ネット小説を書こう!

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1名無しさん
yeah!
2名無しさん:2007/03/07(水) 17:57:17 ID:0FXlVqql
誠子は、上司のアキラと不倫していた。
アキラには、妻と子どもが二人いる。
3名無しさん:2007/03/07(水) 18:00:26 ID:0FXlVqql
誠子は、30代も後半にさしかかり、親から結婚のことをうるさく言われていた。
そんなとき、誠子は転勤してきたアキラという、自分より10歳ほど年上の男性と出会う。
4名無しさん:2007/03/07(水) 18:06:49 ID:0FXlVqql
いけない事だというのは、わかっている・・・。
誠子は、小さなバーにアキラを誘った。
誠子は、胸の内をすべて告白する・・・。アキラは、軽く微笑んだ。合意の合図である。
彼らはラブホテルで熱い一夜を過ごした・・・
誠子は思った。「もう、戻れないところまで来ているのよ」
5名無しさん:2007/03/07(水) 18:12:37 ID:U0snyP3f
「これだけしかないんです」
僕は両腕を大きく上に挙げ、バンザイポーズをとって言った。
「これだけしか生えてこないんです」
僕は腋を男に見せ付けた。
「熊みたいに毛むくじゃらな奴が友達にいます。そいつを呼び出しますから」
6名無しさん:2007/03/07(水) 18:16:37 ID:brFNyYTL
ここで場面は変わり、京都は法隆寺
7名無しさん:2007/03/07(水) 18:17:31 ID:IYZW5e6S
僕らの戦いはまだ始まったばかりだ!
8名無しさん:2007/03/07(水) 18:18:31 ID:0FXlVqql
ある日、アキラが部下の女性社員と談笑していた。アキラは、楽しそうに笑っていた。
誠子の中で、なにかが「燃えた」。嫉妬。
奥さんとも、こんな感じなのかな・・・
胸がしめつけられる思い。
彼が、自分以外の女、いや、自分以外のものと楽しそうにしているところを見ると、嫉妬の炎は激しく燃え盛るのであった。
9名無しさん:2007/03/07(水) 18:22:21 ID:0FXlVqql
誠子はその後、アキラと話をしていた女性社員を問いつめた。
あなた、何を話していたの?あの方は、もう結婚されてるのよ。
何なれなれしくしてるのよ。あなた、まさかあの方に気があって?
そういう先輩こそ・・・、いつもジロジロ見てますね。アキラさんのこと。
誠子は、不意をつかれた気持ちになった。見透かされていた。
10名無しさん:2007/03/07(水) 18:31:19 ID:0FXlVqql
こうして、誠子とアキラの妖しい関係は職場中に知れ渡った。
誠子とすれ違い様に、中傷的な笑みを投げかける者も少なくない。
どちらかというと、誠子への非難が多かった。
いいトシして結婚してないと思ったら、不倫かよ・・・。しかも、転勤してきたばかりの何も知らない男を食い物にしてんだぜ?
相手、アキラさんっていう人、結婚してお子さんもいるんだって・・・。
この前、アキラさんとお話ししてた子、誠子に呼び出されてたよ。
陰湿だね〜・・・
しだいに誠子は、ストレスがたまり、よく欠勤するようになった。
アキラさん・・・、助けてよ。
11まま p0126-ip01aobadori.miyagi.ocn.ne.jp:2007/03/07(水) 18:36:49 ID:NHpqNLM3
書こう!と誘っておきながら、他の人のレスを、
蟻を踏み潰すようにシカトする1
12名無しさん:2007/03/07(水) 18:42:37 ID:0FXlVqql
それでも彼らの密かな愛は続く。
人通りの少ない路地裏の、古くさびれた喫茶店。誠子は、今苦しいこと辛いことを、アキラにぶつけたかった。
でも・・・、彼を困らせたくない。
しかし、アキラの方から職場の話をきりだしてくれることを、誠子は望んでいた。
13名無しさん:2007/03/07(水) 18:48:31 ID:0FXlVqql
アキラは職場の話をすることなく、車のエンジンをかけ、誠子を連れラブホテルの玄関を開けた。
部屋の中へ入り、ベッドに腰を下ろす。疲労がのしかかってくるように、ひどく誠子は疲れていた。
そのとき、アキラは言った。
こんど、旅行に行こう。好きなところに連れてってあげる。
誠子は、ピントはずれの彼の思いやりに、嬉しさと嫌悪の混じった複雑な気持ちを抱きながら、涙ぐみつつもありがとうと言う。
そうね・・・、わたし故郷に帰りたい。地方なんだけど、いい?
ああ、どこにでも連れて行くよ。
14名無しさん:2007/03/07(水) 18:49:10 ID:IYZW5e6S
五十近くでアキラというカタカナ名の人は実にハイカラである
ここから察するにアキラの父母は実に淫乱なのである
15名無しさん:2007/03/07(水) 18:55:28 ID:0FXlVqql
日曜日、彼と約束していた日がやってきた。
日曜日なら、ふつう家族とどこかへ出かけるはずなのに。私を、優先してくれてるんだ・・・
誠子の胸が震えた。愛されてるということを、身をもって実感していた。
そのとき、携帯がなった。アキラからだった。
どうしたの?・・・えっ?!
誠子、悪い・・・妻が高熱なんだ。きょう一日中、おれが面倒みてやらないと、不安なんだ
・・・なんで!?旅行はどうなったの!?
どこへでも連れてってくれるって言ったじゃない!
病人がいるんだぞ。ほっとけないじゃないか!
電話が切れる。・・・誠子は、泣き崩れた。
16DTI利用者:2007/03/07(水) 19:27:24 ID:CJuPPjxH
ロビーの人ってこういうの好きですよね。
17名無しさん:2007/03/07(水) 19:39:43 ID:0FXlVqql
けっきょく、私より奥さんが大事なんだ。
誠子は、今まで勤めてきた会社を退社することにし、住みなれた街を捨て、故郷に帰ったのだった。携帯の番号も変えた。
完全に、アキラとの恋を絶ち切ったのである。
しかし、故郷へ向かう飛行機の中では、幾度も涙があふれでた。
まだ、彼のことを忘れられずに、彼のことを求めているのである。

アキラさん・・・、もう私、邪魔しないからね。奥さんと、お子さんと、幸せな家庭を築いてね。

そのとき、アキラは妻の妊娠を喜んでいた・・・。

じ えんど
18名無しさん:2007/03/07(水) 20:38:01 ID:EJcyNkQL
もしや思うんけど
あの小説投稿んトコに何回も書きよった名無しサンかね
19名無しさん:2007/03/07(水) 20:52:56 ID:0FXlVqql
では次の方どうぞ
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
20名無しさん:2007/03/08(木) 22:34:19 ID:exF7pNAQ
なんで誰も書かないの?
21名無しさん:2007/03/08(木) 22:41:47 ID:veuU7C4U
書き溜めた小説はあるんだけど、あっちの部屋のパソコンに入ってるの
22名無しさん:2007/03/09(金) 04:43:16 ID:SqhZquLL
最近村野が俳句雑誌に掲載されたり、ネット小説で佳作とったりしてるみたいだね
23名無しさん:2007/03/09(金) 08:34:40 ID:wpIkVe8O
俳句って5・7・5じゃん?
5・7・5で毎週新聞やおーいお茶であれだけ作品
発表されてるともう語彙が出尽くすような気がする。
どう考えても昔の人ほど有利な気がする。
24 ◆Rozen//Des :2007/03/09(金) 10:18:59 ID:4qV5qA1Y
私は便座に腰掛けると豪快に脱糞した。
その直後、妙にケツが生暖かくなったので、不審に思った私はケツをあげてみると・・・


幾千の笑いを生み出してきた笑いの伝道師、待望のエッセイ!電車で読む人は要注意。
25肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 11:15:03 ID:xg3MBgkN
>>23
いや、毎日新聞の万能川柳だっけ?アレを見てるとむしろ今のほうがネタが
豊富にあって断然有利だと思います。
あそこに投稿してくる人ってすげぇですよ。いつ見ても。
26肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 13:23:21 ID:xg3MBgkN
「一瞬水着だと思ったら、下着だった。」
後にそう言った彼の名前は斎藤尚之。
県立欣快高等学校一年三組。
彼がなぜ入学したばかりの学校のそれも化学室の前で硬直しているか。
それは目の前に、アニメでしか見ないような水色の縞模様、上下揃いの下着に
薄汚れた白衣のボタンもとめずに現れた「彼女」を見たからだ。
髪は色気なくショートカットに刈り込み微妙にズレた眼鏡はプラスチックフレーム。
おまけに頬には「連続婦女暴行」の鏡文字。
「えーと、ああ、尚之君、だ。ひさしぶりー」
27肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 13:32:54 ID:xg3MBgkN
学校の化学室を私物化し、あまつさえそこをねぐらにしている女生徒がいる。
入学時そんなうわさを聞いた斎藤尚之であった。
が、まさかそ人と尚之が幼少時から、そう陳腐な表現だが「姉のように慕い」かつ
彼の成長に様々な祝福と禍根を残したあの「幼馴染のお姉さん」と同一人物であるとは!
「えーっと、高田道乃さんですよね?」
「えー?そーよ、なにいってるのー」
尚之は幼い記憶にある美少女の面影を見上げた。
見上げた、というのは比喩ではない。
身長165センチの尚之よりさらに20センチは高いところにその顔はある。

28肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 13:33:59 ID:xg3MBgkN
あんまり続けて書くとこないだみたいにまた規制食らうのでぼちぼち
29名無しさん:2007/03/09(金) 15:29:12 ID:qZWdBewb
斎藤尚之ってなんか読売ジャイアンツで外野手でもしてそうな感じがする凛々しい名前だね。
30ъ( ゚toーra^) ◆9eTigeR8aA :2007/03/09(金) 17:16:38 ID:GK7qaRO2
前のやつ、規制でだめになっちゃたのか
31肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 17:53:12 ID:xg3MBgkN
「あっ、ごめん!思春期の男子にこれはちょっとキツかったかな」
道乃はそういってパンツの横をちょっともちあげて放しパチンと鳴らした。
「まあ、ナオ君だし、いいよねー。胸も無いし!」
「はあ」
もし来客が彼以外だったらどうしたのだろう。
「ふん、そこで肯定の答えはないと思うんだがね。お姉さんは。」
短い髪をなおも五月蝿そうにかきあげながら道乃は言った。
「じゃあ、中へどうぞ。ウェルカムTo化学部!といってもなにもしてないんだけど。
とりあえずコーヒーでも」
32肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 18:03:26 ID:xg3MBgkN
化学室といっても、中はさっきまで尚之たちがいた普通の教室と変わらなかった。
というよりもそれよりぐんと狭い。大きさ的には半分くらいだろうか。
表には第三化学室のプレートがかけてあり、幾つか存在する予備特別室みたいな
ものだろう。ただ、教室の真ん中にある2台の大きめの机の横には試験管などを洗う
シンクが付いており、なぜかその蛇口だけピカピカに磨き上げてあった。
「適当にすわってよ」
白衣の下からボーダーの下着をチラチラさせながら道乃は戸棚まで歩いていくと
大き目のビーカーを取り出し、水を入れて五徳に載せた。
「ほら、石綿金網。アスベストのアレで回収されたん時こっそり一個ガメといたんだ。」
33名無しさん:2007/03/09(金) 18:04:44 ID:Wi9qN2xv
肺魚の小説ってストーリーも言葉のチョイスも何もかもが糞なんだけど
34肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/09(金) 18:15:31 ID:xg3MBgkN
ビーカーの下に実験用のガスバーナーを入れた道乃はなれた動作で
マッチを擦ると薄暗い化学室にリンの炎がひどく明るく感じられる。
「マッチはいいよね」
耳元でマッチ棒を振って火を消すと硫黄の香りのする煙が立ち上り、バーナーの
青白い炎からほのかな温かみがした。
「うっ、まだ寒いや」
そんな格好だと寒いのは当たり前ですよ、という言葉を飲み込んだ尚之が炎から目を離して
彼女のほうを見る。
「豆挽いて」道乃はコーヒーミルを手渡した。
35生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/09(金) 22:11:14 ID:qItvpXB0
『芸術と恋人』 第1話「ファイナルウィッチ金子」

六畳一間のボロアパートで真幸と詩織は同棲していた。二人とも定職につかず、
いつもお金は無かったがそれなりに満足だった。
「ねえ真幸、私は新しい詩を考えたわ」詩織は先鋭的な芸術家気質の自称芸術家だった。
「どのようなポエムだい?聞かせてごらん」
「私の詩は言葉ではなく現象なの!全身の毛穴から放屁をしてみせるわ!」
詩織が自信満々で叫んだその刹那、真幸のフックが詩織の腹部を打ち抜いた。
衝撃は詩織の背中を突き抜け、詩織の意識をも虚空へ飛ばした。
意識が無くなる瞬間、彼女は少し微笑んだ。
「早い、まだ早すぎるんだ、詩織、、、まだ時代がお前に追いついてないんだ」
詩織を布団に寝かせ、真幸は煮干でダシをとり素うどんを作って食べた。
うどんの狂おしいエネルギーが体中の血管を駆け巡った。
36生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/09(金) 22:19:00 ID:qItvpXB0
真幸はひとり、ベランダに出てタバコを吸った。
アパートの2階のベランダからは目の前の駐車場とその先のマンションの壁が見えた。
マンションの壁に沿って視線を上に滑らせていくと、そこに四角く切り取られた
星の少ない夜空が被さっていた。
「詩織、俺はお前とは違うやり方でこの世界を変えてみせる!たとえこの手が血に汚れようとも!」
後ろで詩織がむっくりと上半身を起こした。
「メソポタミアを滅ぼしたのは凶暴な野生のカンガルーだったわ。アナタはその生まれ変わりなの」
二人の視線が絡まりあった。
「詩織、素うどん食う?」
「いらない。ご飯に少し、お塩をふって」
(詩織、もし俺が世界を滅ぼしそうになったら、お前が俺を眠らせてくれ)
37生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/09(金) 22:45:47 ID:qItvpXB0
第2話「闇からの攻撃」

革命を誓ったあの日から真幸は毎日素うどんを食べ続けた。
詩織は相変わらず、時々詩を作ったり、拾ってきたこぶし大の石に米粒で
自分の抜けた髪の毛を何本もくっつけ気持ちの悪いオブジェを作成して
市役所に届けた。詩織の長い髪でふさふさした元ただの石は今は市長のデスクに
飾られている、と詩織は思っている。
そんなある日、部屋でシャドーピッチングをしていた真幸が何の前触れも無く倒れた。
「キュッ、キュッ、シャアァァァ!キュッ、キュッ、シャアァァァ!!!」
薄れゆく意識の中で、詩織の度を越えた取り乱しようが真幸にはいじらしく思えた。
38生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/09(金) 23:16:58 ID:qItvpXB0
真幸は病院のベッドの上で目を覚ました。
(ああ、ちゃんと救急車呼べたんだ、、、)実際に詩織が救急車を呼べるまでには
それなり時間がかかった。119の前に0033をつけたり繋がっても「消防ですか、救急ですか?」
の問いかけに「フィフティフィフティ!」と答えたりしたからだ。
「これ以上半分にはできませんよ!どっちですか!?」
「もし間違ったらどうなるの!?」「間違えないでくださいよ、アナタがかけたんでしょ!」
結局消防車と救急車の両方がアパートに到着、現場は一時騒然となった。
早く助けが来るよう、詩織があげた狼煙が事態をさらに混乱させた。
消防車からの放水をくらいながら詩織は(おお、これも私のポエムだわ!)と恍惚としたが
結局二人とも救急車で病院に運ばれた。
真幸を襲ったのは栄養失調であった。医師からは「素うどん以外もしっかり食べてください」
と怒られた。(俺の体はまだ戦える!!!)再び真幸の体に力がみなぎるのだった
39名無しさん:2007/03/10(土) 00:03:26 ID:ix3pAGdF
面白がるべきか迷う
40生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/10(土) 00:08:20 ID:xmPbEWrM
ちょっと失敗した
41肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/10(土) 13:00:25 ID:Up+ry9L6
「いやー今日は入学式だったから油断した。」
尚之がスマトラ・マンデリンをメジャースプーン2杯分粗挽きにする間
窓の外を眺めていた道乃の足元にはコールマンの封筒型シュラフが丸めてある。
「担任だれになった?」
「葉山教諭」
「そう。やっぱり判ってんだね。」
「終わったらすぐにここに行くように言われました。」
「うん。歓迎するよ。」
窓の外には大きな桜の木が見える。
もうそろそろ葉桜だ。
42肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/10(土) 13:08:09 ID:Up+ry9L6
窓に薄く映った道乃の顔はまるで10年前の美少女だ。
その頃6歳の道乃はいつも尚之を従えていた。
尚之も道乃に従っていた。
10年って長いな。
尚之は思った。
いろんなものが変わる。
たった15年しか生きていない彼がそう思った。
「練乳は?」
回想は飛び、10年後の道乃がいつのまにか目の前にベトナム式でコーヒーを入れていた。
43ъ( ゚toーra^) ◆9eTigeR8aA :2007/03/11(日) 05:22:37 ID:6IgvbKMp
豆の種類とかメーカー名(寝袋)は書かない方がいいんじゃない。
スノッブでやな感じだよ。

特徴を詳しめに書いて、解る人に想像させるぐらいのほうが良いと思うんだけど。
44肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/11(日) 13:49:16 ID:110+/SiO
ネットいじめ:投稿ポルノに中3男子が実名使われ 秋田 
 インターネットの投稿ポルノ小説の主人公に自分の名前が使われたとして、
秋田市の中学3年男子生徒が、秋田中央署に被害相談をしていたことが分かった。
同署は名誉棄損容疑で捜査している。 同署によると、男子生徒は昨年11月、
名前がポルノ小説のページにあるとして学校でからかわれ、同年12月中旬には
ショックで数日間学校を休んだ。小説は男子生徒が中学3年生として同名で登場し、
校内で女子生徒とみだらな行為を繰り返す内容で、同校の女子生徒数人の実名もあるという。
小説はリレー形式でパソコンや携帯電話で続きを書くことができる。
 同署の依頼でページ運営会社は同年12月、この小説を削除した。
毎日新聞 2007年3月10日 20時49分

