋する名無しさん:2007/02/14(水) 00:33:06
ウザくなんて全然ないよ。
楽しく読ませてもらってます。
続きマテルヨ
371343:2007/02/14(水) 00:35:35
それから2人は手を繋いで瞳の部屋まで歩いた。瞳はゆっくりと話しだした。
 
出会ってからずっと俺の事が一番好きだった。
いつの間にか2人の間にできた親友という壁を壊すのが怖かった。それが崩れてしまったら俺を失ってしまうんじゃないかと思った。
ずっと何でもないように振る舞っていたけど、俺が他の女と付き合うのを見て気が狂いそうな程辛かった。
周囲がどんどん結婚しだして自分の将来を考えたら、もう俺から離れるしかないと思った。

あの日、俺に何も告げずに姿を消してから何度も何度も俺の携帯の番号を表示しては切って泣いた事。
一度だけ地元の親友に電話して俺が誰とも交流を絶っていると聞いて責任を感じ、地元行きの航空券を買ったけど今更合わせる顔が無いと思って行けなかった。今でもそのチケットは捨てられずに取ってある。
 
それだけ話して瞳は俯いた。何度も『ごめんね』とつぶやいていた。

その横顔を見つめながら俺はずっと言えなかった言葉を瞳に伝えた。

「ねえ瞳?」
『‥ごめんね。怒ってるよね?』
「怒ってるよ。黙って消えるなんてあんまりだ。これからはずっと側にいてくれ。」
『…和希?』
「ずっと、ずっと瞳の事が好きだった。瞳が居なくなって分かっちゃったんだ。俺にとって瞳は何よりも大切な存在だって。一緒にいよう瞳。これからずっーと一緒にいよう」

泣き虫の瞳がまた泣き出した。そして俺の目を見つめながら言った。
『‥うん。和希と一緒にいる。ずっと一緒にいる。もう離れたりしない。お婆ちゃんになるまで一緒にいる!』

いつの間にか俺も泣いていた。2人共涙でくしゃくしゃの顔で微笑み合っていた。
『ずっと側にいるからね和希。絶対離さないでね』
「うん。ずっと一緒だからな。さざれ雪の苔のむすまでw」
『‥和希。雪じゃなくて石だよwww』

瞳は笑った。俺も笑った。でもいつものような笑いオチでは終わらせない。
ちゃんと言わなきゃならない言葉をまだ言ってないんだ。

「瞳‥結婚しよう」
『はい。幸せにしてね』

瞳の笑顔が涙で滲んでいた。ずっと探していた最高の笑顔が腕の中にある。
幸せすぎて涙が止まらなかった。

372恋する名無しさん:2007/02/18(日) 03:18:13
ぎりage
373恋する名無しさん:2007/02/18(日) 06:19:35
感動アゲ おめでとう
すてきな話 ありがとう
374恋する名無しさん:2007/02/18(日) 08:49:29
マテルヨ
375恋する名無しさん:2007/02/18(日) 10:09:19
私が経験した事を書きます。
彼と会ったのは、新学期が始まってすぐ。私の友達が彼と友達で、みんな一人暮らしをしていたこともあって、すぐに仲良くなりました。
彼は明るくて、いつも仲間に囲まれていました。
彼に恋心を抱くのに時間はかかりませんでした。
いつも彼を目で追っている私に、友達が「アイツは駄目だよ。学校は別だけど、田舎から一緒に出てきている三年付き合っている彼女がいるから。」と教えてくれました。
376375:2007/02/18(日) 10:22:36
でも、気持ちに歯止めは利かず、ますます彼のことが好きになっていました。
彼と私の田舎が同じ事もあり、仲良くなるのに時間はかからず、ほとんど毎日、遊んでました。
「好き」ということを隠しながら…


GWが終わり、いつもより元気がない彼の姿が学食にありました。
私は、友達に「アイツ、元気がないけどどうしたの?」と聞きました。
友達は「彼女に気になる人がいるって言われたらしいんだ。別れ話は出てないけど、色々事情があってさ」と言っていました。
377375:2007/02/18(日) 10:33:09
その事情というのは今でも分かりませんが、彼の方が彼女の事を「好き」なんだろうなぁ、と思っていました。すごく絶望的な気持ちになったのを覚えています。
しばらくして、いつもの彼に戻り、私は、彼女の存在も忘れて私達は毎日会っていました。
もちろん「好き」という気持ちは悟られないように。

