1 :
名無しさん:
もしも・・からくる未来を語ってください。
他人の考えたもしもから未来を語ってもかまいません。
出来れば毎日語ってください。
(もしも) ロッソが女になったみたいな。
3 :
さく:2006/09/14(木) 15:56:11 ID:+n+91xkI
>小遣い稼ぎのサイト紹介します!!
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4 :
名無しさん:2006/09/14(木) 15:58:34 ID:c/A4ObhL
1です。もしもをかきます。
もしも変更したい過去を変えるなら・・
これについて書き込んでください。
5 :
名無しさん:2006/09/14(木) 16:01:07 ID:c/A4ObhL
1です。
<<3荒らしやめてください。
6 :
名無しさん:2006/09/14(木) 16:40:23 ID:RFjYoqk4 BE:56145986-2BP(31)
(π」π)ノ もしも明日が晴れならば
7 :
名無しさん:2006/09/14(木) 16:48:05 ID:c/A4ObhL
<<6
小学校等の運動会が全国でやってたりして。
8 :
名無しさん:2006/09/14(木) 18:28:28 ID:kAc8LMyb
なんだこの頭の悪そうな1は
9 :
肺魚 ◆KAKWpMAjds :2006/09/14(木) 18:50:15 ID:KanH678v
もしも。
ある日教室のドアを開けたら。
「あっ、おはよう」
僕の机の上であぐらをかいてコンプティークなど読んでる同級生の少女が。
「まだ暑いねー。」
って上半身裸に首からタオルだけひっかけた姿だったら、どうする?
「あ、ごめん。君の机だっけ。」
そういって彼女はまた漫画に目を落とす。
「ちょっと場所かしといてよ。私の机、ほら、アレなんだ」
首を動かすだけで示した彼女の机の天板はなぜか真っ黒だった。
10 :
肺魚 ◆KAKWpMAjds :2006/09/14(木) 19:00:11 ID:KanH678v
真っ黒というのは語弊があるか。
よく見ると、いろんな文字が書いてある。
それも習字の時間に使う墨で。
先を潰した筆もその横に転がっていて、よく見るとそれは机だけではなく
椅子の上にもまんべんなく描かれている。
「これ・・・・・」
「マメにやってくれるよねえ。」
彼女は笑った。
タオルが揺れて胸が見えた。
意外と大きいなと思った。
11 :
肺魚 ◆KAKWpMAjds :2006/09/14(木) 19:07:35 ID:KanH678v
彼女はこの中学に転向してきてからずっといじめられていた。
全校生徒100人にも満たない田舎の町立中学校。
1クラスしかない生徒のほとんどは小学校からずっと同じクラスで
昔は炭鉱や漁業で栄えた町の地主や名主のがそのまま権力を持つ
ヒエラルキーは子供の世界でも同じだ。
いや、義務教育という閉鎖空間におけるそれは大人のそれよりも
もっとエゲツナク作用する。
クラスにいる一握りの「特権階級」の権力ははっきりいって担任教師の
それをはるかに上回る。
12 :
肺魚 ◆KAKWpMAjds :2006/09/14(木) 19:19:05 ID:KanH678v
事実、昔は陸の孤島などといわれた町には、廃炭後20年が経ったここ数年
ほとんど人の出入りは無く記憶にあるかぎり「転校生」などというものを見たのは
彼女が初めてだったと思う。
どこから来たのかは忘れたが、たとえどこであろうとこの町よりも開けた世界であろうし
彼女は見るものすべてにそれを意識付ける容姿をもっていた。
町に一件だけある本屋に月に数冊だけ入ってくる少女雑誌のモデルのような顔立ちは
近親結婚を繰り返してきた結果の「産物」である同級生にはない魅力であったし、
どことなく女の子らしい体つき。
そして発した言葉がTVの中でしか聞いたことの無いような完璧な標準語。
彼女は転校してきた日の昼休みには早速の呼び出しをくらっていた。
どうするかな
14 :
名無しさん:2006/09/16(土) 22:40:47 ID:LBsajTmy
こまるよー
同じオタの長文でもハイギョと残り物は全然違うな
せつない
16 :
携帯もちも:2006/09/16(土) 22:59:49 ID:Be6rRd2K
17 :
名無しさん:2006/09/17(日) 01:03:52 ID:8sq1uWMM
もしもしもしもしもしもしもしもしもしもし、
閑話休題
僕は机のフックにかばんをかけ、彼女の素敵に白い肌に触れたい誘惑を必死に
払いのけながら廊下に出た。
手洗い場の下からプラスチック製のバケツとぞうきんをとり水を半分溜めて教室に
戻る。
「あれ?やさしいんだ」
彼女は僕の机の上からぽんと飛び降り、僕のところへかけよってバケツを受け取った。
「シノブさんがそんなに無防備だとはおもわなかったよ」
「え?ああ、いじめられるのは仕方ないよ。わかってたことだし。」
違う。違うんだよ。
そのあなたの格好ですよ。。
制服の紺色のひだスカートはそのままに裸の上半身。
おまけに今君は首にかけていたタオルを頭に巻きなおして胸をさらけ出して
右手に雑巾左手にバケツだ。
都会風美少女とはこんなにもさばけているってのか?
