813 :
恋する名無しさん:
今から一年ほど前、妹が自殺した
原因は俺だ
俺が5才の頃、親父が病気で入院して母がよく見舞いにいったので祖父母の家に預けられることがよくあった
そのときに祖母は俺によくこう言ってくれた
「お父さん、お母さんは忙しくて大変だけどお兄ちゃんが◯◯ちゃんをしっかり見てあげるんだよ」
俺はそれから妹を気遣い大事にするようになった
親父が退院してからも俺はずっと妹を大事にしてあげた
小学生の頃に犬に追いかけられおっぱらったり
中学の時は夜遅くまで部活で危ないからと一緒に帰った
高校も同じで朝慌てて起きてバスに駆け込んだ
二人でよく怒られていた
毎日一緒だった
本当に大切にした
好きな人はと聞かれて妹と答えても普通だった
814 :
恋する名無しさん:05/02/10 09:46:10
俺が高校を卒業し無事に地元の大学にはいった時、妹は俺にこう言った
「大学に入っても私と一緒にいてね」
もちろん俺は快諾した
しかし、妹は受験、俺は大学の付き合いで二人でいる時間はどんどん少なくなっていった
俺は受験を経済的に楽なとこを受けたのであまり勉強しなかったのだが妹は頭はそんなによくなかったので毎日必死に勉強した
「絶対お兄ちゃんと一緒の大学にはいるから」
そういっていつも俺の前では笑っていたが、実際は厳しいものだった
どの模試でも判定はE、そのたびに妹はうなだれていたがすぐに勉強にもどって奮起していた
815 :
恋する名無しさん:05/02/10 09:54:12
妹が悩んでいるのをよそに俺は大学の付き合いを楽しむようになった
そこで俺は一人の女性と親密になり、初めて恋をした
妹が勉強している傍ら、俺は大学の用事だと嘘をつきその女性をデートに誘った
その日に俺は告白され付き合ってくれないかといわれた
俺は躊躇した
妹に対する罪悪感があったからだ
しかし、兄妹なんだから、確かに好きだが恋愛感情とは違うと自分に言い聞かせ付き合うことを決心した
その後も俺は嘘を言い続け彼女とあいにいった
816 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:02:04
十一月になっても妹の判定はEだった
「あれだけ頑張っているのになんで?お兄ちゃんと一緒の大学に入っちゃいけないの?」
と泣き付かれた
俺はいつも妹に優しく接していたが彼女ができたのにいつまでも妹に構ってるのが嫌になった
こんなことを彼女に知られたら別れてくれと言われてしまうと不安だった
不意に俺はこう答えた
「無理して俺と一緒のとこに入らなくてもいいんだぞ?
私立でも俺が働いたらすぐに払ってやるから」
正直彼女に知られたくがないための言い訳だった
817 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:11:21
妹はその言葉を聞いて
「私と一緒は嫌なの?私嫌だよ?ずっと一緒にいたいよ…」
と泣き崩れた
俺は流石に妹が異常なほど俺を頼りにしているのはまずいと思い
「そうじゃないよ。大学が別でも一緒にいられるし、嫌になったわけじゃない。
ただあまり無理をするなってことだよ」
「やっぱり私から離れたいんでしょ?」
「違うよ。ただ…」
「なに?」
俺は意を決して彼女の存在を話した
話したあと妹は分かったと頷き、ちゃんと考えるからと泣きながら部屋にもどっていった
818 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:19:45
それから妹は私立と地元の大学二校受けると決めたと俺に話した
そこなら入れるだろうと俺は安心し、受験の成功を祈った
センター試験が終わり次の日の自己採点、妹は泣きながら学校から帰ってきた
結果は残念なことに失敗だった
私立は関係ないが地元の方は足切りだろうと担任から言われ、学校を飛びだし帰ってきたそうだ
俺は必死に励ました
「失敗したからってまだ私立があるんだ。そんなに落ち込むことはないよ」
この言葉は妹には耐えきれなかったのだろう
翌日、妹はビルから身を投げた
819 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:30:53
俺は病院から電話を受け急いで大学から向かった
病院に着くと両親はすでに泣いていた
俺はその姿を見ておそるおそる妹は?と聞いた
「◯◯は…死んだの」
そう母が言うとぐしゃぐしゃに泣いた
俺は自分を責めた
でも既に遅かった
通夜でも告別式でも俺は泣かなかった
今泣いたところでどうにもならない
妹は俺を許してくれないと
泣いたら妹から逃げたことになる
黙って最期を見送ってやろう
820 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:37:23
泣けた…
甘やかしすぎたんだろうな・・・
821 :
恋する名無しさん:05/02/10 10:45:42
妹が死んで十日ほどたった頃
俺の机の中に見慣れない手紙があることに気付いた
間違いなく妹からのものだった
日付は妹が死んだ前日になっていた
お兄ちゃんへ
ごめんなさい。十八年間迷惑かけっぱなしだったけどこれが最後の迷惑です
ホントにごめんなさい
私が死んだのはお兄ちゃんのせいじゃないよ。
私が頑張らなかったから、お兄ちゃんと一緒になれなかったから
私自身がお兄ちゃんの彼女の話しを聞いてから決めてたことなの
話を聞いたときものすごく悲しくてずっと泣いて泣いて
これ以上ないってくらい泣いちゃった
でもお兄ちゃんは私に嘘をつかないでちゃんと話してくれたから
私も嘘はつかないで自分の行きたいところに正直にって思って
でも私立受けるって嘘ついちゃったからごめんなさい
822 :
恋する名無しさん:05/02/10 11:01:24
ずっと一緒にいようって言ったのにこれも嘘ついちゃった…
ごめんなさい
お父さんもお母さんも
ごめんなさい
こんな妹でごめんなさい
さっきから謝ってばかりでごめんなさい
生きてればもっと謝ってたんだろうなあ
でも謝るのもこれで終わり
神様に今度は兄妹じゃなくて恋人や夫婦にしてくださいってお願いしておきます
なるべくこないでほしいけど
最低でも百年たってからこっちにくるんだよ
今までホントにありがとう
大好き
823 :
恋する名無しさん:05/02/10 11:21:41
手紙の最後の方がシワくちゃになっていた
気付いたら俺も泣いてた
泣かないと決めてたのに妹のを心境を聞き泣かずにはいられなかった
再び俺は毎日妹を大事にした
朝起きたらおはようの挨拶をして
ご飯もちゃんと傍までもっていってあげる
お茶をついでやる
花もいろいろ買ってきてあげる
昨日あったことを話してあげる
もちろん嘘はないホントの話だけを
今日も手紙の横で笑顔の妹に俺は手を合わせ
「じゃあ今日はお前の好きな桜餅を帰りに買っていくよ。
いってきます」
といって家を出る
こんなところでしか書けないけどお前は俺の一番大切な人だから
あと99年長いだろうけどまってろ
そしたら今度はずっと一緒にいるから
嘘はつかない。約束だぞ