ある日、何日も彼と連絡が取れず心配しているところに、彼から「今から家に来ない?」と電話がありました。私は、すぐに彼の家に行きました。
378375:2007/02/18(日) 10:40:51
彼の部屋に入ると、たくさんの袋がありました。私は「服、買いに行ってたんだ。」と言うと、彼が「あぁ、彼女のところに行ってきたんだ。」と言いました。
多分、久しぶりに彼女に会えたことがうれしかったんでしょう、彼は買った洋服を見せながら(多分、お揃いのシャツなんかもあったと思います)、彼女とのデートの話をしました。
私は泣きそうになるのを堪えながら、彼の話を聞いていました。
379375:2007/02/18(日) 10:53:03
しばらくして彼が突然、「俺の事、どう思ってる?」と聞いてきました。
私は驚きながらも、「友達だよ。ずっと仲良くしたいと思ってる。」と即答しました。
彼は、笑顔で「ありがと。」と言いました。
涙が出そうになったので、目をつむってソファーに横になりました。
しばらくして目を開けて時計をみると、2時間くらい経ってました。私の体には毛布が掛けてあって、お風呂からは彼がシャワーを浴びている音が聞こえました。
380恋する名無しさん:2007/02/18(日) 10:56:17
続きマテルヨあげ
381375:2007/02/18(日) 11:04:42
彼がシャワーからあがってくる様子だったので、私は寝たふりをしました。
薄目を開けて彼を見ていると、髪を拭きながらジャージ姿の彼が私に近づいてきました。私は気付かれないように目をつむりました。
彼は、私の顔を覗き込んで「かわいいなぁ」と言って、私の頬にキスをしました。驚いた私は、思わず目を開けてしまいました。
382375:2007/02/18(日) 11:20:14
彼は、驚いた様子だったけど、そのまま唇にキスをしてきました。何度も何度も。
そしてそのままセックスをしました。その間、私達は一言も会話をしませんでした。
終わった後、私は何事もなかったように振る舞い、いつものように「また学校でね。」と言って彼の部屋を出ました。
私達は、その後も仲間達と遊んで、どちらかの部屋に行って食事やテレビを見て、セックス、一緒に寝るという生活を続けていました。
383375:2007/02/18(日) 11:27:32
何ヵ月もそんな生活をしているのに、彼の口からは私のことを「好き」という言葉は出てきませんでした。もちろん、私も今の関係が無くなってしまうのがこわくて言えませんでした。
心の中では「好き」「愛してる」といつも叫んでいました。
384375:2007/02/18(日) 11:37:31
他から見れば、私達はただのセフレ。でも、彼をその間だけでも独り占めできるうれしさに、私は関係を続けていました。
それに、ずっと彼女には連絡を取ってないみたいだったし。


ある日、私と彼と二人でショッピングに行きました。休日という事もあり、人が多くて何度もはぐれそうになりました。彼は、私の手を握って「これで大丈夫。付いておいで。」と言いました。
385375:2007/02/18(日) 11:45:14
私は、うれしかったけど「手なんかつないでたら、付き合ってると思われちゃうよ。友達に見られたら困るし。」と言いました。
彼は「そんなのいいよ。第一、ペットを守るのが飼い主の役目だから。」と笑顔で言いました。
私は何とも複雑な気持ちになり、涙に気付かれないように、下を向いて彼の後に付いていきました。
もうすぐ私の誕生日ということもあり、彼は私に「何が欲しい?」と聞いてきました。
386375:2007/02/18(日) 11:53:30
私は、欲しいものは一つだけあったけど「何もいらない。」と答えました。しばらく考えて「あっ、ケーキがいいなぁ。ショートケーキ。」
これなら食べてしまえば後に残らないから。
でも、彼は「ケーキはちゃんとあるよ。他にだよ、指輪とかネックレスとかさ。」
私は「そういうのって大事な人にあげるんだよ。彼女でもないのにそんなの貰えない。」と言いました。
387375:2007/02/18(日) 12:01:15
彼は、黙って私の手を振りほどいて帰ってしまいました。
私も家に帰って大泣きしました。
一ヵ月くらい、彼から連絡はなく、私からもしませんでした。学校では会わないように、会っても挨拶だけしていました。