うわっ、こういうのって学生時代やらなかった?肉筆回覧本で。
45肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/11(日) 15:58:55 ID:110+/SiO
いやー、相変わらずトラ君はわかってくれてますねえ
46ъ( ゚toーra^) ◆9eTigeR8aA :2007/03/11(日) 17:26:01 ID:6IgvbKMp
これはすごい皮肉だ
47生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/11(日) 23:05:16 ID:VAscLVM5
第3話「覇王の階段」

来るべきその日のため、真幸は自らの体を鍛え続けた。この日は風呂場で洗面器に入れた砂を手刀で
打つ練習をしていた。手や指を痛めないため砂の柔らかさには十分注意をはらっていたのでどこまで効果
があるのかは真幸にも分からなかったが。
納得のいくまで砂を打ったあと、腕時計で12時を過ぎたのを確認して昼食をとることにした。過去に医師から
素うどん以外も食すように注意されていたので今日はチキンラーメンを食べることに朝から決めていた。
どんぶりにチキンラーメンと生卵を入れお湯を注ぎ3分、しかし、、、
「なんじゃこりゃあ!卵に全然火が通っておらんじゃないか!」
ラーメンどんぶりのふたを開けた真幸の目に飛び込んできたのは、若干周りの白身に色がついた程度の
温められた生卵を乗せたチキンラーメンだった。しょうがないので麺だけを食べ、残った卵に火を通そうと
レンジにどんぶりを入れてメモリを回した。
台所から離れ、ずっと剥がしてなかった日めくりカレンダーを色々な方法で剥がそうと試みていた真幸の
背後で「パァンッ!」と爆発音が響いた。
48生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/11(日) 23:28:40 ID:VAscLVM5
「、、、!しまった、公安に見つかったか!?」
真幸は自ら開発した戦闘スタイル(虎の構え)で臨戦体制のまま周囲をうかがった。が、爆発音がして
からは実際は何も起こらず、緊張した時間が30秒程度流れた後、台所のレンジが小さく「チン」と鳴る
のだった。(気のせいか、、、しかし先ほどの音は間違いなく殺気をはらんでいた、、、。まさか近くに
ニュータイプでもいるのか?)緊張の糸は解けなかったが、チキンラーメンも気になった。
六畳一間の襖を開き、台所へ真幸は向かった。アパートのつくりは玄関を入ると小さな台所兼廊下、
正面が六畳の部屋で左がユニットバス、右が狭いキッチンになっている。
真幸は右手はいつでも防御に使えるようにあけたまま左手でレンジの扉を開けた。そして
「うおっ!」
真幸の目に飛び込んできたのはチキンラーメンのスープ、卵、そして卵から出た灰汁が飛び散った
悲惨なレンジの内部の姿だった。
「誰の仕業だ!出て来い、卑怯ものめ!」
真幸は叫んだ。夕方にバイトから帰ってきた詩織が卵をレンジにかけると爆発する事を教えてくれる
まで、真幸は虎の構えでずっと臨戦体制をとり続けるのだった
49生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 00:02:35 ID:VAscLVM5
その日の夜、布団の中で真幸は考えていた。横では詩織が聞いたことも無い暗い歌を歌いながら
時々予言めいた言葉を発した。「白い蛙を見つけた少女は24になる前に死ぬ」とか「海水さえあれ
ば結構いろいろ出来るはず」とか、、、。コンポのディスプレイが部屋をわずかに青く照らしている。
スピーカーからビル・エバンスの優しいピアノが流れていた。
(さて、悪いのは誰だ?俺か由紀恵か太一か、、、あんな嘘だらけのコマーシャルフィルムを許す
わけにはいかない。女を攻撃するわけにもいかん、やるなら、、、)
「詩織、俺は明日ジャニーズ事務所に潜入する。もちろん止めないだろうね?」
「なぜそんなことを聞くの?私の王子様!」
詩織は激しく真幸の唇を吸った。
「おお、私の王子様、お願いだから生きて帰ってきて!活火山の火口付近は大変危険だわ、、、」
「違う詩織、俺が行くのは芸能事務所だ。第一活火山の火口まで行ったらまず死ぬだろう。」
「あなたは博識だわ!そして私はもう寝るから神様がこの部屋に来ても起こさないでね、おやすみ!」
そう言うと詩織はすぐに眠ってしまった。真幸は布団の中でこぶしを握り締め、小さくつぶやいた。
「明日、、、明日、日本の歴史に俺の名が載らないまでも、少なくとも句読点くらいにはなってやる!」
真幸の目に燃え上がっているのは復讐ではなく、すでに野心へと性質を変えた炎だった
50生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 00:30:11 ID:gik0zQ3T
第4話「花々の墓」
翌日、都内某所にあるジャニーズ事務所に清掃員に扮して潜入した真幸は掃除をマメにこなしながら
ターゲットを鋭い目で捜した。(ここが日本で皇居の次にセキュリティーが厳しいジャニーズ事務所か)
廊下の所々や各部屋の前には槍をもったジャニーズジュニアが立っている。幼い顔をしている彼らだ
が、芸能界で生き残るためにそれなりの訓練を施されたのであろう、戦いでついたと思われる生傷を
その小さな顔や体に走らせた者も数人いた。(さて、どこにいけばアイツに会えるかな、、、確実なのは
トイレか、、、)真幸はいかにも集めたゴミを地下のゴミ収集場に運んだり、廊下のシミを気にしたりする
フリを装いながら7階にある男子トイレに潜入した。
個室で清掃員の作業着から戦闘着である黒いスウェット上下に着替え、その時を時を個室に隠れたま
ま待った。数時間後、真幸が便座に座り結構な勢いで熟睡してたころ、廊下からある歌声とともに一人
の男がトイレに入ってきた。
「びーあんびしゃーす、わーがーとーもよー、、、」
(この声は、太一だ!)真幸は一気に覚醒した。そっと個室の扉を開け、ドアの隙間から排尿中の標的
の背中を確認する。(間違いない、、、この格好はゴチの後の太一だな!)
扉から体を滑り出し学ラン姿の太一の背後に回りこむ。
「ヘイ、、、今付き合っている女性ミュージシャンはいますか?いなかったら俺と勝負しろよ、男だろ!」
51肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/12(月) 19:34:22 ID:V5I5NXjd
「ここ、化学部なんですよね?」
「そう。部員は私と、尚之君だけ。」
「もう部員ですか。」
「入部届け、担任に言えばくれるから。書いて出しといて」
コーヒーよりもむしろ歯ブラシのほうが似合うだろうプラスチックの
マグカップに入ったコーヒーが置かれた。
「チョコレート、その2番目の引き出しにあるから。」
そう言った道乃は足を組んで椅子に座り手元にあったハードカバーの
書籍を読み始めた。
「適当にしといて。今日は何もなし。」
52肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/12(月) 19:40:35 ID:V5I5NXjd
「何も無しですか。」
「そう。一見依頼が来てるんだけどね。めんどいから明日説明する。」
「依頼って、なんですか?」
怪訝な顔で尚之が聞く。
「え?聞いてないの?そうかー、結構みんな口が堅いんだねえ」
道乃は本から顔を上げて窓の外を見る。
「・・・・まさか、道乃さん『アレ』を使ってるんじゃないでしょうね!」
道乃はとぼけて視線を合わせない。
「僕がここに来たのは何のためだと思ってるんです!」
「まあまあ、ナオ君、ほらほら、コーヒーこぼれるって」
53生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 22:19:04 ID:gik0zQ3T
「えっ?誰?誰?」排尿中であるため後ろを振り返ることも出来ないまま太一が悶えた。
「待つ!当方の目的は貴殿の排尿を妨害することにあらず!」真幸は腕を組み仁王立ちで
太一のプルプルが終わるのを待った。
「そんなこと言われてもこんな状況で、、、」
なんとか排尿を終え太一は振り返る。「誰?」
「今回は貴殿に近づくためハズカシステムを発動した!改めて当方の目的を伝えよう!貴
殿から世に伝わった麺製品の調理法に著しい間違いがある!」
真幸はタバコに火をつけ、一口吸ってタバコを便器に捨てた。
「そいつを正すのが目的よォォ!」
(なんだコイツ、アブネエ!)太一はかなりの身の危険を感じた。(逃げるしかねえ!)
太一は手も洗わずにダッシュでトイレから飛び出した。
「待て、逃がすものか!こんな時の為に俺の格好は動きやすいぞ!」
真幸も全力で追いかけた。事務所7階の廊下は直線で700mくらいあった。走る二人の差が
だんだん開いていく。(しまった、あいつら体育会系だった、、、)みるみる太一が廊下の向こ
うに小さくなっていく。太一を追いかける真幸、その時、けたたましい警報ベルが鳴り響いた
54生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 22:47:41 ID:gik0zQ3T
警報ベルの響きとともに、あちこちから槍を持ったジャニーズジュニア達が集まってきた。
「みんな気をつけろ!コイツいわゆるアブナイ奴だろ!」
「失礼な事を言うな!私は名乗りを上げて戦いを挑んだのだぞ!」
「名乗ってねえじゃねえか!だからお前誰なんだよ!」
真幸は前後左右すでにジュニア達に囲まれていた。(しまった、囲まれた!)真幸は舌打
ちした。肩で息をしながら太一がゆっくり真幸に話しかけた。
「さあ言え、、、お前はどこの誰で、何の目的で俺に近づいた、、、」
真幸は言葉に詰まった。しかし、頭の中で何かが閃くと同時に彼の瞳が爛々と燃え上がっ
た。
「俺は、お前の村の村長になるべき男だ!俺を受け入れろ!」
はっ、と一同はあっけにとられた。誰一人、真幸の言っている意味を理解しなかったのだ。
「もう一度言う!俺達はどうなっちまうんだ!?誰か教えてくれ!」
(言ってることが変わったうえ質問になってる!)太一もジュニア達も驚きの余り言葉を失
った。その時、、、
「騒がしいな、、、貴様か、事務所に侵入した不審者というのは?」
55生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 23:08:47 ID:gik0zQ3T
ジュニア達の後ろから、初老の男がゆっくり歩いてきた。ジュニア達が彼の出す
オーラに気圧されたように道を開ける。
「ああ、間違えた。ユーか、事務所に侵入した不審者というのは?」
「何を間違えたのか分からんが俺だ。、、、もしやアンタがジャニーか?」
初老の男がニヤリを怖い笑みを浮かべる。
「だとしたらどうする?」
「だったら話しが早い。」
真幸はズボンを下ろしお尻をジャニーに突き出した。
「俺の中の宇宙を体験しろ!」
真幸の挑発を受けてジャニーの目に凶悪な光がまたたいた。
「小僧、、、!」
ジャニーも思わずベルトを外しながら唸った。
「やばい!みんな二人を止めろ!」太一が叫んだ
56生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/12(月) 23:39:15 ID:gik0zQ3T
やめて!やめて!まだ声変わりもしていないジュニア達の叫びが事務所の廊下に
こだまする。
「離せアニメ声ども!邪魔をするなー!」
「ユー達お触りタッチミーがお上手だがそれもデビューまで!」
さっぱり分けのわからない怒声が飛び交う中、ジュニア達の手を振り払いジャニー
が真幸の頭の横に自分の頬がくっつきそうな位置まで顔を近づけつぶやいた。
「ユーがどこまで上り詰めることができるか楽しみだ、、、しかし今日はここで打ち止
めだ!」
ジャニーの両腕がビュッと振られ、左右から同時に真幸のテンプルを打った。
(しまった、、、ここに何しに来たんだか忘れてた、、、)薄れ行く意識の中で、真幸の
耳にはジュニア達のアニメ声だけが印象深く残っていた。
気が付くと多摩川の土手に真幸は倒れていた。春の日差しが暖かい午後だった。
「夢?、、、まさかな」
自分の体に異常がないか全身を一通り確かめて、スウェットのお尻のポッケに一枚
の紙が入っているのに気が付いた。
「拝啓、ユーへ。太一が(なんだか分からないけどゴメン)って言ってたよ。あと清掃
代金は口座に振り込んでおいたから今後もよろしく。ジャニー」
真幸はタバコを吸った。一仕事終えて一服している人がよくそう思うように、生きよう
と真幸は思った。
57ъ( ゚toーra^) ◆9eTigeR8aA :2007/03/13(火) 01:08:22 ID:qBAs9bRT
ええ、話や
58生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/14(水) 23:24:41 ID:sRsBPcPw
第5話「魔王」
ある晴れた3月の土曜日の午後、真幸と詩織はふたりの愛の巣であるいつもの6畳の
アパートにいた。特にバイトもなく暇をもてあましていたふたりは午前中のうちに近く
のホームセンターに買い物に行き七輪と備長炭を購入し、室内でバーベキューを行
う暴挙にでていた。午前11時から始まった室内バーベキューは、まだ風が冷たかっ
た為窓を閉め切ってスタートしたが、
「これは確実に命を落とすね。」
との真幸の的確な状況判断によって窓を開ける換気が行われた。
「トゥーヤング トゥーダイね。人はこれを神隠しと呼ぶわ。」
「呼ばないよ。」
二人が住むアパートの2階の窓からは通常の生活では起こりえない排煙が立ち上っ
ていたが、過去に室内で狼煙をあげた実績を買われてか御近所さん達からは通報さ
れなかった。もしかしたら気が付かれていないのか、関わられたくないのかもしれない
59生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/14(水) 23:59:19 ID:sRsBPcPw
二人はビールや日本酒を飲みながら、肉やウインナーや椎茸を焼いては食べた。
最初は映画や本や、山菜や乗り物の話で盛り上がっていた恋人たちであったが時
が進むにつれだんだん口数が少なくなり、それぞれの妄想や無意識の中へ溺れて
いった。酒の力も十分に作用していたに違いない。
「ロックの価値観なんてクソくらえだわ。」
不意に詩織がつぶやいた。
「プロレスラーは裸になってもプロレスラーだけどタイツはタイツでしかないように。」
(はじまったか。詩織のシンデレラタイムだ。この瞬間の君が一番美しい)
真幸は日本酒を飲みながら眩しげに恋人を見つめた。
「夏になればロックフェスとかG1クライマックスとかがあるじゃない?私が初めて体
験したこういった類のものはラジオ体操だったわ。ラジオに体をコントロールされると
は傑作だわ!」
「ちょっと君、落ち着きたまえ」
「落ち着いてられるか、このタミヤ製品め!」
シンデレラタイムは薔薇と同じように棘とスリルを孕んでふたりの小さな世界を完全
なものに作り上げていくのだった
60肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/15(木) 20:45:22 ID:yi7ujYBS
「まあ、滅多矢鱈に使わなければ良いことなんでしょうけどね。」
「うん。滅多矢鱈ではないよ。それは大丈夫。・・・な、わけで明日は朝五時。」
「朝5時ですか。人目につかないならもう一時間早めたほうが。って
なにするか知りませんが。」
道乃はすっくと立ち上がり人差し指をぴんと立ててこう言った。
「世のため人のため、そしてこの学校にひとときの平安を!」
2秒ほどの間。
これはヤバイと思った尚之。
昔もそうだった。彼女がなにか紋切り型の見栄を切るときはなにかあるのだ。
「新聞沙汰もうごめんですよ。」
61肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/15(木) 20:51:03 ID:yi7ujYBS
それはまだ道乃が6歳。
尚之が5歳の頃。
道乃の誘いに彼女の家まで言った尚之は突然庭につれ出された。
彼女の家は旧家で、庭もそれなりに広い。
そこにはちょっとした池もあった。
「よし!露天風呂!」
「ろてんぶろ」
彼女は手に持ったエアガンを池に向けた。
パスンという圧縮された空気が狭い筒を通り抜ける音と共に
目の前の池の水が一瞬にして沸騰する
62名無しさん:2007/03/16(金) 22:47:59 ID:jOkasrng
あげるか
63名無しさん:2007/03/16(金) 22:52:35 ID:VWD64E19
「な・なんだよ・・」ナツミはシュミレーターマシンの陰に逃げ込んだ
「ヲレは君の上官だからね。君に命令違反の懲罰を与えにきたった訳さ(@w荒」
そう言うと遠 尉は右手でナツミの肩を掴み引き寄せた。彼の股間はヴィンヴィン
になっている。「なんだよ、やめろよ!! こんな汚いモノ見せんなよ!!」抵抗するナツミ
遠 尉は自分のマイスンをナツミの下腹部に押し付けた。「ヲレのマグナムはどうよ?(@w爆」
そう言うと彼はナツミのノーマルスーツを脱がせにかかる。壁にもたれかかる二人、ナツミは
激しく抵抗するが身長150弱の娘が180超えのキモデヴヲタルックの男に敵うはずがない。
「ヲレは・・ヲレは・・」遠 尉はありとあらゆる卑猥な行為を脳内に浮かべ実行していく。
まずは自分のマイスンをナツミに握らせ扱かせる。「ヲッ・・ヲッ・・」「やっやめろって言ってんだろ!!」
ナツミの声はオオクボの機関音にかき消される。と同時に遠 尉の左手がナツミの秘部を捉えた。
「やっ、ぐっ・・うう・・」ナツミは悶えた。
64生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/17(土) 00:08:54 ID:jS9KGvns
第6話「陥落のレクイエム」
シンデレラタイムに突入した詩織は激しい憎悪に体を震わせながらベランダに出て、
晴れた午後の空を見上げながら声にならぬ叫びを上げた。
「ッッッッタァ!」
白目をむき、しばらく怒り狂いながら放心していたが、突然目に意識が返ってきた
かと思うとくるりと振り返り真幸に向かって叫んだ。
「大空にGが飛びまくっているわ!今すぐ打ち落としましょう!」
65生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/17(土) 00:16:54 ID:jS9KGvns
「そいつは名案だ!、、、で、Gってのは何?」
真幸は出来るだけ詩織を刺激しないように肯定しつつ確認すべきことは確認
しておこうと努力した。
「もちろん、アッチ側に決まっているじゃないの!」
詩織は台所へ走り、炊飯器から釜を取ってきた。釜にはやや硬くなったゴハ
ンが少し入っていたが、それを両手で天にささげるように持ち上げたまま
「タギッタ、タギッタ、私がタギッタように神様はタギリますか?」
と歌い始めた。
「ゴメンなすって!」
真幸の的確なフックが詩織のボディーを打ち抜き、バーベキューは終了し
た。部屋は明日片付ければいいや、と真幸は思った
66生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/17(土) 00:48:28 ID:jS9KGvns
第7話「シンデレラ達の宴」
詩織はかつてレズビアンだった。レズビアン仲間からは「鬼のどS」の異名をとる
タチであったがゲイバーでバーテンをしていた真幸と出会って一目で恋に堕ちた。
「アナタはどっち?」
カウンターに座り詩織がいたずらっぽい目つきで見つめ、彼に質問した。
「おいら悪い猫じゃないよ、ベロって言うんだ」
詩織の前に赤いカクテルが置かれた。真幸が作るカクテルはどれも鉄の味がした。
「ねえ、今夜わたしと、性別を超えたファックをしましょう?」
それは二人にとって危険な賭けでもあったのだ
67肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/19(月) 19:16:29 ID:JzGWX99C
ぶわっと立ち上った湯気は温泉のそれではなく、まさにコケの煮えた臭い。
「うっ」鼻をふさぐ道乃「こりゃ、失敗かなあ」
そのとき
「なんだ?この臭いは」の声と共に垣根の無効から通行人の声
ヤバイと尚之が感じたときにはもうときすでに遅し、意外と交通量の多かった
表通りがにぎやかになり、30分もしないうちに近所の交番から巡査が駆けつけた。
「異臭が立ち上ってるということで・・・・・」
大きなお屋敷ながらあまり近所づきあいも無い道乃の家からの異臭騒ぎに周囲が色めき立つ。
時90年代後半。まだまだあの宗教団体の騒ぎも収まってない頃。
道乃と尚之は庭で硬直していた。
68肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/19(月) 19:25:28 ID:JzGWX99C
「いきなり庭に温泉が沸いた」
苦し紛れとはいえ、そんな後先考えない言い訳に、なんと国家権力は見事に騙された。
一週間後出張からから帰ってきた道乃の父親は地元の降って沸いた温泉フィーバーに
ただただ唖然とし、おまけにその源が我が娘であることを知って激怒した。
「『法術式』をそんないたずらに使うとは!!!!」
マスコミの後始末に奔走した彼は娘を少しばかり遠くに転校させ、僕は彼女と別れることになった。
そして10年。
その10年前の美少女は見まがうほど立派に成長したが、中身が成長してるかどうかは疑わしい、
いや、これはむしろ益々いろんな方面に「増長」してるらしいと尚之は思ったがそこは
主従関係。君はボディガードに徹したまへ。
69生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/20(火) 00:37:47 ID:VwpZPfe3
「君は禁を破るつもりかい?僕らにとって不純異性交遊は未知との遭遇だぜ?」
「私はアナタのこと知ってるわ。聖なるマゾヒストって呼ばれてる凄腕の猫なんでしょ?」
詩織の艶っぽい挑発に、真幸は少し考えてから答えた。
「、、、そうだよ。攻められた回数だけ堕ちる城、男児三日会わずんば欲求不満でオイタ7倍のマゾヒストだよ。
君は鬼のドMの詩織だね。君のベッドはレズビアンの甲子園って呼ばれているそうじゃないか?」
「アハハ、せめて秘密の花園と呼んでほしいわ。アナタこそ、闇鍋って呼ばれてる男の狂宴の主催者なんで
しょ?噂をきいたわ、男子校がひとつ潰れたそうじゃない。」
「あれは予期せぬ出来事だったんだよ。その年の新入部員で天使のような子がいたのが原因だったんだ。」
詩織は興味をそそられた。
「なにがあったの?」
視線を落とし、真幸は暗い夢でも見るように語り始めた。
「神輿だよ。裸の男だけで構成された肌色の男神輿が出来てしまったんだ。富士山よりも眩しかった。」
70生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/20(火) 00:42:16 ID:VwpZPfe3
間違えちった
71肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/22(木) 20:05:50 ID:tVi7OM/m
さて翌朝5時。
ロードスポーツを時速30キロで蹴りまくって学校に走りこんだ尚之は校門の自販機のところで
道乃を見つけた。
「早いですね」
「きのう泊まっちゃったからね」
ぽん、と投げてよこした缶コーヒーはブラックだった。
「・・・・・つめたいやつじゃないですか」
それには答えずに道乃は尚之の自転車を眺めて
「それ、二人乗り出来るよね?」とのたまった
72肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/22(木) 20:14:04 ID:tVi7OM/m
比較的暖かい土地柄とはいえ、4月のはじめの朝5時はそれなりに寒い。
しかし細身の女子高生とはいえ身長180を超える道乃を後ろに立たせて
自転車をこぐのはけっこう体力を使うのだ。
5分ほど走ったところにある第二グランドについたときは冷たいコーヒーが
尚之ののどにに心地よかった。
まだ明けきれない空の下、テニスコートが二つ作れるくらいの大きさサブグランドに
カラスの声が木霊する。
「寒い。」
道乃はさすがに今日は下着姿ではないものの、合モノの征服に学校指定のうすい
スプリングコートだけで自転車のうしろに立ってきた。そりゃ寒かろう。
73生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/22(木) 23:46:57 ID:ZiQ7uwzu
第8話「歌の暦」
ある日の夕方、真幸はシャワーを浴びていた。髪の毛を洗いながら、なつかしいピチカートファイブ
のウィークエンドという歌を歌っているときに悲劇は起きた。
「きーみとぼくーは恋におちーるー、、、ガァ!」
シャンプーが口に入ったのだ!予期せぬテイストが真幸を襲った。
真幸が悶えていると、バイトから帰ってきた詩織が玄関に入るなり叫んだ。
「真幸、さっきそこのバス停で小人に会ったわ!今度捕まえてきてもいい
かしら!あたしが見つけたの!」
74生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/23(金) 00:01:48 ID:uMFcBPEQ
「何だと!?こうしちゃいられねえ!」
真幸は髪の毛のすすぎも中途半端に風呂場から飛び出した。
「キャッ!ダーリンったらガネーシャ激見え!」
詩織が顔を赤らめ手で隠した。
「貴様!ぬるい事を言っている場合か!今すぐ小人を捕獲に行くぞ!
早急に我が家に対策本部を設置するのだ!」
その後30分ほど時間をかけ『小人捕獲本部』の組織体制草案が作成さ
れた。構成員は真幸と詩織だけだったが、時間がかかった
75名無しさん:2007/03/23(金) 20:37:05 ID:u/aGOvYb
肺魚の書くものには魂がない。
76生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/23(金) 23:54:16 ID:uMFcBPEQ
真幸と詩織は戦闘服である黒いスウェットに着替え夕暮れの街に飛び出した。
「ちゃんとシャンプーすすがなかったから髪がガビガビだぜ」
「マジゲロティモテ?」
「詩織、質問の意味がわかんない。質問なのかもわからない」
詩織の先導で真幸は近所の小さな公園にたどり着いた。
「ほら、あすこ!」
小さな公園の小さな砂場に、自作と思われるバス停の標識をもった小柄な老婆
が一人、無表情で立っていた
77生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 00:00:52 ID:wjG12jpq
「たしかに小さいが、、、小人と言うほどでもないな。それにあのバス停、、、」
「見て!『苦悶坂入り口』って書いてある!」
確かにバス停の停留所名は手書きで書いたと思われる癖字で『苦悶坂入り口』と
書かれていた。そして裏には白地に黒で蠅らしき虫のシルエットが大きく描かれ
ている。詩織は笑顔を浮かべながら老婆に近づいた。
「小人さん、小人のおばあちゃん、なんばしよっと?」
詩織の笑顔とは対照的に、老婆の顔が一気に険しくなった。
「ココガ 苦シミドコロ タイ!!!」
老婆が叫んだ
78生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 00:07:42 ID:wjG12jpq
老婆は自作バス停を砂場に突き刺すと、両手を広げ虫や鳥が飛ぶようなジェスチャーを
しながら砂場をぐるぐる走り回りだした。
「ぶんぶんぶぶぶん、ぶぶぶぶっぶぶん!」
とよく分からない効果音をつけながら。それを見た真幸はひどく混乱したが、詩織はま
すますうれしそうに満面の笑みをもって怪異を受け入れた。
そして老婆が我を忘れてグルグル走っている隙を突いて自作バス停を奪い取ったのだ!
「バス停はキャッツアイがいただいていくわ!」
「でかしたぞ、しお、、、いや、でかしたわ、瞳!」
老婆の動きがびくりと止まり、驚愕の表情を浮かべて二人を瞠った
79生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 00:09:27 ID:wjG12jpq
街はきらめく passion fruit
ウインクしてる everynight
グラスの中の passion Beat
一口だけで fall in love

