1 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :
第一話「インセクトマラー」
股間がもぞもぞと蠢いている。
また真由美が悪戯をしているんだろうか。
目を開けるとカーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。
壁掛け時計を眺めると、午前九時を少し過ぎたところだ。
休日の起床時間としては遅くもなく早くもない時間だ。
それにしても、朝っぱらから求めてくるとは、奥手な真由美にしては珍しい。
昨日は腰が抜けるほどヤリまくったというのに……。
とはいえ、このまま真由美に主導権を渡すのは面白くない。
おれはおもむろに起き上がり、毛布を剥ぎ取った。
2 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/23 12:29 ID:Uo4klMQO
誰も居なかった。部屋のベッドにはおれしかいない。
真由美は──帰ったみたいだ。
なんか拍子抜けした。部屋全体を見渡すと、テーブルの上に置いてある携帯のLEDが点滅している。
どうやらメールを受信しているようだ。
おれはテーブルから携帯を掴み取り、メールを読んだ。
メールの送り主は真由美だった。まあ予想の範疇だ。
メールの内容は大したことじゃない。
急用ができたから帰るという味も素っ気もない伝言だった。
受信したのは午前七時頃。
つまり二時間前に真由美は帰ったらしい。
まあいい。そこまでは問題ない。
ではおれの股間でもぞもぞ蠢いていたものは一体なんなんだ。
そこで初めて、おれは自分の股間を覗き込んだ。
真由美との情事の後、裸のままで寝ていたおれの股間には、
あろうことか芋虫がぶら下がっていた。
3 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/23 12:31 ID:Uo4klMQO
心臓が止まるくらい驚いた。
芋虫だと?
股間に芋虫が生えている。
とりあえずこんな症状聞いたことがない。
虫の死体にキノコが生えてるアレ、冬虫花草というのを思い出したが、立場が逆転している。
キノコであるはずのちんぽが虫になっているのだ。
カフカの小説──主人公が芋虫になってしまうアレ──に比べたら
まだマシのような気がしたが、それでも自分の分身、
息子と可愛がっていたちんぽが芋虫になっていたショックは大きい。
4 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/23 12:32 ID:Uo4klMQO
断っておくが、別に包茎ちんぽを揶揄って芋虫と呼んでいるわけではない。
レトリックやメタファーでもない。
正真正銘、生きた芋虫になっていたのだ。
白くて、体躯の節々に黒い斑点のある、
ぐにゃぐにゃしたグロテスクな芋虫に……。
おれの、へそまで反り返ったずる剥けちんぽが、
真由美や幾多の女性を満足させてきたこの優良ペニスが、
見るも無残な姿に変わり果てている。
そうしてその芋虫は、暢気にシーツをもしゃもしゃと食べ続けている。
なんてこった。
5 :
カオスさん ◆uFWTojCs5o :04/03/23 14:22 ID:DRxh81+B
あっ、君・・
皆君の出現に驚いてるんだよ
ビックリして出てこれないの。
ぃや・・君とかスゴそうだし・・
怖いから皆閉じ篭ってたの。
何がって・・君とか自分では気付かないかもしれないけど・・
オーラでてるの。
凄い人の・・
6 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:19 ID:aWXzn7I7
もしや……。
おれの脳裏に嫌な展開がシミュレートされた。
ひょっとしたら真由美のやつ、この芋虫を見たのではないだろうか?
そうして気味悪がって帰ってしまった。
そんな推測が浮かび上がった。
いままで真由美を家に泊めたことは何度かあるが、
彼女が朝食も作らずに帰るなんて事はありえなかったからだ。
7 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:20 ID:aWXzn7I7
それともよっぽどの急用だったのだろうか。
おれは真偽を確かめるべく携帯のメモリーから真由美の番号を選び、
念のため非通知で電話した。
真由美の唯一の欠点。
それは口が軽いことだ。なんでも喋ってしまう。
秘密、守秘義務という言葉を知らないのではないかというくらい、
自分のことも他人から聞いた話でも、何でも話してしまうのだ。
8 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:21 ID:aWXzn7I7
裏表がなく正直な性格は美徳と言えるが、今はまずい。
こんな股間に芋虫が生えたなんて嘘みたいなホントの話を
真由美経由でみんなに知られたくはない。
9 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:21 ID:aWXzn7I7
数十回のコールでようやく真由美が携帯に出た。
「もしもし絹野です。あの、どなたですか?」
「おれだ。雄介だ。真由美。ちょっと話がある」
「あ、ゆうちゃん……」
プツッ、ツーツー。
10 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:23 ID:aWXzn7I7
いきなり切れた。
真由美のやつ、おれだと判るや否や、思いっきり電話を切りやがった。
やつはクロだ。
絶対におれの股間の秘密を知っている。
阻止しなければ。
どんなにうそ臭い話でも、真由美が喋ると真実味を帯びる。
なにせあいつは嘘をつけない性格だからだ。
11 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:24 ID:aWXzn7I7
おれの電話を切ったのも、股間の芋虫を見たか問い正した場合、
見てないと嘘がつけないから切ったに違いない。
それからもうひとつ。
彼女は電話やメールでこの手の話をしない。
直接会って話すタイプだ。
その辺の線引きはおれもよくわからなかったが、
彼女なりの自分ルールなのだろう。
12 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/24 23:25 ID:aWXzn7I7
だがいまは、それが救いとなった。
いまは休日の午前九時。
誰かに話したくてウズウズしているのかもしれないが、
どんなに早く友達と待ち合わせても十時頃だろう。
おれはもぞもぞと蠢く股間の芋虫が潰れてしまわないように
慎重に着替えて、携帯と財布だけ持って家を出た。