クリスマス近くになり、彼に会いたくなりました。彼の部屋の前には「〇〇さんが訪ねてきてました。連絡が欲しいそうです。」と隣の部屋の人からの伝言が貼ってありました。〇〇さんというのは彼女の名前。
388375:2007/02/18(日) 12:10:54
あぁ、彼はまだ彼女とつながってたんだ、と悲しくなりそのまま帰りました。その後、彼の部屋の前の貼り紙はなくなり、彼の部屋の電気が点いてるのも見ない日が続きました。
23日にやっと彼の携帯につながりました。「今、〇〇のところにいるんだ。」と彼。私は「やっぱり…」と思いながら、「ごめんね。」とずいぶん前の事を謝って、切りました。
389375:2007/02/18(日) 12:18:57
クリスマスはみんな予定があるみたいだし、私は冬休みという事もあって実家に帰省することを決めました。
誰もクリスマスを過ごす人が居ないと思われるのがイヤで26日に帰ることを決めました。
24日ももう終わろうとしていた時、部屋のチャイムが鳴りました。スコープをのぞくと彼の姿がありました。
慌ててドアを開け、部屋に彼を上げました。彼は「メリークリスマス!」と言って、小さなケーキをくれました。
390375:2007/02/18(日) 12:27:27
私は「ありがとう。」と言ってケーキを受け取りました。
彼は何も言わず、ただニコニコしながら私を見ていました。私は彼に抱きつきました。彼は何も言わず、キスをしてそのままセックスをしました。
終わった後、何となく「ずっとこのままでいいや。セフレでも、彼と居ることができたらそれでいい。」と思っていました。
それからも彼女の事は考えずに(考えない様に)半同棲生活を続けていました。
391375:2007/02/18(日) 12:35:15
彼は相変わらず「好き」って言ってくれないし、私からも言わなかった。私の事をどう思っているのか不安でたまらなかったけど、一緒にいる時間を大切にしようと思って過ごしてた。

まわりのみんなは私達の事を「付き合ってる」って思ってたけど、私は「彼氏」だと言った事はなかった。言えなかった。だって、セフレだもん。私が好きなだけだもん。彼には彼女がいるもん。いつも泣いてた。
392375:2007/02/18(日) 12:45:52
用事が出来たので、また後でかいてもいいですか?
393375:2007/02/18(日) 15:10:34
もうすぐ彼と出会ってから一年になろうとしていました。
ある日、私は仲間の一人に告白されました。その人は、私がいつも彼のことを相談していた人。「俺ならお前の事、幸せにしてやれるよ。」と言ってくれました。
うれしかった。でも、返事は出来なかった。何も言えなかった。返事は一週間後のゼミのあとにする約束をした。
394375:2007/02/18(日) 15:16:50
その間も彼とは変わらず生活をしました。一人の時間は告白してくれた人よりも彼のことばっかり考えてました。 
でも、返事をしなくてはいけません。
「好き」と言ってくれない彼よりも、素直に「好き」と言ってくれる人のほうがいいんじゃないか、もしかしたらこの人が彼を忘れさせてくれるんじゃないか、と考えてOKすることにしました。
395375:2007/02/18(日) 15:27:38
一週間たち、返事をする日になりました。告白してくれた人に会う前に私は、彼に「さよなら」を言う決心をしました。
その日は私も彼も午後のゼミだけだったので、早めに起きてお昼ご飯を作り、彼を起こしに行きました。
彼とテーブルに向かい合って座り、「食べながら聞いてね。」と言いました。
突然、私が真面目な顔で話し始めるので、彼はびっくりした様子でしたが、「わかった。」と箸を持って話を聞き始めました。
396375:2007/02/18(日) 15:36:44
「あのね、△△に告白されたんだ。OKしようと思うんだけどいいかなぁ?」
彼が少し怒った様に「勝手にすれば?」
「本当にいいの?もうアンタのお世話する人いなくなっちゃうよ」
半分泣きながら言っていました。
彼は何も言わず、ただ黙ってご飯を食べ、「ごちそうさま。」と言ってシャワーを浴びにいってしまいました。
私は、食べ終わった食器を洗い、彼の部屋にある自分の物をまとめ、合鍵をテーブルにおいて学校に向かいました。
397375:2007/02/18(日) 15:54:31
ゼミが終わり、待ち合わせ場所に行きました。しばらくして△△君が来ました。
私はすぐに「ごめん、やっぱり付き合えないよ。でも、Kの事も諦める。今は誰とも付き合えないよ。本当にごめん。」
△△君は「OKは貰えないと思ってたよ。でも、ずっと友達だよ。」と言ってくれました。
398375:2007/02/18(日) 16:05:39
(Kとは好きな彼の事です)
最後に△△君は、携帯を見せてくれました。
そこには彼からのメールが。「M(私)の事よろしく。絶対に泣かさないで下さい。」と書いてありました。△△君は、そのメールを私の携帯に転送してくれました。
「最後に。」って△△君はこんな事を教えてくれました。
399375:2007/02/18(日) 16:28:37
以前、彼が家庭の事情で地元を離れることになり、「別れよう」と言った彼に「ずっと待ってる」と言って待っていてくれた彼女に恩みたいなものを感じていて、彼女に他に気になる人が出来てもキープ君みたいな存在で、彼女の帰るところを作ってあげていた事、
400375:2007/02/18(日) 16:37:30
12月23日に彼女に「好きな子が出来たから、〇〇には会えない。」と言いに行って別れた事、仲間には「Mは俺のものだから手を出すなよ。」と言ってくれてた事、それでも二人が付き合う様子がないから、△△君気になっていた私に告白してくれたことを教えてくれました。
401375:2007/02/18(日) 16:43:24
私はすぐに彼の部屋に行きました。彼はいませんでした。
私は自分の部屋に帰り、ドアを開けると彼が荷物をまとめていました。
私は彼に「さようなら」を言った手前、「好き」ということも言えずに、「またね。」と部屋をでていこうとした彼に
402375:2007/02/18(日) 16:47:49
「ずっと友達でいてね。二人とも誰かと結婚しても、子供が出来ても、ずっと仲良しでいてね。」と言いました。
すると彼は「イヤだ。結婚するのはオマエとで、二人の子供を一緒に育てるんだ。」と言いました。
うれしかった。
鼻水がでるほど大泣きした。
403375:2007/02/18(日) 16:54:05
それから彼は私を抱き締め、待ちに待った「好きだよ。」と一言。
私は「ありがとう。」しか言えませんでした。
それから彼は今までの気持ちを話してくれました。
言わなくても二人の気持ちは同じで、彼はずっとわたしと付き合ってると思っていた事、
404375:2007/02/18(日) 17:40:19
いつも私が泣いていたのを知っていて、早く「付き合おう」と言いたかったけど、恥ずかしいし、私が何も言ってこないから言えなかった事、△△君が私に告白するのに彼に許可を貰いに来たことを話してくれました。
405375:2007/02/18(日) 18:03:44
そして、△△君は私が「NO」と言った時は、彼から私が一番待ってる言葉を言うように約束させられたそうです。
私と別れた後、△△君が彼に「俺、振られたよ。Mがオマエじゃなきゃイヤなんだって。泣かすなよ。」と電話をしてくれたそうです。
406375:2007/02/18(日) 18:09:14
それから私達は、大学を卒業するまで一緒に暮らし、四年間付き合って結婚しました。
今では子供にも恵まれ、幸せに家族三人仲良く暮らしてます。
407375:2007/02/18(日) 18:13:41
昨日も隣でテレビをみている旦那に「私の事、好き?」と聞いたら、耳を真っ赤にしてニコニコしながらキスをしてくれました。
子供には「好き」連発なのに、今だに私には「言わなくてもわかるだろ。」と言ってあまりいってくれません。
でも、ずっと変わらず旦那の事が好きです。
408375:2007/02/18(日) 18:17:57
これで私の体験談を終わります。
誤字、脱字あると思います。
携帯からすみませんでした。読みにくかったでしょう。