甘いメロディ 風にのれば今夜
秘密めいた扉が どこかで開くよ

見つめる Cat's Eye
magic play is dancing
緑色に光る
妖しく Cat's Eye
magic play is dancing
月明り浴びて
we get you…you…you…you…
mysterious girl
80生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 00:29:50 ID:wjG12jpq
恋人達は、老婆のバス停を持って走り出した。
「待てぇぇぇ!こうなったら必殺のミラージュアタックで貴様ら
を吹き飛ばしてやる!」
老婆が立ち止まり胸の前で両腕を交差させ十字を作った。目が怒
りで燃え上がっている。その間にも真幸と詩織は全力で走って逃げた。
「ぎゃあァァァ!射程距離外まで離脱されたァァァ!」
老婆の叫びが二人の背中から聞こえた。
「やったわ、お姉さま!小人のバス停はキャッツアイのものよ!」
詩織は意気揚々とたどり着いた二人のアパートで勝利宣言をした。
真幸はバス停の『苦悶坂入り口』の下に小さなメモ紙で時刻表が貼られ
ているのを見つけ、腕時計で時間を確認した。
「もうすぐ、バスが来るらしい、、、」
ミステリーはいつでも日常生活の中に潜んでるのだ、、、
81村野:2007/03/24(土) 10:29:42 ID:rDowHXCU
82肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/24(土) 20:52:46 ID:PKXbnci+
尚之は缶コーヒーを一息に飲み干した。
「で、どうするんでっ!ってなにするんですかっ!」
いきなり抱きついてきた雪乃。
「あったかーい!あたたかいよ!ナオくん!」
道乃はほっぺたを尚之に押し付けながら言う。
「さあ、ナオくん、今まで会えなかった分、あたしのために働きなさいよ。大丈夫。
悪いようにはしないって。手始めにこの仕事やり終えたら、駅前の『とらんす』で
モーニングおごってやる!」
『とらんす』とは雪乃がいきつけの喫茶店のことだ。
「駅まで僕が自転車こぐんですか?」
83肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/24(土) 20:59:38 ID:PKXbnci+
「そうだ!こげよマイケル!ロウロウロウユアボート!」
道乃は笑った。
相変わらず下手な歌だ。
そしてメルリメルリメルリメルリの部分でコートのポケットから取り出したのは
見覚えのあるモデルガン。
「まだ、それ、使ってるんですか?」
目の前に翳されたCZ75型のエアガンを見た尚之は聞いた。
「うん。これはね。旧チェコスロバキア製で」
「いや、モデルガンなんだから、どれでもいっしょでしょ。」
尚之は道乃の手をほどいた。
84生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 22:31:36 ID:wjG12jpq
>>81 ありがとうー!
でもちゃんと本の形にしたら見直すべき点が多い。精進せねば
85生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 23:10:01 ID:wjG12jpq
第9話「霧の中の月食」
バスが来る時刻になった。真幸はただならないものを感じ、虎の構えで有事にそなえた。
虎の構えは足を肩幅以上に広げ少しひざを曲げ、両腕は若干前に、ものを掴むような形
で突き出し左手を下、右腕を上に丁度サッカーボールでも持っているかのようにかまえ
る。両手の指が虚空を掴む様子を虎の牙に見立てて命名したのだ。真幸はこの構えに絶
対の自信があった。そんな真幸に感化されてか、詩織も自らを守る為に何かをしなけれ
ばと考えたが(私は今までポエムしか作らなかった。習い事といえば幼き日のピアノだ
け、、、雷鳴と共にバスが着たら、大地を裂きバスが着たら、弱いもの達はたちどころ
に蒸発してしまう!)
86生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/24(土) 23:42:44 ID:wjG12jpq
「ああっ!真幸、私ってばバスが怖い!そしてブスになるのも怖い!、、、言って
真幸、私のことを美しい女だと言って!バラの様な女だよ詩織って言って!」
詩織は狂おしげに真幸にすがりついた。真幸は虎の構えを解き、詩織を抱き寄せた。
「詩織、君は美しい。花のように可憐で月の光のようにミステリアスだ!」
「おお、、、真幸、、、私どうかしていたわ。私達ふたりを引き裂くために魔女が
やってくるだなんて、そんなことに怯えていた馬鹿なちっぽけな詩織!」
詩織はげんこつで自分の頭をかるくコツンと叩いた。
「さあ真幸、私は夕飯を作るからアナタは髪の毛をすすいでらっしゃい!」
真幸は風呂場で髪をすすぎながら、台所で詩織が歌うのを聞いた。
「きーみとぼくーは恋におちーるー」
曲はピチカートファイブのウィークエンドだった
87肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/26(月) 18:03:03 ID:Q2VUHa5+
「まあ、そうね。要は起動に足る速度が欲しいの。」
「それなんですけど・・・・いいんですか。そんな軽々しく」
「え?なにが?」
白々しい道乃の笑顔
「それ!それですよそれ!法じゅちゅうがっ!?」
つい畳み掛けてしまった尚之の口がうまく閉まらなかったのは
雪乃がチェコ製銃のモデルガンを一瞬にして尚之の口の中に
突っ込んだからだ。
「ま、表でそれいうのやめようよ」
88肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/26(月) 18:08:11 ID:Q2VUHa5+
3秒ほどの沈黙。
そろそろ明るくなってきた第二グランド。
「誰がどこで聞いてるのかわからないでしょ。」
道乃はなおも笑顔で表情をくずさない。
そしてゆっくりと尚之の口から銃口を抜くと周りを見渡した。
「失言でした。」
「ごめんね。」
「いえ。知ってましたから。」
「そうね。じゃあ、出てきてもらいましょうか。」
89肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/27(火) 18:14:41 ID:wC3+itCr
「や、どうも」
緊張した空気に似合わないぼんやりボイス。
「な、なんだ・・・どんなエージェントが出てくるのかと思いましたよ。」
「や、悪い。」
右手をちょっとだけ動かしてその『エージェント』は詫びた。
学校指定のジャージ上下に道乃よりさらに刈り込んだ髪。
すっきりした顔立ちはいかにも典型的な運動部といった感じだが
なぜか短髪に赤いカチューシャをしているのがなんとなくアンバランス。
「彼女が、依頼人!」
道乃が仁王立ちで紹介した。
90肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/29(木) 20:05:45 ID:GNgORPeJ
「や、時津美紀です。」
よろしく、とばかりに右手を差し出してくる積極的な彼女にとまどいながらも
尚之は握手した。
「・・・鍛えてますね。」
思わず尚之がつぶやくほど、そう、手を握っただけでわかる彼女の全身の筋肉。
「や、これしかないから。」
「時津ちゃんはね。県で一番のスプリンターなんだよ。100mナント11秒6」
「それって、ジュニアだと日本記録あたりじゃないですか?」
「や、た、たまたま出ただけ」
91肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/29(木) 20:13:47 ID:GNgORPeJ
時津は照れたのか意味無く尚之に右パンチ。
「いや、本当に強化選手とか来るんじゃないですか。」
との尚之の問いに
「や、だ、大丈夫、来ない」
また右パンチ。
どうやら照れるとやたらと他人と半攻撃的な接触を求めるタイプらしい。
「や、もうやめるから。」
「え?」
「陸上。」
「3年生ですか?」
92生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 21:54:35 ID:AsID5g4i
第10話「彼方の夕暮れ」
早い地域ではもう桜が見ごろを迎えようかとしていたある春の日、真幸はインフルエ
ンザにかかり朝から寝込んでいた。心配した詩織がバイトに行く前にお粥やパンなど
を準備してくれたお陰で、真幸は一日のほとんどを寝て過ごすことができた。
夕方、いつもより早く帰ってきた詩織は真幸のためにうどんを作った。夕飯を食べ終え
薬を飲む真幸を見て
「タミフル飲むと幻覚とかが見える可能性があるんでしょ?もし見えたらどんなだった
か教えてね!」
と詩織が笑みを含んだ意味ありげな言葉をかけた。(また何か思いついたな、、、、、
ロクな事じゃないだろうけど)真幸は詩織の言葉を気にかけながらも熱と薬が誘う重た
い眠りに落ちていった。
どれくらい眠ったろう、そんなには眠っていないはずだ、、、朦朧とした意識の中で真幸
は目覚めた。そして自分が寝ている枕元に見知らぬ若い女性が座っているのに気がつ
いた、、、
93生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 22:06:35 ID:AsID5g4i
「きみ、、、だれ?、、、」
真幸の問いに、女は親しげに言葉を返した。
「あら、気がついたの?調子が悪いって聞いたから看病にきたんじゃない」
女は優しく真幸の額の汗をぬぐった。「なにか飲む?」
いかにも恋人を看病するかの様な受け答え、しぐさだった。真幸は何か言おうとした
が、朦朧とした頭が思うように言葉を紡がない。女が柔らかい笑みを浮かべ伺うよう
に真幸の顔を覗き込んだ、その時だった。
「こん雌ギツネがぁー!雌ゴンギツネがあぁぁぁ!」
押入れから詩織が飛び出してきた。セーラー服姿で、手に玩具の機関銃を持って
94生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 22:28:28 ID:AsID5g4i
押入れから飛び出してきた詩織はその場で仁王立ちになり、白目をむいてプルプル
震えていた。手にはしっかり機関銃をかかえて。見知らぬ女は驚いた表情を見せた後
「そっか、、、彼女だと思ってたのは私だけだったんだ、、、ごめんねっ!」
と逃げるようにふすまを開け部屋から台所の方へ消えていった。と言うよりも台所側の
ふすまの後ろに身を隠した格好で、まだそこにいる事は真幸にもわかった。詩織が追い
討ちをかけるように「グォングウィツヌエェェェ!」と機関銃を振り回し叫んだ。
すると空けたままになった襖から女が手袋だけをひらりと出し
「おじいさん、てぶくろごひゃくまんえんでかってくーださいっ」
と可愛らしい声で話しかけてきた。詩織の叫びが真幸の背後で続く。
「ゴンギツネがぁ!手袋ガメたら蜂の巣コロリじゃろがぁ!」
(これは幻覚なんかじゃない、、、詩織が仕組んでやがる)真幸は詩織を見た。詩織の目
が挑発的な光を帯びている(やるじゃない!)。二人の視線がぶつかる。
その瞬間、真幸のアクティブな意識だけが体をそこに残し、アパートを飛び出し、時空を
飛び越えた
95生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 22:53:13 ID:AsID5g4i
第11話「魔女の交響楽」
真幸の意識は深い雪山を歩いていた。雪に足をとられることもなく、跳ねるように進み、
やがて滝つぼにたどり着いた。滝つぼの横に洞窟があるのを見つけた真幸は迷うこと
なく穴へ入って行った。短い洞窟で突き当たりに自動ドアがあった。自動ドアをくぐると
そこは古い温泉旅館などにあるゲームコーナーだった。脱衣麻雀、UFOキャッチャー、
ずいぶん前の格闘ゲーム、、、、真幸は気にすることなく進んだ。ゲームコーナーの
向こうにはエレベーターホール、真幸はここが4階であることを知り1階までエレベータ
ーで降りて行った。1階に着きエレベーターの扉が開くと、今度は赤い絨毯のフロアー
が目の前に飛び込んできた。左手が前面ガラス張りだったが、窓の外に広がっていた
のは星星が輝く宇宙の光景であった。真幸から見て右手の奥に、三人の人影が見えた。
窓側を向くように設置された教壇のような銀色のデスクについている二人の軍服姿の
男たちと、教壇をはさんで立って二人に対峙している、ややラフな格好をしたすらりとし
た金髪の男だ。真幸からは金髪の男は背中しか見えなかった
96生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 23:26:30 ID:AsID5g4i
「それは無茶だと言っている!いまうかつに行動にでても奴らの思うつぼだ!」
金髪の男が二人組みに抗議しているようだ。軍服の一人が説得するように話しかけた。
「だから敵も味方も納得させる男の言葉が必要なのだよ。一年戦争で赤い彗星
と恐れられた男の言葉であれば、まだどちらにつくか決めかねている勢力も、、、」
「いまの私はシャアではない!」
その時、ブォォン ブォォンと警報音がフロアー中に鳴り響いた。アナウンスが流れる。
『敵船急速接近、本艦見つかりました。モビルスーツ隊は直ちに出撃してください!』
「しまった、ティターンズか!」
シャア、いや、クワトロ・バジーナは走り出した。軍服の二人が真幸に気づいた。
「おい、君は、、、」
真幸はクワトロ・バジーナを追って走り出した。クワトロを追いMS格納庫にたどり着い
た真幸であったが、すでにクワトロもほかのパイロットも出撃した後だった。
(残ってるMSは、、、!)格納庫を見回した真幸は、まだ出撃していない一台のバス型
MSを発見した。それは見た目は地上を走っている普通のバスとほぼ同じだった
97生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 23:44:35 ID:AsID5g4i
「真幸、行きまーす!」
真幸はバス型MSで宇宙(そら)へ飛び出した。すでにこの空域はMSが入り乱れる戦場
となっていた。
『ブラックフライのパイロット、聞こえますか?後方からザク1機が接近しています』
「このMSはブラックフライというのか。オペレーター、搭載している武器は?」
『小型ミサイルポッドが撃てます。また威嚇用のクラクションが標準装備です』
「くそっ、ボール以下か!」
ブラックフライをターンさせザクを正面に捕らえ、小型ミサイルポッドを発射する。が、
ミサイルは命中したにもかかわらずザクはダメージをほとんど受けることなくブラックフ
ライに突進してきた。
「やばい、回避できない!」
ザクのタックルを受けたブラックフライは地球のある方向に大きく吹く飛ばされた。
『パイロット聞こえますか?ブラックフライは地球の重力に捕らえられました』
「どうなるんだ!?」
『大丈夫です、大気圏ETCを装備していますので突破できます。その後は自動運転に切り
替えますので数箇所のポイントを回ってニュー香港基地に到着します』
ブラックフライは、大気圏に突入した
98生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/29(木) 23:57:04 ID:AsID5g4i
大気圏突入後、ブラックフライは空を飛び進んだ。(ああ、地球に帰ってきたんだ)窓から
都市の夜景を見下ろすことができた。真幸はしばらく下に広がる夜景に魅入られていたが
、バスのアナウンスに気持ちを呼び戻された。
『次はー苦悶坂入り口、次はー苦悶坂入り口。お降りの方はボタンでお知らせください』
真幸の目に小さく見慣れたアパートが近づいてくるのが見えた。ベランダに小人の老婆か
ら奪ったバス停が置いてあるのが見える。真幸はボタンを押した。
バスは空中に浮かんだままベランダに横付けした。真幸はバスを降りて、次の停留所に
向かって飛んでいくバスを見送った。振り返ると、部屋の中では詩織とさっきの見知らぬ
女が布団に横になっている真幸の体を介抱していた。
次の瞬間、布団の中で真幸は目を覚ました。
「気がついた?この子は私の昔のレズビアン仲間なの。ところで、なにか幻が見えた?」
詩織がいたずらっぽく真幸に聞くのだった
99肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/30(金) 06:20:48 ID:bdaSkkAa
「や、2年だけど」
そういうと彼女はグランド横に佇む小さな丘を眺めゆっくりとつぶやいた。
「陶芸、やりたいんです。」
そろそろ日が昇り始め周りの気温もゆっくりと暖かくなってきた。
その中でどこをどう叩いてもスポーツ少女という音しか返ってこないような
ましてや陸上雑誌などのの巻頭グラビアを飾り、それなりにコアなファンの
つきそうな欣快高等学校短距離のホープ時津選手はその丘を指差して言った。
「あそこの、土が欲しい。」
微妙な吃音があるらしい彼女だが、その声は自身に満ちている
「あの土を使って、花器を一つ作りたい。」
100肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/30(金) 06:31:45 ID:bdaSkkAa
彼女は中学時代から将来を嘱望されたスプリンターだった。
短距離走というのは往々にして「素質」が重視される。
短距離に向いた筋肉、体つき、そして精神面。
そう。何年もの練習が10秒ほどに凝縮され普段ではなんでもない
コンマゼロいくらの時間に大きく作用される100m走においては
最後の勝負の決め手はメンタルだと言われる。
コースに入り、足を揃え、気を高める。
「READY」のコールのあと、「go」サインは選手の耳には届いていないという研究もある。
彼らの耳に聞こえるGOサインはスターターのそれではなく、うちから聞こえてくる超自然の
声だと。
101生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/03/31(土) 01:32:31 ID:X6J7y8j5
あげ
102肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/31(土) 06:50:28 ID:ykwgDvjw
時津の身体能力は確かに素晴らしかった。
温和にも厳格な家庭に育ち、幼少時から食事面の管理がしっかり
