喜ぶタンス

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1ムネオ:02/03/21 23:00 ID:???
ほんとうに欲しいのは本棚だった。何をするにも本をどけてからでないと
出来なかった。だから本棚を買いに行ったのだけれど、タンスが泣いていた
ので、欲しくもないのにタンスを買ってしまった。本棚の余裕の笑みが
気に食わなかったせいもある。それがこんなことになってしまった。
「これさ、上に物置いても大丈夫かな」
「表面がでこぼこでございますし、よく動くので、やめておいた方がよろ
しいかと」
「これ、湿気とか大丈夫かな」
「ごくたまにですが暴れたり泳いだりすることがあります。が、気になさ
らなくても結構です」
ピアノの話。ピアノはおかんが結婚する時に実家から持ってきた。おかんは
少しは弾けるけどあまり弾かなかった。俺が弾くと嬉しそうな顔をした。
俺は中学までピアノを習ってみたが、真剣でもなく、他にやることも多かった
のであまり上達しなかった。タンスの喜びように嬉しくなった俺は久し振り
にピアノを弾いてみた。タンスの代わりに部屋から出ていくピアノを少し
でも構ってやろうとしたのだ。
俺がピアノの鍵盤を叩くごとに、タンスの顔から喜びがどんどん消えていった。

3弁当:02/03/21 23:02 ID:lg2R2y57
大川栄策
4じょか(^ヮ^-) ◆a.i.Vfac :02/03/21 23:02 ID:twXVrER8
切ない話だな
5ムネオ:02/03/21 23:02 ID:ML0+ES5y
このシリーズ好きらぁ。。
6ムネオ