みなさん、素敵な恋をして下さい。
みなさんが両想いになれますように…
409恋する名無しさん:2007/02/18(日) 23:21:50
>>375
ホンワカしたぁ(´∀`*)
410恋する名無しさん:2007/02/19(月) 09:42:14
保守
411343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:11:11
>>373
ゴメ。まだ終わってないんです。今夜で終わらせるます。


次の日2人で指輪を買いに行った。少女のように無邪気に指輪を選ぶ瞳が可愛いすぎてクラクラしたw
週明けすぐに籍を入れて、式はそれからという事にした。

瞳の婆さんに電話した。婆さんは数年ぶりに電話してきた瞳に驚き、さらに明日入籍すると聞いてテンパったんだかふじこったんだか、年寄りとは思えない大声で『おめでとう』と『ごめんね』を繰り返していた。
 
「婚姻届出しに区役所に行くんで早退します!」
今まで笑顔なんか殆ど見せた事のない俺の満面の笑顔での突然の報告に上司はポカンとしていた。

高田は『なんやそれ!今迄の俺の苦労は水の泡だなw』とか言って笑っていた。

瞳と2人で区役所に向かった。瞳の笑顔が眩しい。見慣れた景色も普段より色鮮やかに見える。

何やら説明している役所のハゲたおっちゃんさえ、天使に見えたw

『和希!幸せになろうね!』
そう言って微笑む瞳がたまらなく愛おしすぎて、人目もはばからずに役所の窓口でキスしていた。
 
つい先週まで「一生1人で生きてくんだろうな」とか思っていたのに、こんなに幸せな気分になるなんて想像も出来かった。
もし神様がいるのなら抱きしめて「愛してるぜ!」と言ってやりたい気分だった。
412343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:14:42
瞳と結婚して一年が過ぎた。