していたことに加えて、田舎武道家の祖父の鍛錬もあったからだ。
しかし、精神力に於いてはさらに円熟していた。
実際陸上を始めたのは高校に入ってからなのだが、よくある上級生の
一種のいじめにも似た訓練を淡々とこなし、女性特有の感情すら抑制している
ようにも見えた。一年の新人戦にはすでに100メートル走の県記録を更新。
決勝レースでは最初にフライングをだしておきながら2回目のスタートを
ほぼ完璧に切り、追い風参考記録ながらジュニア日本記録にあと0.01秒まで
迫った。
103肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/31(土) 06:57:08 ID:ykwgDvjw
しかし。
彼女の「内なる声」は実は陸上のそれではなかった。
「や、嫌いなんですよ。勝ち負けのあるスポーツって」
彼女のボディバランスは実は小学生のころからの趣味である
登山によるものが大きい。
決してひとあたりが悪いほうではない時津だが、本人は一人をこよなく
愛し、小学2年生のころ学校の遠足で行った山にそのあともよく一人で
上っていた。
若いころの女性登山家だった祖母の血を引いたのだと時津は思った。
祖母が使っていたリュックを押入れの中から文字通り引っ張り出して使った。
104肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/03/31(土) 07:08:48 ID:ykwgDvjw
喜んだ祖母は時津が小4になったときに、九重連山に連れて行く。
最高峰の中岳でも標高1791mで暖かい九州のさらに夏山だったとはいえ
高学年になったばかりの時津には難しいようにも思われたが鍛錬を旨とする
両親はその冒険をむしろ喜び、登山口まで車で送ってくれた。
そしてそれから一週間。
長者原から入った二人は三俣から平治、中岳などを縦走し途中2日の雨をはさんで
下山する。
山は体力よりも経験がものを言う。
60過ぎの女性とはいえ、過去にk2アタックのパーティーにも加わったことのある
祖母のアシストは時津を精神、耐力両面から鍛えた。
105名無しさん:2007/03/31(土) 07:42:33 ID:RfBLoNVo
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106肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/01(日) 19:26:15 ID:vnOqZRj9
そんな祖母が山に入ったとき、必ずすることがあった。
山の乾燥したところの土を一握りもって帰るのだ。
「彼氏がね。茶碗を作るんだってさ」
祖父のことをカレシと呼ぶ祖母。
そしてそのカレシ、つまり時津の祖父であるが彼は生来体が弱かった。
そんな彼の趣味は陶芸。
古いろくろを足で回しながら茶碗を作っていく。
地方公務員の経理をしながら、若くで結婚した妻が世界各地を
飛び回るのを家にいてにこやかに見守る。
地味ながら趣味人な男だ。
107肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/03(火) 17:14:47 ID:lYYNWTsl
閑話休題

時津が指した山と言うより丘の土。
「や、嫌いは嫌いなりにちゃんと走ったから。んー、ひゃ百メートル走の
コースの先に見えるあの山をみながら。一年間。」
「でも、やめるんですね。」
尚之の声に時津はうなづいた。
「や、わたし、スポーツやっぱあんま好きじゃなかった。体育会系な
先輩後輩な立場も、私が言われてるうちはなんてことなかった。けど
今度一年生が入ってきて、私が先輩になると。わたしには無理。」
108肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/03(火) 17:20:40 ID:lYYNWTsl
運動部で先輩はできないし、かといってそれをやらないと部全体に
影響がでる。と、時津は言った。
「や、もちろんそれだけじゃないけど、もうそろそろお祖父さんと一緒に茶碗
焼きたい」
幸せなお祖父さんだ。
「でもね、こんな生徒、もしかしたら世界へいっちゃいそうな生徒を学校がはい、そうですか
って離さないって。」
道乃がため息まじりに言った。「あたしが部の顧問だったら、もちろん反対するよ。学校の
名前マスコミに載せて、天才美少女スプリンター在学校で売り込むチャンスじゃん。」
道乃の意見は至極当然
109肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/04(水) 17:50:49 ID:oNd7YiaF
なぜか沈黙。
そして5秒後に口を開いたのは時津
「や、でも、一番に考えるのは君の幸せだ。って、コーチが」
うつむく彼女の表情に一瞬恥ずかしさとも照れともそして憧憬までも含んだなにがしかを
見た尚之はとっさに道乃を見た。
道乃は腕を腰に当ててニマニマ笑い。そのあと尚之に視線を移し、ニマニマ笑いから一気に
いたずら坊主にも似た破顔一笑
「ま、そゆことよ!いまどきコーチと来たね!まったく!」
なにがそゆことかイマイチわからない尚之の背中をどんと叩き
「青春とはかくありたいものだ!」
110肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/04(水) 17:57:09 ID:oNd7YiaF
で、だ。
その陶芸へと解脱したい天才スプリンターとコーチの恋と尚之にどんな関係があるのか。
「今、お二人は大変な状況なのだ。」
天才スプリンターを擁する陸上部は学校の期待をかけられ、そのコーチはまた彼女の
育成をここ最近のすべてとされてきた。
そして県立高校としては破格の部予算を計上され専用コースまで出来たのだ。
「それがここ。」
しばらくつかってなかった第二グランドの横に3000万の資金が投じられオリンピック競技場
並みのコンディション持つ100メートルコースが比較的こっそりと設立された。
「まあ、その3000万ってのが曲者でね」
111肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/05(木) 18:28:02 ID:rrtjHPuD
道乃は、フン、と鼻をならしてつづける。
「いくらトップクラスの設備だからって、こんな田舎の100メートルコースを3コース。
今は無き女子ソフトがつかってたらしいグランドを整備するだけ。県から出た助成金、
部費、陸上ナントカ会からの奨励金。そして、某スポンサー。そこからもらった3000万。」
「や・・・それは」
「そっとしておきたいけどさ。こちらの男子、尚之君は私のパートナーなんだよね。
そして今からやることの実質的首謀者」
「首謀者!?聞いてませんよ!」
っていうかなにをするかすら彼の耳には入ってない。
「知っておく権利はあるよね」抗議を却下して道乃は言う。
112肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/05(木) 18:32:56 ID:rrtjHPuD
「や、そうですね。」
時津は尚之のほうに向き直り、落ち着いた声ではっきりと言った。
「つ、使っちゃいました。半分。」
「半分って、1500万ですか?」
尚之はとっさに道乃の顔を見る。
「そうらしいのよねぇ」珍しく殊勝な道乃の顔。
「と。ちょっとまってくださいよ!じゃあ僕らが今からやることって、そのお金の
穴埋めですか!?1500万ってそんな」
現実的に考えて10代の男女3人がほいどうぞと用意出来る額ではない。というか
最初は陶芸とかいってたのに、なんだこの流れは。
113肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/05(木) 18:44:47 ID:rrtjHPuD
「や、コーチが・・・その、私のことを考えてくれたんです。」
時津がそれはそれは申し訳なさそうに言う。「コ、コーチは、わわ私の才能を信じてくれて
その、た、ただそれだけじゃなくって、すごく、す、素敵な人で、いろんなことをお、教えてくれて」
ははーーん。だんだん尚之にもわかってきた。
ドモリつつもだんだん饒舌になってゆく時津の話がだんだん惚気話になっていくのを聞いて
尚之は道乃の顔を見た。
眉をほんの数センチしかめてみせた道乃は尚之の顔を見て「処置なし」というメッセージを
送る。そしてそれをまったく完全に受け取った尚之はその「コーチ」との旅行がどれだけ
すばらしかったかを力説しはじめた時津を止めた。
「わかりました。」そうだ。どうやらことの元凶がそのコーチだということが奇しくも理解された。
114肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/06(金) 18:34:29 ID:1iWXYyVa
「でも、3000万?でしょ。それをぽんと現金でくれるわけじゃないでしょう。」
尚之はとりあえずの疑問をなげかける。
「や、それは」
時津が言い詰まるのを見て
「結局みんなグルだったわけ」
道乃が後を継いだ。「体育関係者と、コーチ、それに教育委員会の一部。実は名前まで
わかってるんだけどね。総勢4名から疑いある人まで入れて7名。彼らがこのコースと
時津さんの育成費用名目にからんで、上前をはねていたのよ。上前って言い方はおかしいね。
実際このコースなんて、200万で作ったんだから。」
すると残り2800万が、あちらこちらの懐に。
115肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/06(金) 18:42:32 ID:1iWXYyVa
「まあ、よくあることなんだけどね。」
コートのポッケからCZを取り出した道乃が空を向いて息を吐く。
「それは、まあそれとしまして、そろそろ日も高くなってきましたし。」
尚之はそういうと結論を促した。「とりあえず行動しましょうよ。なんかもう
どうでもよくなってきましたよ。高校に入って最初のイベントが・・・・」
時津を見た。
不安そうに尚之を見つめ返す彼女の見る目は先ほどまでとは違う。
「まあ、いいでしょ。終わらせましょうよ。道乃さん。」
「うん。よくぞ言いとどまった。私たちにはあんまり関係ないことだからね。ただ
今からはちょっと関係しちゃうんだけど。」
116肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/07(土) 18:55:14 ID:Kv1ujeiI
関係する、か。
尚之は大きく深呼吸してなるたけまわりに響き渡りそうなため息をついた。
「なにそれ」
「今はこれがせいいっぱいの抗議です」
「ナオ君、アニヲタだったの?」
「なにいってるんですか?」
道乃はニヤリと笑ってモデルガンにガスをつめ始めた。
「ちょっと今回は初速がいるんだよね」
なにをいってもダメなんだろうな。と尚之。
「うちがこれを伝承してきたのはひとえに人のためだからね。」
117名無しさん:2007/04/08(日) 19:51:39 ID:VZNPPBWv
晒しage
118肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/09(月) 17:56:35 ID:0F2eJFhG
そういってチャチなガスガンをかまえ、「ばーん」と口真似をする道乃が
銃口を向ける先は。
「もったいないですね。でも。あれ壊しちゃうの」
「壊す?」
時津と道乃は尚之を見た。
「や、壊さない。壊さない。」
「え?でも・・・・・」
「君、私のことを破壊者かなんかだとおもっちょるな?」
道乃は長身をまげて尚之を覗き込んで30メートルほど先にある灯油缶を指差した。
「むしろ私は製作者であるぞ」
119肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/09(月) 18:01:47 ID:0F2eJFhG
「や、あの灯油缶の中に、わ私が作ったもモノが入っています。それを完成させて
いただきたく」
時津がもじもじという。
「ま、論より証拠!。尚之君、バミってあるところまでいって、このてっぽうで灯油缶を
撃ってきなさい!」
「え?」
ぽい、といった感じでおもちゃのCZを渡された尚之は、二人がいっせいに反対方向に
走り出したのに驚いた。
「や、私は見ちゃだめなんだってー」と時津
「私は危険回避ー」これは道乃。
120肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/09(月) 18:08:06 ID:0F2eJFhG
道乃は長身だからか、スプリンター時津にそれほど遅れずに3秒ほどで尚之の
自転車のところまで到達し、さも当然のごとく、それに乗って逃げていく。
「え?」
なにがなんだかわからない尚之から二人とも100メートルくらいの距離をとったところで
降り返り、口を手に当てたかと思うと「はやく!」と促した。
意外によく通る声だ。
尚之は逆らえるわけも無く、灯油缶に近づくとなるほど、手前5メートルくらいのところに×印が
書いてある。
「ふう」と小さくため息をついてから彼はガスガンを構える。
おもちゃの鉄砲で遊ぶなんて10年ぶりくらいか?
121肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/09(月) 18:14:34 ID:0F2eJFhG
「がんばれー!」風にのって道乃の声がとどく。
「がんばりますよ。」
自嘲的に笑った尚之は鉄砲を構えて、プラスチック製の引き金を引く。
そろそろ夜明けだ。
一瞬の静寂を切り裂くのは「パス」という気の抜けた音。
そして銃口から飛び出した樹脂弾は灯油缶に当たった。
あっ、ヤバイと尚之の危険回避能力が叫ぶ。
体を交わそうとした瞬間灯油缶が一瞬真っ白に光り、そのあとものすごい
勢いで収縮しはじめる。
122生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/09(月) 23:41:01 ID:JjGg6csQ
第12話「魔女とチャゲとアス」
夜、夕飯を食べ終えてテレビを見ていた真幸に詩織が素敵な提案をした。
「ねえ、今夜魔女狩りに出かけましょう?」
「そいつはグッドアイデアだけど、どうゆこと?」
「男子ってダメねぇ!アタイについて来い、このボンクラァ!」
20時48分、詩織のスイッチが入った瞬間だった。
二人はまだ寒い春の夜の街を歩いた。町外れの神社にたどり着いた二人は
暖かい缶コーヒーを飲みながら張った。
「詩織、ふつうに怖いんだけど、、、魔女とか来るの?」
「しっ!黙って、、、今夜の素敵な魔女のおでましだわ、、、」
神社に白装束の髪の長い女がやってきたのは23時をまわった深夜だった。
「ちょっとフライング気味ね、、、」
詩織と真幸は女に気づかれないよう茂みに隠れ、白装束の女の奇行を見守った
123カラカラテルメ:2007/04/09(月) 23:48:58 ID:DRceVtlM
生ロボは「、、、」をやめたら良いんじゃないか
124生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/09(月) 23:53:34 ID:JjGg6csQ
コーン、コーン、コーン、、、、
予想通り、女は杉の木にわら人形を打ち始めた。
「詩織、、、マジ怖えんだけど。」
「黙ってったら!、、、ほら彼女、歌ってるわ。」
二人は息を潜めて呪う女の歌声を必死に聞き取ろうと耳を傾けた。
『なげださなーいでー、くるしいときーほどー、いつかみたあいおそーらを
きいっとーあなたとーみあーげるーひまーでー』
「ゼータだぁ!」
思わず真幸は叫んでしまった!白装束の女がハッ、と振り返る。
「見たのね、、、!」
鈍器を持った状態で怒り狂っている女性、真幸は久しぶりに心の底から
恐怖した。詩織の目が挑戦的に輝く。
「待って!邪魔しないわ、応援するから続けて!」
(どうゆうこと?)真幸も呪い女も突然のサポーター宣言に戸惑うのだった
125生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/09(月) 23:54:23 ID:JjGg6csQ
「、、、」入れないと間が持たないじゃん
126カラカラテルメ:2007/04/09(月) 23:58:16 ID:DRceVtlM
読点は文の意味の切目を示すんだよ 正しい用法じゃない
代替しうるのは「…」かな
127生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/10(火) 00:08:19 ID:J+XE89+3
そうか、気をつけてみる
128生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/10(火) 00:22:03 ID:J+XE89+3
「アナタの恋を応援するっていってるのよ!このショタコン!」
「いや、そんなんじゃないのよ。でも応援してくれるんだったら頼むわ。」
(困る展開になったな。こんななるんだったら酒でも飲んでくるんだった)真幸はちょっと後悔
しながら詩織の指示を待った。詩織は呪い女の斜め後ろに体育座りをして
「ほら隣に座って」
と真幸を促した。
「いい?釘がコーンで手拍子がパン。コーン、パン、コーン、パン、コンコンパン、ね?真幸」
「助かるわお二人さん。じゃあ最初から行くわよ」
(なんかカラオケみたいなノリになってきたな・・・これで呪い殺される奴もたまったもんじゃない)
呪い女はアニソンを心ゆくまで歌い、わら人形を打ち、呪った。
歌と歌の間に呪い女は「あんな女とォォアアア!」「7代先まで不幸になれぇぇぇ!」といった
呪い文句を叫び、そのたびに詩織はうれしそうに拍手するのだった。
「ありがとうお二人さん。お陰で今夜は充実した打ち込みが出来たわ。お礼にリクエストを一曲
受け付けるけど何かある?」
「じゃあチャゲアスのヤーヤーヤーお願い」
呪い女がアスカ、二人はチャゲのパートを歌った。この想いが届けばいいな、と真幸は思った
129肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/12(木) 19:33:43 ID:nY5ufl7i
吸い込まれそうな光だった。
いや、事実吸い込まれた。
まるで周りの空間ごと収縮するがごとく、後からわかったが尚之の体もホンの数十センチであるが
前進していた。