ってゆーか、上着と下着はどうしたの?
「だから。とられちゃったんだよう。」
彼女は雑巾をきれいに絞って机の上をふきはじめた。
むねがゆれてますよ。
おもわずじっと見てしまう。
「早いんだね。いつもこんな時間?」
「えっ」
彼女が顔を上げた。
「ふふっ」
彼女の目が前髪越しに僕の目を捕らえてくる。
「がっこうにくる時間だよ」
「う・・・・うん。」
僕はこの時おかしいと思うべきだったんだ。
なぜ彼女がここにいたのか。
でもその時の僕は正常な判断力をうしなっていたのだろう。
「私ね。なにをされても、いいんだよ。ただこの学校にいられればいいんだ。」
「坂月・・・・」僕は彼女の名字を読んだ。
「うん。名字ね。ニセモノなんだ。」
「えっ」
「でも名前は本物。詩惟(しのぶ)。だからそっちで呼んでよね。だって・・・」
詩惟はそういって僕の首に手を回した。
「私がここに来たのはあなたがいるからですよ。」
「そ・・・それは」狼狽する僕の耳元でささやく一言。
「わかってるくせに」
さて。
そのあとは別にHぃことはなにもなかった。
手を離した詩惟は僕の目をすこしだけ見てからまた
机を拭き始めた。僕もすこしてつだったあと、ジャージの上を
貸してやった。
彼女はそのまま午前中の授業を受けた。クラスの連中はまさか
坂月(仮名)のジャージの中がそんな状態だとは夢にも思うまい。
しかし、僕と彼女のほかにそのことを知ってる人間がいるのだ。
とりあえずその連中とあうことにした。
学年が上といっても全校生徒100人ほどの学校だ。
クラスも隣同士だし、多分他の学校よりも先輩後輩の概念は薄いと思う。
でもやはりつい半年までランドセルを背負っていた僕にとって上級生の
クラスというのはそれほ度馴染み深いものでもない。
それでもまあ、確かめておくに越したことはないのだ。
「ちわーす」
教室の後ろの入り口からすぐそばに座ってる丸刈りの男子生徒に声をかける。
「ああ、なに。」
我が校陸上短距離のエースの彼のことについて話に関係ないので
割愛させてもらう。
「橋口さんは・・・・」
「橋口。いつものところじゃないの?」
「そうですか。どうも。」
いつものところか。
出来れば行きたくなかったが。
備え付けのスピーカーから聞こえてくる昼休みの等閑な音楽に
あわせて強がって口笛を吹いてみる。
屋上まで足を伸ばさずばなるまい。
2階の階段をさらに上ったところに屋上への入り口がある。
田舎の学校で後者の半分はコロニアルの屋根になっているが
残り半分は屋上にで教室2個分くらいのスペースがある。
「郷土史研究部員以外立ち入り禁止」のプレートのついた鉄のドアだが、
ノブをひねるとカンタンに開く。
どんよりとした空は今にも雨が降りそうで、おまけに寒い。
すこし先にプレハブの小さな建物があり、そこのドアに腕組みをしてもたれかかっている
女子生徒ひとり。
「おまちかねだよ」彼女はそういってくくくと笑った
プレハブの壁は一面の本棚で、少々かび臭い本やファイルが
意外と几帳面にならべてあり正面にある大きなテーブルにはノート
パソコンとプリンタ、それにおびただしい量の書類。
そしてそのパソコンに向かってるボブカットが顔を上げる。
「よう。まってたよ。」
そういって立ち上がった彼女が橋口。
橋口ゆたか。
痩せぎすな体躯は制服のセーラー服に似合ってないし、肌の色も
浅黒い。
詩惟と並ぶとヒロインと通行人ほどの存在感の違いがあるだろう。
彼女こそこの学校、いやこの町の実力者。
橋口製炭の令嬢にして跡取り娘。
実際廃鉱になった島を抱えたこの田舎町が市町村合併の