中古だが海が見える景色の良いマンションを買った。
朝目覚めると瞳がいて、仕事から帰ると瞳がキスで迎えてくれる幸せ。
手を繋いでスーパーに買い物に行ったり、瞳が昼間見つけた美味しいパン屋の話しを聞いたりするような普通の毎日が楽しくて仕方なかった。

会えなかった5年間も、ずっと愛してると言いたいのに言えなかった15年近い年月さえも愛おしく思えちゃうほど幸せだった。

楽しい事ばかりでも無かった。トラブルもあった。
瞳の前の彼氏がストーカーし出したしたのを〆たり、高田の紹介で一度顔を会わせただけで全く何の関係もない電波女が『裏切り者!殺してやる!』と花束と包丁を持って突然押しかけてきたり。
 
修羅場的な事が立て続けに起こったが2人の信頼は全く揺らがなかった。俺は瞳を知っていたし、瞳も俺を知っていた。
瞳以外の相手なら、問題が終結した後も疑って互いを傷付けあって疲れてしまうような状況でも
『和樹。モテモテだなオイwww』
「うるせーw 瞳に言われたくねーよwww」
と普段と全く変わらない2人だった。

413343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:17:52
ただ式はまだ挙げていなかった。

お互い三十路で初婚。派手な結婚式もどうかと思ったし、何より瞳の母が俺達の事を認めたくないようで電話口にも出ない有り様だったのを瞳が気にしていたのもあった。
 
考えたあげく俺達は海外で2人だけで結婚式をする事にした。
式に招待しても母が来てくれなくて瞳がヘコむぐらいなら、いっそ誰も来れないくらい遠くでやってやろうってw

俺の仕事が一区切りするのに合わせて準備を進めた。瞳の婆さんは残念がったが事情も分かっているので好きにしなさいと言っていた。

 
出発まで1カ月をきった頃。2人の新居を見たいと瞳の母から電話が来た。

あれだけ俺を嫌っていて、入籍報告の電話にも出なかった母の訪問に、俺達はやっと認めてもらえるんだと手を取り合って喜んだ。

特に母と疎遠になった事をずっと気にかけていた瞳のはしゃぎようは、見ていて笑っちゃうぐらいだった。
『お母さんと一緒に飲むんだw』と酒好きらしい母の為に美味しいワインを買う瞳。その日ばかりは俺も仕事を無理やり高田に押し付けて早く帰宅した。
 
だが瞳の母1人では無かった。どういう訳か麻紀が一緒にやってきた。

414343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:21:48
 
母親と麻紀は何も言わずに部屋の中を見渡していた。
重苦しい空気が部屋を包む。俺達の結婚を快く思っていないのは一目瞭然だった。
それでも瞳は普段以上に明るく振る舞った。見ていて心が痛くなった。
 
やっと瞳と麻紀がぎこちなく話しだした時、母親が突然口を開いた。
『こんな結婚が上手くいくわけがない!』

部屋の空気が凍り付く。瞳の悲しそうな横顔に胸が締め付けられる。

「ちょっと待っ‥」
俺が思わず口を開いた時、部屋に麻紀の怒鳴り声が響いた。
『ちょっと叔母さん!いい加減にしなよ!叔母さんがそんな事ばっか言嫌っていると思っていた。
俺達はポカーンと口を開いて麻紀を見つめていた。

母親はバツの悪そうな顔で『今迄の事は水に流してあげるわ‥宜しくやればいいじゃない』と吐き捨てる。

そこでまた麻紀の怒号。
『何その言い方!仲直りする気が無いんならもう帰んなよ叔母さん!』

さすが麻紀‥キレた時の勢いは中学の頃から全く衰えてねーな。むしろ恐さが増しとるわ。と俺が場違いな事で感心していると、瞳が微笑みながら言った
『いいんだよ麻紀。お母さんは分かってくれてるよ。ね、お母さん』
そう言って母の肩を抱く瞳。母も瞳を抱きしめて泣きだした。

今なら「何そのツンデレw」と突っ込みを入れそうなもんだが、その時は「ここの家の連中はよく分からん」と麻紀に困った顔をして見せた。
麻紀は片眉を上げ、親指を立ててながら
『おめでとう和希。瞳を宜しくね』
と微笑んだ。