「びっくりした?」
振り向くと道乃がいた。
尚之の体感的には数秒の出来事だったが、実は遠くに逃げた道乃が自転車でとってかえし、
硬直していた尚之の肩をぽんと叩くだけの時間がすぎていた。
「びっくり、しました。」尚之は正直に感想を述べる。
130肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/12(木) 19:37:04 ID:nY5ufl7i
かの物質から視線をそらさずに。
「おっ、よくできてるじゃん。」
灯油缶が発光し、壮絶な勢いで収縮してあとに残ったもの。

それは一個の湯飲み茶碗だった。

「うーん、このまま個展に出したら間違いなく入選だね」
道乃は朝日に鈍く光る茶碗を持ち上げた。
まるでちょっとした寿司屋でアガリに出てきそうな大き目の湯のみだ。
「お茶がおいしそう?カナ?」
131生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/12(木) 23:35:20 ID:nU+TABUb
第13話「春の嵐」
朝、夜勤のバイトから帰ってきた真幸を部屋で出迎えたのは、天井から吊るされた一匹の
鯵だった。タコ糸で平行に吊るされた鯵は宙を泳いでいるようにも見えなくなかった。
詩織はベランダでスケッチブックにむかい、おそらくはその鯵を描いているらしく鉛筆を立て
て鯵をギラ見して距離感を測っていた。
「なにこれ?」
真幸は眠かった。詩織は立てていた鉛筆をおろし部屋に入ってきた。
「さてここでクイズです!天井から鯵が吊るされていますがアナタのオヘソの下にあるもの
はいったい、なんでしょーか!」
「エッチ!詩織のエッチ!!!」
「いやらしいこと考えたなぁ〜、ブッブー!答えはチンコでした!」
詩織が勝ち誇ったように叫んだ。
「クイズに不正解だった回答者は体中のホクロから毛を生やしてください。」
「無茶言うなよ。なんで鯵なんか描いてたの?」
真幸はベランダに出てスケッチブックを覗いた。スケッチブックには大きな文字で
『前世の記憶がありません』とだけ書かれていた
132肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/13(金) 22:06:54 ID:3vcilBrw
「なにが、カナ?ですか。こんな派手な反応をさせて。大気がゆがみましたよ。」
道乃はわざと口で「てへっ」といってまるで30年前の少女マンガのように舌を
出してみせた。
「大女がそんなことしてもかわいくありません」
尚之は憮然という。
「まあそう怒らないでよ。これはホンの化学の実験だってことになってんだから。」
「って、これ完全に」
「完全に?」
道乃が腰をまげて尚之の顔を覗き込んだ。
「それ以上は言っちゃダメだよ。」
133肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/13(金) 22:11:28 ID:3vcilBrw
ふう、と息をつく尚之。
「これ、時津さんに渡してくるね。」
「彼女は?」
「本校舎に向かってるよ」
道乃はそういい残すと尚之の自転車にまたがって走り去った。

その日の昼休みが終わった頃だろうか。
尚之が弁当を食べ終わり、ポケットに入れていたハーラン・エリスンの単行本に
2ページほど目を通したときだった。
「地震?」前の席に座っていた女子がつぶやいた。
13412の限界:2007/04/14(土) 22:40:07 ID:k+EBE0xA
135从*゚ー゚从またやん:2007/04/14(土) 23:29:03 ID:1rqrI7rP
136生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/14(土) 23:54:14 ID:FeimlpC9
>>134 僕の恋愛小説「デブ専すくらんぶる!」を世に出すときがきたか!
137肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/15(日) 14:22:04 ID:7iPCllBb
尚之は胸騒ぎというよりもほとんど確信にちかい衝動に促されてクラスを飛び出した。
辺りを見渡すとどうやら校舎の東側でなにやら騒いでいるようだ。
「待った。」
中庭に出たところで急に襟首をつかまれる。「行かないほうが良いよ。」
道乃だ。
いつもよりちょっとだけ悲しそうな顔をした彼女の声はまるで冗談でもつぶやくときのように
穏やかだったら、尚之の首筋を掴んだ手は本気の力が入っている。
「でもっ!」まるで10年前の近所のお姉さんに食って掛かる子供のように尚之は声を出す。
「彼女は選んだんだよ。」
138肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/15(日) 14:28:27 ID:7iPCllBb
道乃はあくまでも冷静に見える。
「これがあなたのいう根本的な解決ですかっ!」
尚之は振り向き、背の高い上級生の顔を見た。
「あなたって、他人行儀だなあ。みっちゃんって呼んでよ。」
ふにゃっと笑う道乃。
「なにいってるんですかっ!」
尚之の声が中庭に響く。
「あなた、自分が何をしたかわかってるんですか!?」
「うん。」道乃は白衣のすそを風にたなびかせながら静かに答えた。
「法術式で作ったオリハルコンの力で教師と生徒一人ずつを原子くらいまで霧散させた。」
139肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/17(火) 19:41:10 ID:Agsldf7l
道乃はまっすぐに尚之の目を見ていた。
「そうですか・・・・・・。」
尚之はそのとき、学校内の騒ぎがだんだん収まってくるのを感じていた。
「すぐに収まるよ。じゃあ、ナオくん、今日は部活無し。駅前でオゴるよ。」
道乃はそういうと踵を返した。

放課後。
JR、M駅近くの喫茶「とらんす」
尚之や道乃の家からは近いが学校からはそれなりに遠いこの店のドアをくぐり
右手奥のボックス席。
140肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/17(火) 19:56:04 ID:Agsldf7l
「やはり彼女はハカイダーだったんですね。」
とらんすオリジナルブレンドを銘打たれたコーヒーにミルクを注ぎながら
尚之は言った。
「たとえがいちいちオタクくさいね、ナオくんは。」
道乃はくくくと笑って店内を見渡した。
「わかると思ってしゃべってるんですよ」他に客影は見えない。
全国によくある、田舎町の立地条件だけはいいのになぜかいつも客がいない、
おまけにそれでもなぜだか営業を続けている不思議な喫茶店のひとつ。
「あのコーチの存在を亡くす事が彼女のレゾンデトル」
存在理由。彼女も負けないくらい理屈っぽい。
141生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/18(水) 23:04:33 ID:5B/dTQSY
「前世の記憶、、、なくても困らなくない?」
詩織に対するときほど、真幸のアドバイスが的確なときもなかった。
「ヘイヘイピッチャー、否定の否定が超むっかつくー」
詩織は鉛筆をバットに見立ててブンッとスイングし、鯵を打った。鯵はクルクルと
回転して部屋を少し生臭くさせた。その時、ドアをノックする音がした。
「ごめんくださーい。僕、ジュニアの黒田ミフィ雄です。ジャニーさんからの差し入
れを持ってきましたー。」
詩織は急いで玄関に向かい、ドアの向こうにいる少年に問いかけた。
「ここでクイズです!アナタのオヘソの下にあるものはいったい、なんでしょーか!」
「情熱です。」
詩織はドアを開けて少年を部屋へ招き入れた。
「こんにちは、真幸さんと恋人さん。アイドルはうんこもしっこもしないんです。」
少年はまっすぐな視線で真幸と詩織を見るのだった
142生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/18(水) 23:27:27 ID:5B/dTQSY
「えー?太一おしっこしてたよー?」
真幸は子供のように口を尖らせた。まだあどけない、可愛らしい顔をした
少年は頬を赤く染めて必死に否定した。
「違います!ぜったいに違います!あれくらいのアイドルになれば俗世の
人間が行うような消化や排泄などはいたしません!」
「この子ったら昔の真幸みたいね。」
詩織は少年の頭をなでなた。少年は言葉を続けた。
「砂金です!トップアイドルの皆さんは、ちっ、ちんこから砂金を排泄する
んです!」
少年の頬がさらに赤くなった。
「真幸さん、僕の体は清いです!いかがいたしますかめしあがりますかっ!?」
少年の突然の猫発言は真幸のハートをキュンとさせた。ミフィ雄は自分の頭
をなでていた詩織を見上げた。そこには髪の長い恋のライバルがいた。
「お姉さんなんかに負けないんだからぁ!」
それだけ叫ぶのが精一杯でミフィ雄は部屋から飛び出していった。少年が置
いていったジャニーさんからの差し入れはひよこ饅頭だった
143肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/19(木) 19:31:08 ID:/NCYTDzr
「時津さんは知ってたんですか?自分の、運命を」
「運命?」
道乃は「ハッ」と笑って言葉を続ける。
「あのコーチはね。20年来暗躍している、某国の、アンダーグラウンドアクティビスト
だったのさ。それもどこぞの上の人たちの密約のお陰でね、今までに30人を本国に送致し
ている。身体能力の高い10代の女子ばかりをね。」
彼女はそこまで言うと、飲み頃になったカフェオレを一息に飲み干す。
「時津さんはなにも知らなかったよ。多分ナオ君よりも知ってなかった。でもね。彼女は囮として
あの身体能力その他を与えられた。それは運命なんかじゃない。あのコーチを陥れるための
計画だったんだ。そして私たちもそれを行った。」
144肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/19(木) 19:43:27 ID:/NCYTDzr
道乃の話は続く。
「私の知ってることだってほんの少しさ。彼女は多分私たちの知らないたくさんの人の
行動によって今の状況に置かれた。あのコーチが、いやその背後にあるなんらかの力
対するまた別の勢力の象徴。いや、うーん、むしろひとつの端末、というべきかな。
もちろんコーチも含めてね。結実のひとつさ。それは運命なんかじゃない。いろんな人の
行動の結果さ。」
「僕らも含めて、ですか。」
「そう。私たちはその勢力にほんの少し力を貸しただけだけどね。」
「あの茶碗に、オリハルコン化した灯油缶をコーティングした。」
「うん。解放の引き金は80℃の温度。」
145肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/20(金) 16:04:23 ID:s0KSvkvz
二人はそこで黙った。
彼女は何も知らずに、そこにお茶を入れるシーンが浮かぶ。
それは、二人の最後の風景。
そしてそれは運命ではなく多くの人の思惑と努力がが結実した場面。
少々校舎に衝撃は残ったが、二人分の質量は血痕ひとつ残さず
大気中に霧散する。
多分彼らは存在が無くなった今ですらなにも知らない。
最後まで自分の最後を知らない。
「ケーキ、頼もうか?」
道乃が言った。
146生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/20(金) 22:38:40 ID:MtMqTpkB
第14話「愛の挑戦」
金曜日、夜勤明けで午前中に帰宅した真幸は夕方まで寝ていた。
目を覚ました真幸は自分の枕元に一輪の薔薇と手紙が置かれているのを見つけた。
『拝啓 オマエへ
お前の恋人を誘拐した。カエシテ欲しくば
この場で待て。かしこ      詩織より』
(なんてこったい、誘拐された当人から脅迫状が届いてやがる)
真幸は台所へ行き冷蔵庫からりんごジュースを出して飲んだ。
その後、部屋でテレビを見ていると詩織が帰ってきた。
「真幸、アナタってばいいコね!お陰で私も無罪放免だわ!」
「ああ、良かったね。一時はどうなるかと思ったけど待てって書かれてたから待ってみたよ」
「そのとおりよ!果報は寝て待て!鳴かぬなら涙が出ちゃうだって女の子だモン!詩織です。」
詩織は手に持っていた缶ビールを開けてグビグビ飲んだ。
「でもチョットはあわてて部屋を飛び出したりして欲しかったナー。」
真幸は詩織のポケットから少し飛び出していた布がタイガーマスクであるのに気づいた。
(・・・部屋を飛び出したら次のネタがあったんだな。ごめんね、詩織。)
その夜、詩織は真幸に丸めた布団を持たせてローキック、ハイキックの練習をした。
真幸は次の詩織のイベントまでにガードを覚える必要性にせまられたのだった
147生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/20(金) 23:15:49 ID:MtMqTpkB
気が済むまで布団を蹴った詩織は真幸に相談を持ちかけた。
「そろそろはっきりした方がいいと思うの。牛乳って、母牛が子牛の為に
体内で精製する栄養価の高い体液なわけよね。それを毛の無い猿が横取り
して加工して飲食物にしてるわけじゃない。子牛マジギレよ!」
(知らない間にシンデレラタイムに突入してたか・・・)
「母牛もモーたまらん!他人の子に飲ませる為に草を食むのでなくってよ!」
詩織がここまで牛側に立って牛乳を語ったことは今までなかった。もちろん、
牛乳について語ったこと自体が初めてでもあった。
「でも君、それほど牛乳好きじゃないよね?」
真幸の言葉で詩織のテンションが一気に下がった。
「そうよ、私はりんごジュースが好き。」
詩織は台所に行ってりんごジュースを飲んだ。そして冷静になって部屋に戻っ
てきた彼女は、少し微笑んで恋人を見つめた。
「ありがとう真幸。私は帰ってきたわ。」
正気に戻った詩織がそこにいた
148肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/22(日) 18:23:06 ID:Uh6npmn0
「ザッハトルテ」
尚之が答えた。
青いボディの普通列車が駅にゆっくりと止まるのが見える。
時津とそのコーチは千の風にでもなって世界を渡っているのだろうか。
「道乃さん。」
「なに?」
「道乃さんは、どうして法術式を継ごうと決めたんですか?」
「それはねえ。」道乃はエプロンドレスのウェイトレスにチョコレート系のケーキを二つ注文
したあと、尚之のほうを向いて言い切った。
149肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/22(日) 18:25:05 ID:Uh6npmn0