アオリも受けることなくなんとか自立できているのもひとえに
彼女の父親のお陰なのである。
「まあ、すわんなよ。」
と、椅子を勧めてくれたのはさっき入り口にたってた黒崎女史。
じつは彼女も只者ではない。
中学生にして「女史」のあだ名を戴くほどの秀才なのだがあんまり関係ないので省く
ところで学生のヒエラルキーというものは主にクラスの役割分担で決まる。
スポーツ万能のクラスのエース。寡黙な天才肌のクラスの頭脳。
異性人気を統括するルックスハッピー。恐持てが魅力の悪の一団。
などとテレビのクイズ・バラエティ番組における画面占有率をそのまま
学校の教室での力関係に反映して少年達の居場所は決まる。
しかしたとえば役者の数不足の場合おいてその役割は時々兼任されることがある。
特にこの生徒数の少ないこの学校において、それは顕著だ。
橋口ゆたかの場合文系の頭脳と類稀な経済力を持ちながら、見ろ。あのスカートを。
ロングタイトスカートだ。ロンタイBABYってやつだ。
まあ、頭のいい彼女のことだ。
イロイロと役作りもあるんだろう。
手っ取り早く権力というものを見せ付けたいのかもしれないが
まさか「スケ番」でもないだろう。
しかしたとえそのうち彼女がヨーヨーを振り回し始めてもだれも
とめることの出来る人間はいない・・・・と思う。
「ああ、そこにあるから。帰ったら渡しといて」
黒崎さんが示したところにはセーラー服がハンガーにかかっている。
「匂い嗅いだりしちゃダメよ」
詩惟のものだろう。
「あんまり彼女いじめんといてくださいよ」
「えー?いじめてないよう。挨拶だよ挨拶。」
そう。
彼女に降りかかっている非道は実はほとんどがこの
橋口さんを親玉とする上級生一団の仕業なのだ。
郷土歴史研究部などという地味を極めたような文化部。
それはこの学校の最高権力といってもよい。
生徒会も存在するがほとんどの学校のそれと同じかそれ以下の
存在感すら感じられず、教師ですらこのプレハブの存在を黙認することに
よってそれに同意している。
説明臭いモノローグばかりで疲れる。
ごめんなさい。
「ずいぶんご熱心な挨拶ですね。」
僕はそういってハンガーにかかった制服をとった。
ぱさ。
足になにか落ちた。
「落としたよ」
黒崎さんがさっとひろってそれを僕の顔の前につるす。
「とと」
のけぞる僕のまえに白いブラジャー。
しまった。顔が赤くなったかな。
あんまりこの人たちに弱みは見せたくないんだけど。
「やさしくしてやんなよ。」
橋口さんはそういって破顔一笑。
チクショウ。
笑うと可愛いよな。
ひったくるようにブラを受け取りハンガーの上着の下にかくして
郷土史研究部を逃げ出した。
そろそろ雨がふってきそうだ。
あんまりイロイロ聞けなかったな。
何かつかんでるっぽいんだけどな。
ぼーっと歩いてるとなぜか周りのみんなが僕に注目する。
なぜだ。
・・・・・・そうか。
考え事をしていたせいで詩惟の制服をそのままみんなにまるで
見せびらかすかのように歩いていた。
慌てて隠そうとするが、小柄な女子の制服といえどけっこうな大きさだ。
しかたない。とりあえず教室までダッシュ
でも、男女の制服ってこんなにちがうもんなんだな。
男子の詰襟標準服とちがって女子のセーラーは
なんだか生地からいってつるつるだ。
こう、なんというか、胸のリボンといい、大きなエリといい
ヒラヒラが多いような気がする。
姉妹でもいるともっと免疫みたいなものもできるのだろうが
家で僕の帰りをまつ異性は母親と祖母だけだ。
小学生の弟はいるんだがな。
なんて走りながら考えてたらもう教室だ。
これ、もって入るのか?