415343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:24:54
針かた間違ったorz


 
母親と麻紀は何も言わずに部屋の中を見渡していた。
重苦しい空気が部屋を包む。俺達の結婚を快く思っていないのは一目瞭然だった。
それでも瞳は普段以上に明るく振る舞った。見ていて心が痛くなった。
 
やっと瞳と麻紀がぎこちなく話しだした時、母親が突然口を開いた。
『こんな結婚が上手くいくわけがない!』

部屋の空気が凍り付く。瞳の悲しそうな横顔に胸が締め付けられる。

「ちょっと待っ‥」
俺が思わず口を開いた時、部屋に麻紀の怒鳴り声が響いた。
『ちょっと叔母さん!いい加減にしなよ!叔母さんがそんな事ばっか言ってるから瞳だって居なくなっちゃうんじゃない!今日は何しに来たのよ!おめでとうって言いにきたんじゃないの!?』
『瞳、和希、ゴメンね。せっかくご馳走用意して待っててくれたのにね。ほら叔母さん謝んなよ!早く!』

全くの予想外だった。麻紀はずっと俺達の事を嫌っていると思っていた。
俺達はポカーンと口を開いて麻紀を見つめていた。

母親はバツの悪そうな顔で『今迄の事は水に流してあげるわ‥宜しくやればいいじゃない』と吐き捨てる。

そこでまた麻紀の怒号。
『何その言い方!仲直りする気が無いんならもう帰んなよ叔母さん!』

さすが麻紀‥キレた時の勢いは中学の頃から全く衰えてねーな。むしろ恐さが増しとるわ。と俺が場違いな事で感心していると、瞳が微笑みながら言った
『いいんだよ麻紀。お母さんは分かってくれてるよ。ね、お母さん』
そう言って母の肩を抱く瞳。母も瞳を抱きしめて泣きだした。

今なら「何そのツンデレw」と突っ込みを入れそうなもんだが、その時は「ここの家の連中はよく分からん」と麻紀に困った顔をして見せた。
麻紀は片眉を上げ、親指を立ててながら
『おめでとう和希。瞳を宜しくね』
と微笑んだ。

416343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:30:00
それから母親が帰るまで三日間、瞳と母親は疎遠だった時間を取り戻すようにべったりくっ付いていた。
 
母と麻紀を空港まで送った帰りの車の中で瞳は言った。

『ねえ和希。今私ね、凄く幸せ。お母さんも麻紀も祝福してくれて、和希が側にいてくれて。幸せすぎてどうにかなっちゃいそうだよ。』
『今まで生きてきて良かったって。生まれきて良かったって。和希と出逢えて良かったって。本当にそう思うの。和希、ありがとう。愛してる』

そう言って微笑む瞳が可愛い過ぎて、俺は今更ながら照れてしまい、黙って微笑みながら頷いた。
 
ありがとうと言いたいのは俺の方だよ瞳。瞳が出逢えた事でどれだけ俺が強くなれただろう。どれだけ勇気付けられただろう。どれだけの笑顔を貰っただろう。

夕日に染まる海岸沿いの道路。俺の手に手を重ねて車のラジオから流れるsadeのkiss of lifeを口ずさむ瞳の綺麗な横顔。目があうと瞳は優しく微笑んだ。
俺は幸せを噛み締めていた。


そんな時だった。
突然後ろから物凄い衝撃を受けて、俺は意識を失った。

417343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:33:28
目が覚めると辺りは真っ暗だった。
ボーっとする頭で何気なく起き上がろうとすると、胸の辺りに激痛が走った。

一瞬で状況が理解できた。
『瞳?』
誰もいない病室に俺の声だけが響く。

俺は叫んだ。何を叫んでいたかは覚えていない。全身に激痛が走るが構っていられなかった。
ベッドから転げ落ちた。そのまま無理やり立ち上がってドアを開け、瞳の名を呼びながら這いずって進んだ。
 
駆けつけた看護婦達の叫び声が聞こえる。看護婦の腕にすがりついて
『妻は!?妻は無事なんですか!?妻は無事なんですか!?』
と叫び続ける俺。

看護婦達はそれには答えず、駆けつけた医者にベッドに連れ戻され抑えつけられる。
『先生!妻は無事なんでしょ!オイ!答えろや!!何とか言えや!!!!!!!!』
返事をせず、落ち着いてと暴れないでだけを繰り返す医者の姿に絶望した。


いつの間にか眠っていた。目覚めると高田が俺の顔を覗き込んでいた。
「瞳は?」
と聞く俺に高田は
『真山‥今は自分の事だけ考えろ』
と言ってそれ以上何も言わなかった。
 