「ナオ君のことが大好きだから!」




                             
150残りもの人生 ◆JnidJSJ.Uw :2007/04/23(月) 02:25:10 ID:Z59OuAQm
なんか書くから単語三つ出して
3題噺するから
151肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/23(月) 09:52:22 ID:MqW+Be8P
サムシング吉松
ご優待券
自賠責保険証明書入れ
152名無しさん:2007/04/23(月) 10:49:03 ID:1eyL34Ki
ペットボトル
初体験
カミングアウト
153名無しさん:2007/04/23(月) 15:39:31 ID:8VZyrzIQ
充電器
凧揚げ
金縛り
154名無しさん:2007/04/23(月) 15:42:01 ID:8VZyrzIQ
>>149
ここだけ書き直してほしい。
155生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/23(月) 22:41:44 ID:qb7BwwZc
>>150
砂漠
調理師免許
お姫様
156まりぃ@ ◆JcP82GanDE :2007/04/23(月) 23:37:53 ID:8k1+PWbm
川上音二郎
カイパーベルト
めがねっ子教団
157名無しさん:2007/04/24(火) 02:12:47 ID:R0SlyCfB
小説やないけどワロタ
http://c-others.2ch.net/test/-/bobby/1177168727/i
158肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 10:07:58 ID:UyR5Q7mk
>>154
ホント、これは酷いね!
じゃあ、もうひとつの終わり方

「それがわたしの望みだったんだよ。」
道乃は尚之の手を握った。
尚之が齋藤家の跡取りに選ばれたのが10年前。それは時津と同じように、数多くの意志が
関わったことだった。
詳細は別のときに記すが「法術式」という万能の化学式を手に入れることが出来た高田家を
実質的に守ってきたのが尚之の血筋、齋藤だった。
159肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 10:24:51 ID:UyR5Q7mk
元は西の方の地名にも残る高田という町で蘭学医の血統であった高田家。
そこに伝わる(といってもどうやら明治時代中期の発祥であったらしいのだが)
法術式とは道乃の父親の言葉を借りると
「四次元以上においてでしか事実上不可能な化学方式を無理矢理三次元で
部分的に行わせること。乱暴に言えば、PS3のソフトをスーパーカセットビジョンで
動かすエミュレーターみたいなもんか」
という理屈(屁理屈?)らしい。
しかし、法術式は公表されなかった。実は時をほぼ同じ時、別のところで物質の元となる
原子の核を分裂させ、それのもつエネルギーを実体化させる技術が確立されていたのである。
高田家はそれが戦争利用されるらしいということを聞いた。
160肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 10:36:04 ID:UyR5Q7mk
元々医者で人の命を救うことを思い定めてきた高田家にとって新技術を、戦争
利用されることなど以ての外。
法術式の隠匿に務め、一子相伝とすることを決めた。
そして側近であった齋藤家からも代々一子を出し高田家のボディーガードたる
役目を与えその技術を伝えるとともに世に出ることを最低限に抑える役目を果たして来た。。
さてこの高田家4代目高田道乃。
その従者ともいえる4代目齋藤尚之。

「最初は嫌だった。でも、妹にその役目を押し付けることも嫌だった。」
道乃の真剣な目はまるで尚之を射通すようだ。
161肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 10:44:57 ID:UyR5Q7mk
「私の代では、なにもすまい。10歳から教育を受けて、13歳までに法術式の基礎すべてを
まるで洗脳のように叩き込まれても。何もしなければいいんだ。大人しく過ごして子供を産んで
その子供にバトンを渡してしまおう。そう思った。」
まるで核心すべてを尚之に語ってしまいそうなくらい饒舌だ。
「でもね。ナオ君のお兄さんが、あの時の事故でなくなってしまった時。そしてナオ君が齋藤家の
役目を告いだとき。そんな逃げではナオ君に会えないと思った。」
道乃は尚之の手をさらに強く握った。

「わたしは、あなたと一緒にこの力を使う。」
162肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 10:50:16 ID:UyR5Q7mk
現代においてすらなお畏怖の力。
法術式。
道乃の手は強く握られている。握る必要がある。
「怖い。」
道乃は吐き出すように言った。
振り絞るように声を出した。
「時津さんを、そしてあのコーチを私は殺してしまった。ううん。まだ殺す必要が
ある人たちがいるのかもしれない。いや、いる。多分殺す。跡形も無く。本当なら
先代がこの技術を売ってしまえばよかった。そうしたら核兵器みたいにわたしの
手の到底届かないところで利用されているだろうし、電気をおこしたりしたかもしれない。」
163肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 11:00:17 ID:UyR5Q7mk
尚之は道乃の手が小刻みに震えているのを感じる。
「この力は少数の人によって利用されている。暗殺や、工作に。それが
正しいのか、それとも悪なのか。いや、多分正しいときもあるんだろうし、悪いときも
あるんだろうと思う。私は、出来るだけ正しいことに使いたいと思う。そのために」
道乃は尚之の手をたぐり、胸をつかみ、そして彼の顔を挟むように近づけ、また自らの
体を乗り出しその唇を尚之の唇に重ねた。
尚之は驚きもせずにそれに従う。まるでそれが当然のことであるように。
「高田は齋藤に守られている」
10秒ほどのキスが終わって最初に発した道乃が発した言葉。
「ううん、わたしはナオ君に守られている。」
164肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 11:05:46 ID:UyR5Q7mk
駅の前に人通りが多くなってきた。
喫茶店の中にもいつのまにか灯りが増えていた。
「ふふふふふ」
急に道乃が笑った。「安売りしちゃった!」
ふううう、と尚之も息を吐いた。
「僕も思わず買っちゃいました。」でも、と言葉を続ける尚之。「僕はあなたに
ついていきますよ。それがだって、僕の使命。」
「ええ!キスまでしといて使命感だけでわたしについてくるの?切ないなあ」
「なにいってるんですか。僕がどれだけナーバスになってると思ってるんですか!
胡乱な告白とキスくらいじゃだまされませんよ!」
165肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/24(火) 11:12:45 ID:UyR5Q7mk
「そうか、キスくらいじゃあ、たりないってか。ナオ君のえっち!私の体が
目当てなのね!」
「ちょ、そゆ意味じゃないですよ!なにいってんですか!」
「助けて!犯される!」
伝票をもって立ちあがった長身の道乃を下から眺めて、この人がボディーガードを
必要とするときとは、いったいどんな大変な事態なのかと思いをめぐらす尚之は
「明日から走りこみを5キロ増やすか」
ととりあえずの目標をきめることにした。

                                 えーんど
166名無しさん:2007/04/24(火) 23:07:02 ID:aTD6nxC5
肺魚ありがとう。
167生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/04/25(水) 00:27:50 ID:StricMw9
続編期待
168肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/26(木) 18:32:26 ID:8L3NUD/J
下校のスクールバスの中はみんなハイテンションだ。
今日の授業で教師がつい漏らした退学者の情報やコンビニの棒アイスの新製品、
カラオケボックスの割引券や高校になっても続けている遊戯王カードの攻略などは
多分彼らにとってはとってもとってもとっても重要なことなんだろう。
僕はバスのタイヤボックスの上の狭い一人用の椅子に体を折り曲げて座り、
多分世界地図でもかなり南のほうにあるだろう国製のmp3プレイヤーから流れる
ジッタリンジンで耳をふさぐ。プレイヤーを買ったらCDを買うお金が無くなって
仕方なく母親の持ってるCDを2−3枚借りたのだ。
いや、けっこう好きだけど。こういうの。
169肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/26(木) 18:45:40 ID:8L3NUD/J
家の近くのバス停に着くといつものように定期券を認証機にかざして降りる。
夏服になったばかりだというのにもう蒸し暑い。
おまけに家まではゆるやかに、だらだらと続く上り道だ。
朝遅刻しそうなときのダッシュには最適な下り道も逆方向に上るのは意外とキツイ。
途中にある小店でアイス分か炭酸分を補給しないと家まではたどり着けないなと
財布の中の小銭の残量を確認しつつ歩く。
でもここで早足になってはいけない。
なぜならば30メートルほど先に、八重ちゃんが歩いているからだ。
おっと、八重ちゃんなどと軽口をたたいてはいけない。
奈々枝さんとでも呼ぶべきか。奈々枝八重さん、だ。
170肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/26(木) 18:53:26 ID:8L3NUD/J
奈々枝さんはクラスのもう一人の友達と歩いている。
こう見えても彼女とは幼馴染ってやつで、本当に小さいころからよく遊んだ。
ふたりともずっとこの辺に住んでいて、家は2軒隣。親の年も近いとあっては
これは仲良くならないほうがおかしい。
そう。この道も僕らの縄張りだった。今から僕が目指す自販機のあるお店で
買い食いをした。一日のお小遣いが50円だった僕と100円だった奈々枝さんは
二人で150円の戦隊モノ食玩を買ったりした。
僕は本当は魔法少女モノが良かったのだが、奈々枝さんの趣味に付き合うことに
したのは男としての僕の余裕の表れだったと思いたい。
171肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/27(金) 17:55:54 ID:kQt2/mZ0
ところで通ったその店は、駄菓子屋なのか雑貨屋なのか。ブルボンの袋菓子の横に
電球や玉じゃくしがおいてあったり、合鍵を作りますの看板と古いグラインダー。
片手間にちょっとした電気器具やおもちゃの修理までしていたらしく店の奥では
半田の溶ける臭いがしていた。
要するになんでも中途半端に置いてある「器用貧乏」を絵に描いたような店なのだ。
たいして流行ってはいなかったような気がする。
多分店主と呼んで良いのだろう爺さんが店番をしていて、俺たちのことをかわいがって
くれた。
しかしその店も今や開いてるのか開いてないのか判らないほど寂れている。
でもあの店には僕の宝物が眠っているのだ。
172肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/27(金) 18:09:19 ID:kQt2/mZ0
それは親戚のお兄さんから小学校の入学祝にもらったセーラーヴィーナスの
精巧な人形であった。
彼曰く、それは一点モノのめったに手に入らないおもちゃで、世界広しといえど
小学生ごときでそれを所持しているのは僕だけだと思う、と豪語した。
先ほど述べたように僕は戦隊モノよりも美少女アニメが好きという平和主義な子供
であり、幼稚園の2年保育の最初から字が読めたという才能を生かし、絵本のみならず
年長組のころは「るんるん」の愛読者であった。
「るんるん」が廃刊になった時は子供ながらにヤバイほど落ち込んだ。
まあ、すぐに「なかよし」を読み始めて立ち直ったのだが。
ええ、なんだっけ。そうだ。セーラーVの人形のことだ。
173肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/04/28(土) 19:40:33 ID:U0ffi+Wi
すんごい精巧に出来ているメイクアップ後の愛野美奈子を弄繰り回してるうちに、
腕が折れてしまった。やましいことはしていない。なんたって小学一年生だ。
それはわかってくれ。
でも、なんとなく判った。
この美奈子の手をを直してくれ!と親になきつくのはちょっと違うのではないかと。
わからない人はいないと思うが一応言っておくと美奈子というのはヴィーナスの
本名だ。
そこで途方にくれたという言葉も知らない僕の幼い脳裏にうかんだのが
いつもいく店の「いろんなもの修理します」という貼り紙だ。
すがる気持ちで僕は美奈子を持ち込んだ。
174肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/02(水) 11:06:35 ID:BPXQtp49
僕の努力の跡、木工用ボンドでべたべたになった美奈子フィギュアを見て
爺さんは、僕の意を解したようだった。
なきそうになって上手く説明できない僕の頭をポンと一回叩くと奥の部屋に行き、
出てくるとこっそり店のうまい棒を一本タダでくれた。
「今日はあの女の子と一緒じゃないのか?」
爺さんは聞いた。
僕は無言でうなずいた。
「そうか」
僕の記憶はそこまでだ。
そのあとどうなったのか。
175肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/02(水) 16:53:28 ID:YF4N5gBx
実は、そのフィギュアは今でもそこにある。
表から見えるショーケースに飾っているのだ。
なぜならば泣きながら持ち込んだ僕がまだそれを引き取っていないのだ。
あの後もちろん何度もその店に行ったし、今や通学路だ。
それなのに僕はそれを引き取れないでいる。
店の前を通るたびに思う。
ああ、あの美奈子は僕のものなのだ、と。
腕は治っている。
ほぼ完璧な修理で遠目にも継ぎ目すら見えない。
あの爺さんが直してくれたのだ。
176肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/03(木) 18:49:23 ID:Io4OAiYc
僕は今日もその店の前を通って学校に行き
店の前を通って学校からかえる。
あれから10年だ。
10代半ばの僕が10年前を回顧するというのもシャラクサイがそれは事実だ。
あのあとすぐに僕はあの店に行かなくなったのだ。
なんでかは判らない。覚えていない。それくらいの理由だったのだろう。
たいてい小学校に上がり始めたころから男子は女子を意識する。
それは最初は敵対心だったり、照れの延長だったり別の同性の友達が出来たり
イロイロな理由があるだろう。
明確に覚えてる人などほとんどいないだろう。
177肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/03(木) 18:54:45 ID:Io4OAiYc
かくして僕も奈々枝さんと遊ばなくなった。
変わりに奈々枝さんは今一緒に通学している彼女と、僕は小学校で
出来た友人と遊ぶことが多くなった。
行動範囲が広がった僕はもうあの店には行かなくなった。
変わりに通学路から離れたところにあるコンビニの駄菓子コーナーで
小遣いを散財し、ポケットに入れたゲームボーイで通信対戦をした。
普通の小学生が普通に遊ぶそんな毎日だった。
変わりに爺さんの店は寂れていった。
普通の小学生である僕が行かなくなった店に他の小学生が行くはずも無い。
あの爺さんだけが店の奥に今日も座っている
178名無しさん:2007/05/06(日) 19:18:15 ID:FfICkCXJ
(*´0)ゞファァ~~
179肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/08(火) 17:10:17 ID:HbhdTzoZ
今日も僕は奈々枝さんと距離を置いて爺さんの店の前を通る。
毎日帰宅時間とバスが同じなるのも別に僕がストーキングをしている
わけではない。偶然だ。こちらに来るバスが以外に少ないので
自然とそうなるのだ。もう彼女とは物理的な距離とは別の大きな
壁ができてしまったような気がする。
なんてったって彼女は可愛いのだ。僕のようなものが幼馴染にいるという
ことすら疎ましいに違いない。
と、そのとき珍しく店の前に出ていた爺さんが奈々枝さんに話しかけた。
するとなんと彼女は「キャッ」と声を上げて逃げたのだ。
180肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/08(火) 17:15:49 ID:HbhdTzoZ
爺さんは何を言おうとしたのかしらないが、駆け足で通り過ぎようとする
二人の女子高生の後姿をさびしそうに眺めている。
上げかけた手が力なく胸元辺りをさまよい、体を半分店の中から出して
遠めにみてもため息をついたような気がした。
まさか、そりゃないだろう?
いくら今が加齢臭のする年寄りであろうと昔の馴染みの店なのだ。
その爺さんが懐かしさに声をかけたからといって声をあげて逃げるなんて
ちょっとどうなのよ。
あまつさえ奈々枝さんの友達が爺さんのほうを見て「バカ」とかあざけっている。
これが彼女の今の姿なのか。僕は無言で爺さんの横を通り過ぎた。
181肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/08(火) 17:22:13 ID:HbhdTzoZ
僕の少年時代は終わったのだ。
憤りよりも寂しさが去来した。
ちなみにこのあたりの言い回しが古臭いのはは最近僕が純文学に凝って
図書室の棚を読み漁っていることが関係している。
奈々枝さんも昼に図書室に来ているのだが主にコバルト文庫などの棚から
物色している。
そうだ。これほどの距離が僕らの間にはあるのだ!
ラノベなど敵だ!
太宰の前に砕け散るがいい。
ウラジミールとエストラゴンは互いに行こうと促すがその場を立てないのだ!
182名無しさん:2007/05/09(水) 23:16:13 ID:cWgArT41
最近また知り合いの女の子の小説が文学界新人賞に選ばれた。
考えたらこの会社去年も同じ賞取ってる女子社員がいる。けど何も騒がない会社
183肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/10(木) 20:20:02 ID:C9Y3YBxi
閑話休題
翌日から僕は意識的に彼女とバスをずらすようにした。
田舎にある学校で、バス一本遅れると30分は違う。それでもなぜか
僕は彼女と一緒のバスに乗りたくなかった。彼女の後姿を見守る気に
なれなかった。
そして一週間も過ぎたころ。
下校時なにげなくあの店の前を通り過ぎた時に感じた違和感。
ショーケースにかすかに見える僕の黒歴史たる美少女フィギュアは
そのままに、店の中があんとなく暗かったのだ。
休みなんて珍しいなと思った。
184肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/10(木) 20:26:16 ID:C9Y3YBxi
今までに休んだ記憶のない店だ。
盆だろうと正月だろうと、コンビニが台風で店を閉めたときもこの店は
電池を売っていたくらいだ。もちろんおおぴらに開いてることもない。
知ってるものだけが買いに来た。
自販機のジュースも常に半分が売り切れランプをともしているが、売れ筋の
農協の100パーセントオレンジジュースと甘ったるいコーヒーだけはどこから
仕入れてくるのかつねに補充されている。
そのように元から開いてるか開いてないかわからない店だが、ここまできちんと
「閉店してます」と無言でアピールしてるのは僕の記憶にない。
そして爺さんの姿も見なくなった。
185肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/12(土) 20:28:53 ID:Ckvw16du
まあ、実際こんなもんだ。
このようにして僕の幼年時代は幕を閉じるのだ。
幼馴染のあの娘も、一緒にあそんだお店もこうして僕の記憶からいつのまにか
薄れて行き、僕も大人になるのだ。
そんな感慨にふけりながら僕は歩く。
店の前にはうっすらとゴミが積もり始めている。
けっこうマメに掃除してたんだな。
ガラスケースに忘れ去られた僕のセーラーヴィーナスもこうしてみるとくすんでるな。
胡乱な歌にあった古時計のように、この店は爺さんの命とともに朽ち果てるのだ。
うん。なかなかセンチメンタルじゃない?
186肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/12(土) 20:35:25 ID:Ckvw16du
だが、現実とはそうも劇的ではなかった。
爺さんは生きていた。
母親から聞いた話では、警察のご厄介になっていたのだ。
罪状?
児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑。
モロにクロだったそうだ。
翌日下校時あの店の前を通ると、なんと家宅捜索が入っていた。
TVで見るよりもずっと小規模なものだったが、黒い背広の人たちが数個の
ダンボールを白いバンに積むのがわかった。
187肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/12(土) 20:42:48 ID:Ckvw16du
そしてなんとそこに爺さんもいた。
爺さんはベージュのジャケットにボウタイという洒落た初老の紳士といういでたちで
スラックスに両手を突っ込み警察関係者らしき人となぜか歓談している。
おまけに僕の方をチラリと見てウィンクした。
やっちまったーって感じで。
急ぎ足で店の前を通り過ぎるとき、いつもの場所にあのフィギュアが無いことに気づいた。
えっ、まさか、あれも証拠物品?ってことは、まさか!
案の定たずねてきた私服警官と家族の前で僕があの人形が「コードネームはセーラーV」
という漫画の立体化でありたしかに自分の所有物であることを認めさせられたのは翌週のことだった。
188名無しさん:2007/05/14(月) 03:45:55 ID://2RHmMh
肺魚雑想ノート
189肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/14(月) 17:54:24 ID:9/4/eQZe
成程、日常とはこのようにして変化してゆくものなのね。
などとまるで大人の階段をさわやかに上ったような気持ちになっていた
僕がそれから3日後の下校時に見たものはごく普通に店を開けていた
あの爺さんの姿だった。
くわえタバコに下着姿で道端の自販機にジュースを補充している姿に
一瞬幻覚か、もしくはそれ以上のちょっとヤバイあれかと思ったが、どうやら
本物らしい。
俺の姿を見ると店の中に入り、無言でかの美奈子フィギュアを俺にくれた。
かくして10年ぶりに俺の手元に戻ったヴィーナスに「押収品・No13」という
タグのついたビニールに包まれていたのだ。
190肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/14(月) 18:04:56 ID:9/4/eQZe
爺さんはその日からまたずっと開店休業状態の店番をしているらしい。
いろいろと疑問が残る。
もしかするとあの爺さん、俺たちが店に通っていたときから、危なかったのか?
そういえばこないだ奈々枝八重さんがキャーっといって逃げたのも・・・・・・?
僕は色あせたフィギュアを机の上に置き、見事に修復されている手の部分を眺めながら
思った。