「あっ」
教室の外の廊下で思案してると後ろから声がした。
振り向くと詩惟がいた。
いきなり僕に抱きついた。
「ありがとう」
耳元でささやいて制服を受け取ると廊下をかけていった。
一瞬の出来事。
朝あんなにショッキングな彼女の姿をみていたのに。
詩惟の唇が微かにあたった首筋がやけにくすぐったい。
手でおさえるとなんとなく熱くなっていたのは気のせいだろう。
放課後。
ちょっとした岬の上に建っている学校から坂を下りると
すぐ僕の家だ。
江戸時代に建てられた家は広いがボロい。
庭で祖母が薪を割っていたが、そんな風景が平成の御世に
日常となっているのも自分で言うのもなんだが時代錯誤なのだろう。
「おかえり。」今年80になる祖母が鉈を振るうたびに心地よい音がして
直径10センチはありそうな木が真っ二つになる。
これを沸かして風呂に入るのが人生の楽しみなのだそうだ。
内風呂とは別にトタンで囲った風呂場があり、五右衛門風呂が露天に据えてある。
80歳の老婆の腕力で焚き木を作れるくらい切れ味の
良い鉈でこないだはリンゴの皮を剥いて食っていた。
どれだけ切れるんだ。
多分そんじょそこらの包丁よりも鋭利に研ぎあがっているのだと
思う。
祖母が認知症になり、あの鉈をふるって暴れまわることだけはやめて
ほしい。
「ただいま」
光るほど滑らかな焚き木の断面を見ながらそう思った。
「まて。」
家に入ろうとした僕を呼び止めたのはまさにその祖母だった。
「どうした。いつもと違うな?」
「えっ」
「ふん。気づいてないのか。まあよい。」
腰を伸ばして立ち上がった祖母はまっすぐに僕の目を見た。
孫の顔をみる表情ではない。
「よもや、自分の仕事を忘れてはいまいな?」
「わかってるさ。」
つい目をそらしてしまう。
相変わらず苦手な婆さんだ。
「助平なことを考えるでないぞ」
・・・・まあ、只者ではないのは確かだが。
翌日学校に行くと詩惟はいなかった。
朝7時。
連続一番登校記録は昨日で途切れたものの、アレは
なにか反則っぽかったな。
ってゆーか、昨日も僕は、そうだ、学校事務のヨシダさんが
校門を空けると同時に入ったはずだ。
不振に思いながらも僕は朝の日課を行うために
教室を後にした。
まだ寒い廊下を抜け、中庭に出る。
まだだれもいない校舎の影になる朝日も当たらない
湿った芝生。
上靴のままそれを踏みしめながら歩いていくと真ん中に小さな
石碑がある。
まわりを見回してだれもいないことを確認する。
跪く。
頭を垂れる
41 :
名無しさん:2006/09/29(金) 18:55:44 ID:lePX3Eft
sage肺魚
42 :
名無しさん:2006/10/01(日) 05:35:01 ID:mWjL274k
朝の7時。まだこの季節だと肌寒い。
ついた膝から芝生の湿り気が伝わる。
石碑をまるで覆うかのように茂った梢から
落ちる朝露が合わせた手に落ち、僕は少し
息を吸う。
その時
ハッと視線を感じた。
振り向くとそこに詩惟が立っていた。
「無用心だね」
彼女はぼそりと言った。
血の気が引いた。
彼女は真剣な顔をしてとなりまでやってきた。
常緑樹に囲まれた畳一枚分くらいのスペースで
背筋に冷たいものが走る僕と真剣な表情の彼女。
「ありがとうね。昨日あの人たちが謝りに来たよ。
いじめててごめん、って。そんな気にしてないんだけどね」
「そう」
「お礼を言いたくって。待ってたんだよ。あなたのこと。」
彼女の声は明るい。
でも彼女の目はあまりにも鋭く僕を見ている。
「だからせめてものお返しに」
詩惟はそこにひざまづくと、先ほど僕がやりかけていた日課を
全く完璧に行った。
細かい旋律の違いはあれど、ここで僕は彼女の正体を知ることになる。
彼女は僕と同じ「隠れ」だ。
2・橋口ゆたか
「隠れ」というのはこの地方の隠れキリシタンが自分たちの事を
称するときに使う言葉なんですよ。
「隠れキリシタン」と全部いうことは稀だと思います。
そういうときは「むかしクリスチャン」という表現を使いますね。
ええ。