418343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:37:11
1カ月後、俺は退院した。
入院中、俺の親や麻紀が見舞いにやってきた。高田も毎日顔を出してくれた。
みんなやけに優しかった。

もう暴れる事もなかった。淡々と治療を受け、毎日が過ぎていった。涙を流す事も無かった。


高田が仕事を休んで家まで送ってくれた。一週間も休んだらしい。高田がいないと会社が困るだろと言う俺に高田は
『気にすんな。美味い酒買ってあるから一緒に呑もうぜ』
と俺の肩をバンバン叩いた。
 
部屋に帰るとオフクロが飯を作って待っていた。しばらくこっちに居ると言う。 
部屋は片付いていた。入院前とはだいぶ様子が違っていた。
3人で飯を食って高田が買ってきた高そうな日本酒を飲んだ。

3人で5升ほど呑んだが全く酔わなかった。高田も飲み屋のママをやっている酒豪のオフクロも酔いつぶれたが俺は淡々と呑んでいた。
 
2人が潰れたのを確認して俺はベランダに出た。手すりに手をかけて乗り越えようとした時。

『和希』

後ろから瞳の声がしたような気がして俺は慌てて振り返った。

そこにはカーテンの後ろに隠された瞳の写真が俺に笑いかけていた。
 
泣いた。瞳の写真を抱きしめ子供のようにしゃくりをあげながら俺は泣き続けた。
 
何時間泣いたか分からない。空が白み始めた頃には涙も枯れていた。
ボーっとする頭で手すりに手をかけて遠くを見つめていると、目を覚ました高田が大声で叫びながら必死にしがみついてきた。
『真山!何やってんだ馬鹿野郎!!テメエが死んで瞳ちゃんが喜ぶわけねーだろ!真山!』
 
高田に床に組み伏せられ、仰向けに空を見上げた俺は言った。

「死んでたまるかバカ。瞳に止められたからな。殺されたって死ぬもんか」


419343@和希 ◆DGVuIHCTtc :2007/02/19(月) 23:44:42
あれから四年経った。俺は仕事を辞め、地元で暮らしている。
今はぼちぼち仕事して、職場の雰囲気もいい。友人と馴染みのバーに行ったり、暇な時は2ちゃんを眺めて笑ったりしている。去年からウサギを飼いだした。
至極平穏に過ごしている。

高田とはたまに電話で近況を語り合ったりしている。
『どうせお前には言うだけ無駄だけど、彼女ぐらい作れよな。きっと近所からホモだと思われてんぞw』

大きなお世話だバカ野郎w でも俺の事を気にかけてくれる友達がいるってのは幸せな事だと思う。


瞳の実家とはあまり交流はない。退院の報告をしたときに母親から
『色々あったけど、瞳は幸せだったんだよ。ありがとうね。いつでも顔出してね。あんたは瞳の旦那なんだから』
と言われたが、何となく足が向かないままだった。

先日瞳の婆さんが亡くなった。葬儀で久しぶりに瞳の実家に行った。
線香あげて帰ろうとすると麻紀が俺に古くさいノートを渡してきた。婆さんの部屋にあったそうだ。

家に帰って開いてみると中学生の瞳が書いた日記みたいな物だった。
【買い物】可愛いTシャツを買って嬉しいとか、【悩み】虫歯が痛いとか。

幼い文章に自然とほっぺたが弛んでくる。読み進めていくと【和希】というタイトルがあった。

【和希】

今なにしてるの?
大好きな和希。

背の高い和希。
可愛い和希。
ちょっと意地悪な和希。

笑ってる?
泣いてる?
眠ってるかな?

和希このまえ「ずっと仲良しだ」って言ったよね。
ずっと仲良しだよ。
ずっと側にいるよ。
わたしが和希のこと守ってあげる。

ずっと側にいるよ。


‥泣いた。あれからずっと我慢していた涙が溢れ出て止まらなかった。

全て失した気になっていた。
でも違ったんだ。俺には瞳がいる。瞳と過ごした思い出がある。愛された記憶がある。きっと今も瞳は側にいてくれている。

おまいら、愛ってすげえよな。愛は消えないんだよ。
うまいこと言えんけど、おまいらも愛してる人にちゃんと愛してるって言ってやれ。今すぐな。
 

つう事で漏れは毒男板に戻るわ。付き合ってくれてdクスな。書くの遅くて本当にスマソ。
ふじゃおまいら!うゆー

420恋する名無しさん:2007/02/20(火) 11:01:05
今日、愛してる人に
「愛してる」
と言ってきます
421恋する名無しさん:2007/02/20(火) 11:12:03
読み疲れた!
422恋する名無しさん:2007/02/20(火) 11:14:37
まぁ〜、どこにでもある小説だね〜
ごめん