意外と世の中って変わらないのか?

翌日、僕は下校時にバス停で奈々枝八重さんに数年ぶりに話しかけた。
191肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/14(月) 18:11:02 ID:9/4/eQZe
「き、聞いた?」
「え?あ、う、うん。まあ、知ってたけどね。」
「こないだはなしかけられてた?」
「そうそう!後ろから見えてた?格好。」
「いや、なに?」
「モロダシ」
「ちょ、ちょっと、マジで?」
「ホントホント。70歳?くらいなのに。」
「なのに?」
「なに、それ言わせんの。私に。うら若き乙女に。」
192肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/14(月) 18:15:45 ID:9/4/eQZe
「いやいや」
「もう、びっくりよう。いや、以前からおかしいなっては思ってたさ。ほら
一緒に通ってたときから。」
「?」
「おトイレしたくない?使っていいよーて毎回言ってたもん。」
「なんだそれ」
「いや、私もつかったことあるのよ。そしたら、トイレに行くまでにいろんな
本が広げて置いてあるんだわ。」
「それは・・・・もしかして」
「もしかしなくてもそんな本よ。そんな本。それも当時の私たちと同じ年代な。」
193肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/14(月) 18:20:00 ID:9/4/eQZe
「あー・・・そんなのもあったんで捕まったんだ。」
「あ、でも直接原因は、なんか、小学生の女の子に美人局られたらしいよ。」
「つつもたせって」
「ホントホント。なんかお金巻き上げられたらしくって。んで、頭にきて自分で警察に
訴えて。」
「エライなー。」
「エライエライ。うん。ま、なんやかんやで不起訴にして、でもまあ、家宅捜索は入って
お爺さんの長年のコレクションは段ボールと共に警察の倉庫へってことでしょ。」
「うーん」
「あっ、もしかしてあたしの写真とかもあったかな?」
194肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/17(木) 18:32:06 ID:XZVd//Ha
「あれ?なんだ、八重の彼氏だったの。」
「ああ、みっちゃん。そう。アレよアレ幼馴染ってやつよ。」
「いや、そんな。」
僕は急展開にしどもどして八重ちゃんの友達に今更お辞儀などする。
「まあ、そんな。そんなもだと思っててよ。」
八重ちゃんは笑った。
もう、奈々枝さんじゃなくっていいよな。

結構変わらないもんだよ。
たかが15年あまりの人生なんてね。
195肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/17(木) 18:39:13 ID:XZVd//Ha
少年時代ってのは意外と引きずるもんだ。
今日もヌケシャアシャアと店を開けている爺さんもいつかはクタバるかもしれないし
僕だってそのうちこの町を出るかもしれない。
それとも一生この町でグタグタ過ごすこ可能性もあるだろう。
地震が来るかもしれないし、火事があるかもしれない。区画整備だって進むかもしれないし
大きなショッピングセンターができたり今流行の市町村合併があったり。
でも僕らの営みはそれほど変わらない。
僕は僕だし、八重ちゃんは八重ちゃんだ。
そればっかりはだれがどう言おうと代わらない。
輪廻転生なんてオカルトな話じゃあなくって僕は僕としてここにあるのだ。
196肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/17(木) 18:43:11 ID:XZVd//Ha
なんてカッコいいことを言ってこの話を閉めようと思ったが僕の頭じゃあ無理みたい。
「どうしたの?」
「いや、うーん、テストが終わると夏休みだなあ。って」
「そうよ。そう。セーラーヴィーナス作って増やしてワンフェスで売る?」
「ワンフェス?」
「知らない?じゃあ、コミケとか。」
「・・・聞いたことはある」
「そう。じゃあ、夏休みまでにゆっくり教えなきゃね。ねえみっちゃん」

前言撤回。彼女はイロイロと変わってるようだ。

さて、爺さんのとこで2人に農協のジュースでもおごってやるかなあ。
197肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/17(木) 18:45:12 ID:XZVd//Ha
おしまい
198生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/20(日) 22:23:38 ID:XjWPqvis
『スーパーヒーロー物語』序章
東京の真南にあるショッキングアイランドでマキシマム仮面は生まれ育った。
マキシマム仮面以外の人間がいないこの島で、彼は究極の肉体と正義の精神を
手に入れたのだ。
「しかし、本当の正義とはなんなのか?」マキシマムは時に悩むのだった。
ある日マキシマムは本土に渡る決心をした。島では腰に布を巻いただけの艶男
スタイルだったが、島には海に捨てられたと思しき多くの衣類が流れ着いていた。
「ずいぶん助かるが、こういった海に物を捨てる人間も抹殺しなければなぁ・・・」
彼はスーツを着込んで海をクロールで泳いだ。目指すは北、日本のパンデモニウム・
東京シティーだ。
島から東京湾に到着するまでに、彼はサメを70匹も倒したのだった
199生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/20(日) 22:42:58 ID:XjWPqvis
第1話「ゴリラデビル」
マキシマムは夜の東京湾にたどり着いた。倉庫の立ち並ぶ埠頭に上がり、マドロスさんの
踏み台みたいなアレに腰掛けていると、向こうの暗がりで数人の男達が話しているのに気
づいた。彼らは全員黒っぽいスーツを着て、夜にもかかわらずサングラスをかけていた。
「例のブツを持ってきたぜ。約束のマニは持ってきたんだろうな?」
「モチのロンよ。」
(これは悪者達の取引だな・・・やってやるさ!)
「待て!このマキシマム仮面が悪事を見逃さずちゃーんと来ましたよ!」
しかし!彼はこのとき仮面をつけてなかったのでただのマキシマムだった。
「サツか!野郎ども、やっちまいな!」
リーダー格らしき男が指示すると男達が一斉にナイフや棒で襲い掛かってきた。
マキシマムは敵の攻撃をひらりひらりとかわしながら凄いパンチで彼らを殴った。マキシ
マムのパンチを喰らうと普通の人間は肉片や細胞単位まで粉々になってしまった
200生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/20(日) 22:57:42 ID:XjWPqvis
「こいつは強いな!じゃあこちらも奥の手だ!」
悪者のリーダー格は全身がビカビカ光ると巨大なゴリラ的な生物に変身した。
「こんばんは、ゴリラデビルです。デビル組織に改造されたデビル戦士なんだヨ!」
マキシマムは身構えた。(ついに強敵が現れたな!)
「じゃあこっちも必殺技を出すぜ!マキシマム・アーム!」
マキシが両手を前に突き出し叫ぶと、彼の両腕は通常の7倍の太さになった。
「太くて男らしい腕だ!用心しなければ!」ゴリラデビルは叫んだ。
「では行くぞ!」マキシはベルトの上についているボタンをたくましい指で押した。
そのスイッチを押すと、ショッキングアイランドのマキシマムの秘密基地から高性能
超小型ミサイルが飛んでくるのだ!やがて、小型ミサイルが飛んできてゴリラデビル
の心臓を突き破った。「勝った・・・恐るべき敵だった。」マキシマムは男達の持っ
ていたケースから白い粉を取り出し手の甲に少量をこぼして鼻から吸った。
「おお・・・空が七色に見える・・・!」
夜明けまではまだいくらか時間があるようだった・・・
201肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/22(火) 19:08:10 ID:fHP7GYn6
洗牌の音が好き。
だからイマイチ全自動卓は好きじゃない。
楽っちゃ楽なんだけど。
ラシャに指を直角に立てて、第二関節から先だけで混ぜるあの
感触もすごくいい。
なんせ―
「おい、早くツモれよ」
いやな声だ。
男の声は嫌いだ。
聞き取りにくいくぐもった声が耳をなでるだけで寒気がする。
202肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/22(火) 19:16:15 ID:fHP7GYn6
夏休みの補習に出てきた連中と卓を囲むなんて思ってもみなかった。
私も含めた落ちこぼれたち、とはいってもこうして学校までノコノコ
出てくるんだから、落ちこぼれていく度胸すらない小心者たちが昼前から
学校の資料室で麻雀をしている。
絵になる風景だ。
校庭からはさわやかな丸刈りスポーツ少年たちが白球を追いかけ、見学の
女子生徒が黄色い声の声援を送る。
マネージャーにでもなっとけばイロイロと高校生活も違ったかなあ、と時々
思うこともあるが、基本的にズボラが数ヶ月で勤勉でかわいい女子生徒に
昇華できるわけもないだろうから早々に追い出されていたかもしれない。
203生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/22(火) 22:47:45 ID:L2ni/DJ2
第2話「蝉デビル」
東京に移住したマキシマムは公園の地下に秘密基地を作った。公園の端に置かれた土管が
秘密基地への秘密の入り口となっているが、時々子供が間違って基地に入ってくることがあった。
そんな子供をマキシマムはボコボコにした。悪意は無いとはいえ正義を陥れる行為を彼は許さなか
ったのだ。ある日彼が基地内の黒いソファーに腰掛け真っ赤なワインを飲みながらTVを見ていると
驚愕のニュースが放送された。『本日未明より、都内のギロッポンヒルズの結構高いところに巨大な
蝉がとまっています。』と女子アナウンサーの感情のない声とビルの壁に止まった軽トラくらいもある
巨大な蝉の映像がマキシマムを燃え上がらせた。「夏にはまだ早いが蝉取るぜ!」
額にMの文字がまぶしいマキシマムマスクを被りマキシマム仮面に変身したマキシマムは公共の
交通機関を利用しギロッポンヒルズへ急いだ。マイカーよりも環境にやさしい公共の交通機関で!
204生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/22(火) 23:00:20 ID:L2ni/DJ2
ギロッポンヒルズに到着したマキシマムは命綱も付けずにロッククライミングでビルディング
に登った。巨大な蝉は結構高い所にいたので少し大変だった。やがて蝉の所までたどり着いた
マキシマムに蝉は話しかけてきた。
「こんにちは、僕は蝉デビルです。デビル組織に改造してもらったら蝉だったので一週間しか
命がありませんよ。今日でちょうど一週間目です。」
「なんてことさ。そんなのって、ちょっぴり寂しいジャン!?」
「でもいいじゃありませんか。人生の最後にこんな景色を眺めながら死ねるのだから・・・で
もこうして高みから見ると東京はコンクリートジャングルというよりコンクリートの海ですね。
遠くの空まで排気ガスの霞で・・・でも本当の空は本当に青いんだろうなぁ。」
マキシマムは切なくて泣いてしまった。
「最期にあなたと話せてよかったです。では、さようなら」
蝉デビルは力を失い音も無く落ちていった。
「はじまってもいないのに、僕の夏が終わっちゃうよォ」
マキシマムは涙を流しながらビルディングの屋上に消えていくのだった
205肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/24(木) 06:36:58 ID:K15vltnT
「脱衣麻雀でいいよ?」
そう誘ったのは私だ。
調度持ち合わせもなかったし。
一瞬キョドった3人が顔を見合わせて次にこちらを
見たときそれぞれがまったく別の顔をしていた。
一人は表情を変えずに私の胸ばかりみていたし、もうひとりは
顔を真っ赤にしてうつむいた。あと一人は必死でにやける顔を
殺しているかんじ。
「んで、いくらもってんの?」
私は最大限ニッコリ微笑んでサービスする。
206肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/24(木) 10:35:12 ID:/ml/XC5Q
夏の昼下がりを駅前の甘味処でおいしいところ天を黒みつでいただけるだけの
お金が手に入ればよいのだ。
といってもあのお店、きちんと磯の香りのするテングサを突いた上に沖縄産の本物の
黒砂糖を使った蜜をかけてくる本格的な店だし、そうだね、お昼ごはんにアベカワ餅も
いただくとして、2千円もあれば、と思っていたら。
君たち、これは有明に行って買うのかい?買っちゃうのかい?買いまくっちゃうのかい?
ってくらいの軍資金が財布から覗かせている男が一人。
あとの二人もそれなりにもってるようで、うん。じゃあ、特性フルーツあんみつも食べちゃえる
くらいにいただいとこうかな。
「じゃあ、行こうかっ!」
207肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/25(金) 18:24:10 ID:cRHcEZpg
どこに?ってまず行くのは美術室。
なんで?
って麻雀牌を借りに。
「ちわー。よっちゃん。麻雀セットかして!」
部活の生徒が4人くらいいたかな。
「ちょちょと、なにいってんのよ鈴木ぃ」
顔を真っ赤にしてよっちゃんが飛んでくる。
油絵の具のついた白衣を翻して。
「すぐ返すからさ」
「もう、ほかの生徒がいるときは、勘弁してよ」
208肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/27(日) 13:55:17 ID:C//MVYe3
もう30を過ぎてるだろうハイミスのよっちゃんはいまどき小学生も
見せないような純情可憐な泣き顔をみせてくれる。
「よっちゃんもやる?」
「し、しません!」
「じゃあ、牌だけ貸して」
「もう、学校でそんなことしちゃいけませんのよっ!」
とかつぶやきつつも準備室に向かう。
そこは彼女の秘密のお部屋。
どこぞの国から空輸させたテディベアにレースのリボンを巻いて巻いて
巻きまくったおぞましいオブジェとか。
209肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/05/29(火) 19:17:16 ID:fTwxV0yb
「はい。これもうあげるっ!」
よっちゃんはふくれっつらで牌セットを突きつけてきた。
「まあまあ、そのうちまたやろうよ。みんなで。脱衣麻雀」
「そそそそそっそれは秘密にしといてって」
「うんうん。秘密のひみつね」
かわゆく両手のひらで顔をおおう我が高校が誇る美人ハイミス美術教師
「お礼にあとであんみつおごるから!」

といった感じで調達した牌を持ち込んでの卓なわけだ。
卓といっても資料室の机を二つくっつけて上にラシャボードおいただけですが。
210生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/05/30(水) 22:36:59 ID:asNAZciL
第3話「巨大化人間と宇宙のピー」
都内某所の交差点でデビル組織の改造人間、微熱デビルが暴れていた。
駆けつけたマキシマム仮面が必殺のエクセレントシュートで虐殺したので街の人たちはホッとした。
しかしビルの陰からデビル組織幹部・阿弥陀坊フランクが見ていた。
「微熱デビルを巨大化光線で生き返らせつつ巨大化する必要が、私にはある。」
フランクが巨大化ピストルを微熱デビルの亡骸に向けて撃ったがはずれ、サラリーマンに当たった。
サラリーマンは巨大化してしまった。
「うわあ!大きくなっちゃった!この瞬間私のエンゲル係数は自らの手に負えないものとなり、ここに
私は人喰の決心をかためるものである!皆様ご承知おきください!」
フランクは驚いた。「状況が人間を創りあげてしまった!」
マキシマム仮面も驚いていた。その時、マキシマムに一人の仮面舞踏会的な仮面をつけた白スーツ
の紳士風の男が近づいてきた。
「こんにちは、私の名前は宇宙のピー。あなたに協力するためにやって来ました。でもあの巨大な人
間はちょっとどうにもなりませんので、ここは公安に任せましょう。」
巨大化した人間は機動隊から200発拳銃を打ち込まれて死んだ。街に平和が戻った
211名無しさん:2007/05/31(木) 21:32:09 ID:5YR9J1gM
まだやってたのかどんどんやれ
212名無しさん:2007/05/31(木) 21:38:50 ID:q9kmuRMR
生ロボ小説はながいけんの漫画みたい
213名無しさん:2007/06/01(金) 11:03:31 ID:f7AIVLbW
驚くよ