そうです。
つまりこの国の。そう日本の、ですね、正当なキリスト教はつまり自分達が
奉じているこの信仰ですとね。
実際そうなのかもしれません。
●藤●作先生の「●黙」などで有名になりましたからね。
ただ、そうですね。隠れキリシタンの信仰といってもやっぱり
「隠れ」て続いてきましたから。
たとえばこの××町と上のほうの××島ですね。そこでは勿論
違います。
信仰の仕方が。
よく「オラショ」と総じられる祈りの言葉。
あれも似てるようですが違います。
といいますか、特にこちたの××町ではより隠蔽率が高いような気がします。
ええ。勿論今でも隠れています。
普段は仏教徒ですよ。彼らは。
そうです。お寺にも行くんですよ。
その証拠にけっこう立派なお寺がこの町のあちこちにあります。
神社もあります。
枯●神社。
あ、ご存知ですか。
そうです。日本で3つだけと言われる、キリスト教の神を奉った神社です。
本当ならけっこうな観光財産ですよね。
実際前町長がそれをやろうとしたことがあります。
改装して。
亡くなられましたが。その案を出した一週間後に。
海に浮かんでたらしいですよ。
漁港に。
おまけに数日間そのままほうりっぱなし。
昔の町長の娘婿さんだったらしいですよ。
東京かどっかの大学を出られて。ええ。
なんかN県全体の活性化を狙った観光事業の一部だった
らしいですが、おかげでいまでもその神社はそのままです。
一応小さい案内板は立ってますけど。
道も整備されてませんし。
横にはなぜかお寺のお墓があります。
ええ。
ええ、まあそう考えるほうが、妥当ですよね。
私はなにも言いませんが。
余所者が余計な真似を!
っていうところはあるんでしょうね。
ああ、コレが写真です。
こないだ行って撮ってきました。
ちょっと光量が足りないのはすいません。
昼でも暗いんですよ。ここ。
ええ。これです。神社には見えませんよね。
でも神社なんですよ。
何の変哲もない山小屋みたいですが。
むかしは弾圧下のパードレ、ああ、神父様のことですね。
彼らが潜んでいたとの話もあります。
いえ、木造でおまけに山の中ですから江戸時代からそのままの
建物ってことは。
意外と新しいみたいです。
そう。
定期的に手を入れてるようです。誰かはわかりませんが。
隠れつづけなくてはいけない。
隠れるからこその信仰なんです。
隠れなくては意味がない。
彼らはそのように言います。
祈りの言葉、オラショですね。
最近は研究が進んできて、それをあつめたDVDなんかも
でましたけど。
でもそれはほとんどが××島発なんですよ。
小説にもなったこの町からはほとんど出てません。
おかしいですよね。
だって、いくら陸の孤島と呼ばれているにしろ
20年前に橋が架かったばかりのあの島よりも
この町のほうが、国道だって通っているんだし、アクセス
しやすいはずなんですよ。
街からの距離だってダンゼン近い。
でも、この町は未だに隠れているんです。
いや、また新たに隠れ始めたのかもしれません。
インターネットやマスメディアなどによって面白おかしく
書き立てられた信仰を守り通すために。
幕府よりもさらに強力ななにかから。
55 :
名無しさん:2006/10/08(日) 21:20:07 ID:XFPCv87D
56 :
名無しさん:2006/10/09(月) 21:03:02 ID:pPL6RYBe
でも多分、それ以上のなにかがあるのかもしれませんね。
彼らは多分隠れ蓑だと思います。
隠れだけに。
あ、ギャグじゃなくって。
ええ。
この町自体に隠された、もっともっと大きなものが
あるんでしょうね。
そしてその鍵が多分彼らなんでしょう。
なにかをたくらんでいるのか。
それともなにかを隠しているのか
それを調べるのが私達郷土歴史研究会なんですよ。
そういえば私達も危ないのかもしれませんね。
核心に近いとはいえたかが中学生な立場では限界が
あります。
だからこうしてお願いをしているんです。
よろしくお願いします。
なにせわたしは当事者ですからね。
