てんかん患者の心拍データを日常的に測定し、発作を事前に検知する機器を京都大などのグループが開発し、
臨床研究を始めたことが29日、大学関係者への取材でわかった。
これまで脳波などから発作の兆候を読み取る研究はあったが、患者がこうした機器を装着して行う臨床研究は、
世界でも例がないという。発作による自動車事故などが社会問題化するなか、患者の生活の質を大きく改善できる可能性があると期待される。
機器を開発したのは、京都大と東京医科歯科大、熊本大の共同研究グループ。東京医科歯科大の宮島美穂医師らが
てんかん患者のデータを収集し、京都大大学院情報学研究科の藤原幸一助教らが心拍の変動から発作の兆候を読み取るプログラムを構築した。
心拍センサーなどは熊本大大学院自然科学研究科の山川俊貴助教らが製作を担当した。
研究グループによると、てんかん発作が起きる際、自律神経の異常が心拍にも影響することが分かっており、心拍の異変を検知できれば、
理論上は発作の数分から30秒ほど前に兆候をとらえることが可能という。
臨床研究では、患者の体に3つのセンサーを装着して心拍データを計測。
これを無線通信で分析プログラムを組み込んだ市販のタブレット端末に転送し、発作の兆候である心拍の変動を検知してアラームなどで警告する。
装着したまま日常生活を送ることが可能で、機能すれば警告から発作までの間に、患者本人や周囲の人が危険回避などの
対応を取ることが可能になる。タブレット端末を除くコストは1セット数千円程度という。
グループは、東京医科歯科大など2つの医療機関で倫理委員会から承認を得ており、臨床研究への協力を了承したてんかん患者に機器を装着し、
検知の精度などを検証する。
実用化までには、精度の向上といった技術的な課題のほか、薬事法による医療機器としての承認が必要となるなどの課題もある。
藤原助教は「実用化には社会的な議論が不可欠だが、臨床研究では、技術的にはここまで可能になっているということを示したい」と話している。
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