423恋する名無しさん:2007/02/20(火) 11:50:08
出会いは船の中でした。
船旅の半分は、惰性で過ごしてた。

それが一転、いつもの、とある企画に顔を出したら、いつもと違う見知らぬ人が。
第一印象、かっこ良さげ。真面目そう、誠実そう、優しそう。。
まぁ実際そんなこと咄嗟に言葉にして頭に浮かばなかった。
とにかく好感が持てた。
あーこんな人も船にいたんだ。って。
424恋する名無しさん:2007/02/20(火) 12:03:10
私はずぼらな性格だけれど、見た目的には控えめなお嬢タイプ。らしい。
お酒が入らなければ苦(笑)
その人が若干気になったけれど、同日の企画でまた再会して話しかけてくれたことで
確信しました。「私、この人が気になってる」とか。

私は本当に、精神的に病んでいて、過呼吸で電車の中でも一杯一杯になっちゃうメンヘラー
だったけど、その人を想う気持ちで強くなれました。

恋愛ネタとしては、恥ずかしくて多くは語れないけれど、その人の存在ありきで今の
自分があるんだと思えます。
私は東京。相手は九州。それを聞いた時はショックでした。
今でも喪失感があるけど、大事な思い出があるから、
また頑張れます。
苦しいけれど、…大事な別れです。本心、またいつか会いたいよ。
425恋する名無しさん:2007/02/20(火) 23:07:45
マテルヨ

まとめサイトできたんだ
管理人さん頑張って
426334 ◆JC5gtdvqu. :2007/02/22(木) 03:03:05
>>335-336さん
ずいぶんとお返事が遅くなりました。ごめんなさい!

・・・いやはや驚きました。
同じエキサイトでバージョン違いのスキン、しかも進行具合まで一緒とは。
なんだか>>335さんに親しみをおぼえてしまいますw

まとめサイトの件、承知しました。
僭越ながら管理人としてがんばらせていただきます。

>>425
応援ありがとうございます!
仕事が忙しくてなかなか思うように更新できておりませんが、
出来得る限り努力してまいりますので、
どうぞ今後ともご愛顧のほどを。
427まとめサイト”管理”人 ◆JC5gtdvqu. :2007/02/23(金) 07:21:15
おはようございます。
早起きは三文の得...というわけではありませんが、
出勤前にひとつ更新いたしました。
では、行ってまいります。ノシ

ついでに保守ageしますねw
428恋する名無しさん:2007/02/26(月) 00:43:30
期待あげ
429恋する名無しさん:2007/03/01(木) 14:23:09
あげ
430 ◆KATSuosGf. :2007/03/01(木) 14:26:35
なんであげたんだよ?
431恋する名無しさん:2007/03/05(月) 00:43:44
age
432 ◆KATSuosGf. :2007/03/05(月) 00:46:33
あら?ここなんか書いてあったっけ・・・・・
433恋する名無しさん:2007/03/08(木) 23:41:19
あげ
434恋する名無しさん:2007/03/08(木) 23:42:50
おいおい…
435恋する名無しさん:2007/03/10(土) 01:27:32
あげ
436恋する名無しさん:2007/03/14(水) 15:51:14
揚げ
437恋する名無しさん:2007/03/18(日) 22:09:15
上げ
438恋する名無しさん:2007/03/22(木) 19:40:38
即アポ可能!出会える率がハンパじゃない!
http://www.my-partner.jp/?deai
439恋する名無しさん:2007/03/23(金) 01:06:09
こっそり
440恋する名無しさん:2007/03/28(水) 02:12:26
新ストーリーマテルヨ
441恋する名無しさん:2007/03/31(土) 22:09:18
HOSYU AGE
442恋する名無しさん:2007/04/04(水) 21:07:16
安芸
443恋する名無しさん:2007/04/09(月) 21:37:16
age
444恋する名無しさん:2007/04/12(木) 00:29:46
保守
445恋する名無しさん:2007/04/15(日) 03:37:39
マテルヨ
446恋する名無しさん:2007/04/15(日) 17:41:05
まとめサイト更新ストップ?
447恋する名無しさん:2007/04/15(日) 20:30:46
>>446
俺も気になってた
スレは止まるし、まとめサイトの更新も二ヵ月近く止まってる
どうなってしまうんだー
448恋する名無しさん:2007/04/16(月) 23:03:50
ここなら出会える!!
http://hoim.iza-yoi.net/
449恋する名無しさん
まとめ管理人さん
ゆっくりでいいから更新たのみます