猟奇警察--------- 都内のマックで男がろう城。ガラス張りの店内から人質の女性は全裸にされ・・
ttp://ana.vis.ne.jp/ali/antho.cgi?action=article&key=20070528000169

ママのけじめ------事故で奇跡的に一命をとりとめた兄。喜ぶ母・姉・妹。しかし兄の部屋からは下着が・・
ttp://ana.vis.ne.jp/ali/antho.cgi?action=article&key=20070529000175

ハケンの性癖--------派遣されてきた美人の彼女は女子トイレや更衣室にカメラを仕掛けていた...
ttp://ana.vis.ne.jp/ali/antho.cgi?action=article&key=20070528000159
214生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/06/01(金) 23:29:41 ID:m9siIIDX
事件も解決した後、マキシマムとピーは公園のベンチに腰掛け、缶コーヒーを飲みながら話した。
「ねえピーたん、お前さんはいったい何者なの?」
「私はなぞの人物です。それよりマキシー、君はデビル組織のことについてどれくらい知っている?」
マキシマムは腕を組んで考えた。(そういえば、たまたまそこに居たから倒したのがきっかけで、
やつらの事をくわしく調べてみたことは無いな・・・)
「いや、それがよくは知らないんだ。」
「そうか、実はわたしもよく知らないんだ。たぶん悪いやつらじゃないかな。」
二人に沈黙の帳が降りてきた。少ししてから、ピーはポケットをまさぐり、白い錠剤と小さい水の入っ
たペットボトルを取り出した。
「ちょいごめん、お薬の時間なんだ。これ飲まないと何かおかしくなっちゃうから。」
ピーは薬を飲んだ。彼は薬を飲み、フーと一息ついた。そしてマキシを見てつぶやいた。
「光化学スモッグっていったい何だろうね?」
マキシマムは光化学スモッグを知らなかった。世界は二人にとって深く、広く、なぞを多く含んでいた
215肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/04(月) 18:56:16 ID:lEQGSPt+
さて、最初はね。パンツくらいまでは見せてやるつもりだったんだけど。
半チャンやって私はセーラーの上を脱いだだけ。
めんどいのでノーレートにしてやつらの誰かが上がったら私が一枚脱ぐ。
私が上がったら1ハン300円計算でもらうってルールでね。
アリアリだし、ナキタンでもあがれば良いのに。
おまけに「タバコすっていいですか?」ってバカ。
「髪ににおいつくからダメ」
私の手元には現金で5200円。
もう十分かなってとこで後ろのドアが激しくノックされた。
「あけてー!あけなさーい!」
216生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/06/04(月) 23:50:57 ID:DRdlMJEv
第4話「真夜中のスローキラー、四こま漫画デビル」
その夜、マキシが公園の秘密基地で寝ていると、恐怖新聞が届いた。
「購入申し込んでねーゾ!消費者なめんなよ!」
マキシはマジギレしたが、とりあえず記事を読んでみた。翌日に起こるであろう事故や怪異について
の数多くの記事、スポーツ欄では来世現世の異種格闘技が載っていて、フリーの浮遊霊がK-1王者を
金縛りで失神KOと報じられていた。そんな中、マキシの目を引いたのが新連載の四こま漫画だった。
『元気な虚無僧くん 第一話 虚無僧死す』というタイトルで、ひとこま目で画面右から元気に走ってきた
虚無僧が画面中央で額を拳銃で打ち抜かれて死んでいた。ひとこま目で。
残りの3こまは空白だった。
翌日の恐怖新聞の見出しに『本誌四こま漫画作者・四こま漫画デビル氏(34)自殺、作品に行き詰った
ことが自殺の原因』の記事が踊った。3日目は配達員の悪霊をマキシマムがマウントでボコボコにした。
マキシマムの寿命が200日は縮んだが、悪もまた一つ、滅んだのだった
217肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/07(木) 17:12:25 ID:BtQd+TD8
色めきたつ私以外の3人。
「よっちゃんだよ。もうジタバタしなさんな。」
そんなだから私が今三元牌を積み込んだのも見逃すんだ。
「はーい。いるよ。鍵もってんでしょ。はいってくればー。」
一瞬の沈黙のあと、廊下にいる影は白衣から出した合鍵で
資料室のドアをあけた。
「もう、ちょっとはおどろいてよっ!・・・・ってせめてパンツくらい
みせてやったら?」
よっちゃんは気の毒そうの呆然と立つ3人の男子生徒を見やった。
「あんたの泣く顔を見に来たのに。」
218肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/07(木) 17:17:46 ID:BtQd+TD8
「いやあ、私も最初はそのつもりだったんだけど」
キャミソの肩紐を引っ張りながら私は答える。
「そうねっ!でも大丈夫よっ!君たち!私がこの娘すっ裸に!」
頼んでもいないのに私のトイメンに陣取るよっちゃん。
「ささ、東風!勝負!」
というと積んであった山を崩して牌を洗いはじめた。
「こいつ、絶対今のどさくさで積み込んでるからねっ!」
さすがよっちゃん。これはちょっとおもしろくなってきたわ。

219名無しさん:2007/06/11(月) 23:47:21 ID:sOo7Fgh1
二人ともワンパターン
220名無しさん:2007/06/12(火) 00:23:25 ID:2l5g1lLJ
生ロボ君のは太陽の戦士サンレッドに通づるものがあるね
まぁ知らんじゃろうし興味もないやろけど
とりやえず続けてくれれ
何事も継続が大事や
221名無しさん:2007/06/12(火) 00:25:38 ID:7Zyfhw1R
出ました秋男の上から目線
222名無しさん:2007/06/12(火) 00:29:17 ID:2l5g1lLJ
だってワシ偉いシトやもん
223生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/06/12(火) 00:46:58 ID:afPl/zfl
今回の作品のテーマは「スパイダーマンへの日本からの回答」です。
気が向く限り書きます。ハリウッドからのオファー待ちです
224オチンチンプラネット:2007/06/12(火) 00:48:24 ID:anhYyg+1
今流行りのネット小説ってどこのサイトで書いてるの?
俺も第二のyoshiになりたいんだけど
225名無しさん:2007/06/12(火) 00:52:27 ID:ueB8PnOc
http://ip.tosp.co.jp/
ここだろ。
本になった時に著者がどういう風に儲かる仕組みか書いてなかったような。
226生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/06/12(火) 00:57:05 ID:afPl/zfl
恋愛小説で一山あてるとするか
227オチンチンプラネット:2007/06/12(火) 00:58:33 ID:anhYyg+1
サンクス
こんな老舗でやってたのね
ぼちぼち暇を見てやってみよう

目指せ夢の印税生活
228名無しさん:2007/06/12(火) 00:59:47 ID:ueB8PnOc
金持ちになったら五年ものの俺の携帯買い換える金出してくれよな。
229オチンチンプラネット:2007/06/12(火) 01:05:32 ID:anhYyg+1
あぁ、任せてくれ。
お前の携帯は俺が機種変更(買い替え)てやる
230名無しさん:2007/06/12(火) 01:12:06 ID:ueB8PnOc
野球の結果どうなったかなーってブックマークしてたYAHOOのサイトに
繋ごうとしたら「おまえの機種じゃ見れねーよこの仮性童貞!」て言われた。
去年まで見れたのに。
231生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/06/12(火) 01:15:34 ID:afPl/zfl
「仮性じゃねえよ!真性だよ!」ってキレていいんじゃないかな?
てめえらよりガードが一枚硬えんだよ!って
232肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/12(火) 19:49:28 ID:bo+dMeMt
「素っ裸に向いて学校中をよつんばいで引きずりまわしてやるぜ」
私の呪いの言葉にも彼女は動じなかった。
「ふふん。いい度胸じゃない。同級生前で内臓まで曝け出しなさいっ!」
よっちゃんは何時にもまして気迫がこもっていた。
今まで彼女とは数え切れないほど卓を囲んだ。
かわいらしい性格とは裏腹に凄い牌を打つ。
去年まで私の父親が経営していた雀荘に彼女が素性を隠して入り浸っていた
時に知り合ったもう10年の付き合いになるのだ。
家業とはいえ小学校に上がる前から雀荘をリオウロウロしていた私も私だが高校の
美術教師にして学校以外のほとんどの時間をフリー雀荘で過ごす彼女も彼女だ。
233肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/12(火) 19:57:47 ID:bo+dMeMt
さて、ご承知のとおり麻雀の真骨頂は手積みにある。と、まあ私は思う。
たとえば三元牌の一枚だけでもどこに積んであるか確実に
判っていれば戦局は圧倒的に有利になる。
よく興味本位に取り上げられるイカサマの「燕返し」や「キャタピラ」
になるとこれはほとんど積み込みの下地があっての技術だ。
しかし、それの多くはいわゆるパフォーマンスであって牌扱いの
うまさを端的にあらわすショーみたいなものだ。
実戦で確実に行うには少なくとも上家と下家が牌を集めてくれることも
必要になる。かもしれない。
234肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/12(火) 20:09:54 ID:bo+dMeMt
しかしながら、彼女は、よっちゃんは違うのだ。
それを他家全部を敵に回しながら数局打つうちに
牌の流れを自分のところに呼んでしまう。
安手を振り込んだり、微妙な牌を鳴いたりしながら
いつしか戦局は彼女の手中に納まる。
それも百戦錬磨などという陳腐な表現を背中に来てるような
雀ゴロを相手にして、だ。
「相手が男なら、ほとんど楽勝よっ」
まあ、そのほかにもイロイロあるのだろう。
たしかに彼女は私から見てもかわいいし。年増だけど。
235肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/16(土) 20:27:43 ID:M0CKLHLx
その年増でかわいいよっちゃんが啼く。
「吃」
筒子を啼く。
そうか。この局で決まるんだ。
よっちゃんは卓を自分の手に収めた後筒子の清一色で上がる。
それは判っている。
しかし判っていてもとめられない。
「槓」
ドラ牌が開いて九筒が曝される。
そういえばドラは日本独特のルールだそうだ。余談ですが。
236肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/16(土) 20:42:56 ID:M0CKLHLx
「槓」
次巡でまた一枚。同じく九筒。
「よっちゃん、なんか怖いよ」
私も断幺九のみで聴牌。ドラが3枚も開いているので本来なら千点棒を投げたい
ところだが、恐ろしくて立直などかけられない。
「奴が、いなくなったのよ」
そのときよっちゃんはぼつりとしゃべった。
「ちょうど一週間前。約束だったの。7日連絡が取れないときは、別れるって。槓」
さらに開くドラ牌は、開く前からわかっていた九筒。
「リンシャン」
237肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/26(火) 19:12:17 ID:tw92mwyi
嶺上を引くよっちゃんの細い指に、手垢で薄汚れた牌が現れる。
そう。
よっちゃんはここ一番で上がる時はいつもそう。
かならず一筒であがる。
たとえ私が全力で止めたにしても彼女のそれを止めることは事実上不可能。
だって、よっちゃんはこの卓に君臨する暴君。
王の勅令に逆らえる家臣に与えられるのは死。
今日、ここでつるし上げられるのは私。
「全裸で窓から飛び降・・・・・?」
よっちゃんが私を見て呪詛を、とその瞬間、彼女の右手の一筒が割れた。
238肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/06/28(木) 18:31:24 ID:TbCoH9M7
文字通りまっぷたつになった一筒に反応したよっちゃんは
まるでそれが手の中から零れ落ちる砂金の最後の一粒でもあるかのように
両手で掻き抱く。可愛い唇がわなないている。あきらかに取り乱している。
「見つけたっ」
さっき吐いたスラングとはまったく別の、恋する乙女の囁きにも似たる吐息が漏れた。
私以外の面子はなにが起こったのかもちろんのことわかっていなかっただろう。
しかし、私にはわかった。よっちゃんは彼からのメッセージを受け取ったのだ。


239生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/07/04(水) 23:27:03 ID:pRxir7EL
少年名探偵〜武者小路Pの推理 第一話「密室で死んだ人はすべからく自殺で処理」
武者小路Pは私立淡水漁業高校の1年生。そんなPの学園で密室殺人事件が起きた。
内側から鍵がかけられた放送室で放送部の担任教師・青山アオノリが日本刀で体を真っ二つに
切られて殺害されていた。Pの頭脳はこれが密室で巧妙にしくまれた日本刀を用いた自殺、もしくは
他殺であるだろうと推理した。日本刀はアオノリの手に握られており鉈の破壊力と剃刀の切れ味を
持っていた。そしてPの推理通りこの事件を機に修学旅行は中止となったのだった!
240携帯肺魚:2007/07/12(木) 20:46:02 ID:On1W2SjW
行方不明になった愛しいあの人からのメッセージ!
なんてそんなハーレクインでコバルトなシチュエーションは
実は嫌いじゃあない。
そしてそれを手がかりに彼女は彷徨うのだ。夜の街を。
流れるヘッドライトの群れは彼女の疲れたそれでいてなにか希望を胸に抱いている

横顔を照らす。
まっていて、私がすぐに行きます。あなたの力になりたいの。
そこそこに散らばる彼につながる手がかり。それはハードボイルドな香りを秘めつつ
2時間ドラマのような大衆っぽさも伺わせつつ二人の距離を縮めていき、ついに成田からバリへ!
241肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/07/16(月) 11:57:04 ID:/sLV0A1D
飛びません。
ってゆーか、JRの駅二つ乗っただけだし。
よっちゃんが消えたあの日からまだ3日しかたってない灼熱の
昼下がり。
家のセガサターンでリンダキューブ完全版のシナリオDをやりこんでいた
私の携帯にいきなり入ってきたメール。
「××ビル3F 御神楽興業」
よっちゃん。
いくら私でも地元の怖い会社くらいしってるよ。
242名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 10:54:10 ID:TBdmP0vK

243肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/08/01(水) 16:40:52 ID:2Ei/xE/U
メールの内容はたったそれだけだった。
「ここに、来いってことか?」
なんで私に。
まあ、人付き合いが苦手なよっちゃんのことだ。頼れる人間は私だけなのかもしれん。
しれんけど・・・たかが女子高校生になにを求めてる?
「うむむむむ」
腕を組んでうなる。部屋で断末魔的な音を立てて冷風を噴出す窓用エアコンの音とゲームの
音楽がうまくシンクロして聞こえるくらいまで考えてみる。
行くべきか、行かざるべきか。しかしほっとくわけにもいくまい。警察に連絡なとしてやろうか、それとも
自分で行って確かめてみるべきか?こういうとき私は本当にいい子ちゃんだから父ちゃんと母ちゃんに
相談してみるのだ。
244肺魚 ◆KAKWpMAjds :2007/08/01(水) 16:51:18 ID:2Ei/xE/U
「自分で行くべきだろ」
オヤジは酢豚を食べながら言い放ち、母親はそれに従った。
「ちゃんとした服きて行きなさいよ。粗相すると香港あたりに売り飛ばされるわよ。」
「今時、香港はねーだろ。インドあたりが少し金持ってるからそっちのほうだ。」
「トラフィッキングって言うんですっけね。最近は。」
「まあ、ソン時は被害届出してやっから。」
・・・・・・これだ。しかして、残念ながら彼らは冗談で言ってるのではない。両親自体
いわゆる裏のご商売でご飯を食べてきた人たちで、今でこそ足を洗っているらしい
ものの、時々急に羽振り良く100万単位の買い物をしてくる父親と、いきなり増える母親
のブランド物の収入源に言及されたことはない。
245名無しさん:2007/08/02(木) 18:14:07 ID:taa8L9k7
246生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6 :2007/08/03(金) 00:21:21 ID:IlSwG925
芸術と恋人 第15話「遠い影」
日曜日、夕暮れに降る雨が早くも夏の街灯に光をともした。
この雨の中に出かけた真幸を、詩織は一人部屋で待っていた。
ベランダから雨と雨の向こうに霞む景色を眺めながら、詩織は物思いにふけった。
やがて水を含んだ足音を鳴らしながら真幸がびしょ濡れで帰宅した。
「投票所が分からなかったから近くのポストに投函してきたよ。」
玄関から自信満々の笑みで詩織に声をかける。「さあ、体を拭くものをおくれ!」
詩織は彼の為にピンクのハンカチを持っていった。
「詩織?俺は全身びちょ濡れなんだけど?」
「そうよ。風邪をひかないようしっかりお拭きなさい!」
真幸は体を拭ってはハンカチを絞りを繰り返し、20分ほどかけてある程度体を拭いたのだ。
247生ロボット ◆PFQ3vnSyZ6
「さて、アナタはいったいドコに投票したのかしら?いいえ!ポストのことでは
なくってよ!支持政党とか立候補者とかのことをお尋ね中なのよ!」
「OK、質問の意味は理解した。しかし俺は政党とか立候補者に投票したわけじゃ
ない。未来の子供達へメッセージを書いたのさ。『俺から君たちに伝えることは
何も無い』ってね。」
詩織の目がギラリと光った。
「真幸、なんてことなの!民営化された郵便野郎どもがアナタの大切なメッセー
ジを未来の子供達に届けるとは思えないわ!」
シンデレラタイムに突入した恋人は全身がポエムだった。彼女はガムテープを握
りしめ外に飛び出そうとした。真幸が急いで抱きとめる。
「ポストを封印するしかないの!2104年まで、平成のかなり先まで封印してしま
うしかないの!周りに神社のマークを描けばあいつ等だって…」
真幸のハートブレイクショットで詩織の意識が雨音の中に消えていった。
詩織を布団に寝かせて、真幸は一人で酒を飲んだ。体が内側から温まるのが分かった