つづく
13 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/25 22:25 ID:IAOUjxAx
なりふり構っていられないので、
タクシーを拾って真由美のアパートへと向かう。
電車で二駅の距離だが、駅まで行く時間と電車を
待つ時間がもどかしかった。
アパートの前に到着し、釣銭も惜しまず二千円を運転手に渡すと、
おれは財布の中から部屋の合鍵を取り出して、
真由美の部屋へと向かった。
14 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/25 22:25 ID:IAOUjxAx
鍵を開けドアノブをひねる。
一瞬ドアチェーンでもしてあるのかと思うくらい、扉は重たかった。
ブチブチという奇妙な音を立てながら、なんとかドアが開いた。
部屋の中は真っ暗だった。手探りで電気のスイッチを付けると、
細い、蜘蛛の巣のような糸が、部屋中を覆っているのが分かった。
ドアが重たかったのは、この糸が幾重にも絡み付いていたからだ。
15 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/25 22:26 ID:IAOUjxAx
なんにせよ異様な空間としか形容できない。
その異様な雰囲気に圧倒されたおれは、帰ろうかなと弱腰になった。
そんな中、股間の芋虫がキーキー鳴いている。
ややあって股間を見ると、
芋虫がパンツとジーンズを食い破っているではないか。
折角隠してきた股間から、ぼろんと芋虫が露出している。
これでは恥ずかしくて帰れない。
16 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/25 22:26 ID:IAOUjxAx
確か真由美の部屋におれの着替え一式があったはずだ。
この部屋からでも出社できるようにと前に持ってきたスーツがある。
それに着替えさせてもらおう。
それに、この異様な部屋の説明もしてもらわないといけない。
1Kのワンルームマンションなので、玄関に先にキッチンがあり、
その奥に八畳程度の部屋がある。
おれは意を決してキッチンを通り抜けて、
真由美が待つ部屋へと入るべくドアノブに手をかけた。
つづく
17 :
@彗星 ◆oK8sexRIKA :04/03/25 22:57 ID:314bmsGz
続きが気になる・・・
18 :
あゆみ@京都:04/03/25 22:57 ID:wQUkGaSL
すごい気になる。
19 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/27 10:10 ID:PZZyXmww
部屋の扉は玄関以上に硬く、とても開けそうになかった。
柱に足をかけて思い切り引っ張ったが、びくともしない。
ついにはおれの力にドアノブが耐え切れず、バキッと折れてしまった。
頭にきたおれは、防犯用に置いてあった金属バットを
玄関の戸棚から取り出して、ドアをぶち破った。
20 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/27 10:10 ID:PZZyXmww
部屋の中は糸だらけだった。
そうして部屋の中央にはまるで人一人が入れるくらい大きな繭が鎮座していた。
よくはわからなかったが、恐らくこの繭の中に真由美がいるのだろう。
一体全体どういうことだ。
とりあえず真由美をこの中から救出しなければならない。
おれは台所から包丁を持ってきて、繭を切り裂こうとした。
21 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/27 10:11 ID:PZZyXmww
その瞬間。
繭の危険を察知したのか、股間の芋虫がもの凄い勢いで糸を吐いて、
包丁を持ったおれの手を絡めとる。
糸は際限なく溢れ出て、ついにはおれの右手は包丁ごと繭みたいになった。
22 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/27 10:12 ID:PZZyXmww
「なにしやがるこの芋虫!」
おれは悪態を吐きながら芋虫に向かって鉄拳を振り下ろした。
が、なんということだろう。
ぶちゅっという音で潰れるかと思った芋虫であったが、
糸を吐き終えた芋虫のその姿は変形し、さなぎのようにカチカチに固まっていた。
そう、まるで勃起したペニスのように雄雄しく。
つづく
23 :
ポテ山さん:04/03/27 10:15 ID:WkZa8Ddb
>その瞬間。
>が、なんということだろう。
とかが素人っぽい感じ。
24 :
名無しさん:04/03/27 10:22 ID:kAKvyBTq
25 :
从*゚ー゚从またやん:04/03/27 10:36 ID:S+Nhl2Sd
さゆり?
26 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/03/27 11:10 ID:PZZyXmww
27 :
名無しさん:04/03/27 11:17 ID:kAKvyBTq
ラウンジの代わりかよっっ
とか言いつつ多分連載最初から読んでたりする
ラウンコしね
29 :
美光 ◆LLLLLLLLL. :04/03/27 11:23 ID:3KhXPKUn
美光
30 :
名無しさん:04/03/27 12:25 ID:ATjtYNB1
こういう人はロビーに居着いてほしい
31 :
名無しさん:04/03/27 12:34 ID:z5c8aY5y
そもそも包茎なのにヤリチン話ってどうよ?みたいなね
いや、HNだってのはわかるんですけど
ちょっと保守しますね。
4月10日まで休筆するっス。
34 :
名無しさん:04/04/09 21:00 ID:YVDED7Sg
age
35 :
名無しさん:04/04/09 21:04 ID:Df8aGNvA
おもしろい
36 :
岡本:04/04/10 01:07 ID:NHbe8IvD
おもしろい!!!!!!!!!!!!!!すごい
続きが気になる◎ぜひ書いて〜
37 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :04/04/11 01:31 ID:scYN0meu
もうとっくにDAT落ちしてると思ったら……。
とりあえず新人賞応募が一段落ついたんで、書くYO!
38 :
名無しさん:04/04/21 00:06 ID:HhEGYLNl
ホッシュ。
書いてくれるんじゃないの。。??
39 :
包茎マックス ◆HOUKEIpHKg :
ごめん忘れてた。うん、頑張って書くよ。