いや、私は隠れじゃありませんよ。
でも多分当事者なんです。
それを知りたい。私の町を。そしてわたしのことを。
「守部ぇ」
彼は振り返る。
この町で彼のことをきちんと名字か名前で呼ぶものは少ない。
彼は生まれたときから墓守なのだ。
守部=山野・陵墓・関所などの番人。
辞書にはそう載っている。
そう。中学生にして彼はその荷を負っている。
「最近、なんだ、坂月と仲いいじゃんか。」
「そう?」
彼は無関心を装った
「昨日も見たぞ。一緒に帰ってるの。なに。もうそういう関係なの」
中学生の関心事第一位といえばやはり色恋沙汰であろうか。
彼に話しかけてきた級友はこの狭い世界の中でそういったトピックに
出会えたことを心底喜んでいるようだった。
冷やかしているだけではない。本当にうらやましがっている。
「でもいいーのかなあ。バアサマに怒られるぞ」
「昨日早速」
「そうだろう。で、なんて言われた?」
「この色ボケ」
「ははは!色惚けかあ。そうだな。色ボケじゃあ守部はキツイよなあ」
彼は読んでいたキタモリオの文庫本を閉じると級友に向き直った。
「やっぱりヤバイかな?」
真剣な顔をそれなりに、中学生なりに作ってみた。
「そうだなあ。」
級友はとなりの席に座って足を組んで言った。「俺の考えでいいかな?」
「勿論だ。」
だれも正確な答えなど期待していない。
「坂月は、余所者だろ。やっぱりそよモノは良くはないよね」
先ほどまで色恋を茶化していた男とは思えないほど大人びた顔だ。
「上級生がちょっかい出していたのも、なにか理由があったんだろ」
「理由か。」
「うん。理由だ。」
そして顔を覗き込んでいった。「お前もなにか知ってんだろ」
3秒ほどの沈黙。
「ああ。知ってる。でも、それはむしろ」
「むしろナンだ」
「いや・・・。そうだな」
「冷静に考えてみろよ。彼女はなぜこの町にやってきたんだ?この町に
彼女が来る理由だ」
「それは、分かる気がする」
「なんだ。他でもない、守部たるお前の意見だ。聞いてやる。そして
最近おまえが坂月と仲が良い理由もそれなんだろ?」
「そうだ」
「だからって彼女の家にのこのこついていったのか」
息を呑んだ。
彼は、このクラスメートは知っているのだ。
いや、彼はこの町の代表なのだ。
この狭い町はすべてがすべてを知り、そして監視している。
「彼女の家にはなにがあったんだ。差し支えなければ教えてくれ。」
「橋口さぁん!」
いつもはこんな情けない声を出す黒崎女史ではないのだが今日はなぜか
弱音を吐いてしまう。
当の橋口はというと10メートルも先の道に立ち止まったままキョロキョロと
あたりを伺っている。
「不審者丸出しじゃないですか」
黒崎は残り少ない力を振り絞って彼女の隣へ歩く。
今日はなにせ丸一日彼女に付き合わされて町中を歩いたのだ。
朝5時に起きて学校へ。
そして日曜日だというのに制服を着たまま町中を抜け、港へ出る。
そこからまだこの町が炭鉱で隆盛だったころから活躍していた
薄緑色のフェリーの朝一便に飛び乗り炭鉱がある島へ。
島でさんざんハイキングをしたあげく午後7時の便で町に帰ってきてさらに
もう一件いくところがあるという橋口の言葉に従って町一番の
中心街、といっても10件ほどの店と3本の街灯が立つ商店「街」と
いうのもおこがましいような通りなのだが、そこを彷徨っているのである。
「あとどこへ行くんですか、ホント」
橋口は流石に疲れの見えた顔で振り向いた。
「裏づけが必要なのよ」
そして見つけた。
裏道にある公民館から出てくる一人の影。
「あれは」
橋口は走った。
黒崎もついていった。
その影は二人を見て一瞬ギョっとした表情になったがすぐに
慇懃なお辞儀をして言った。
「これはこれは。橋口のお嬢様」
「どうも。ご無沙汰しております。あの、ちょっとお話が。」
「わかりました」
「橋口さん、その方は」
黒崎が橋口の背中に言った。「守部んところの」
「そうです。」その老婆というにはあまりにも矍鑠とした女性は背を伸ばすかの
様な仕草で答えた。「徳川のババァですよ」