◆小説「長い道」再版 売れ行き好調…入善が舞台
映画「少年時代」の原作で入善町ゆかりの芥川賞作家・柏原兵三(1933〜72年)の
長編小説「長い道」の売れ行きが好調だ。富山市の桂書房が2月、単行本としては
30年ぶりに2000部を再版したところ、既に約半数が出荷済み。書店からの
返本もないという。
同社は「郷土の本として大切に思っていただいている証しではないか」と話している。
「長い道」は、柏原が第二次世界大戦中、父の郷里入善町に疎開した体験を基に書いた。
東京育ちの優等生の主人公が同級生からいじめを受け、首謀者の級長と複雑な
友情を育む物語だ。
朝日町に疎開した経験のある藤子不二雄(A)さん(氷見市出身)が「少年時代」の
名前で漫画化し、90年に篠田正浩監督が映画化した。
69年に講談社、83年に桂書房が単行本を発行し、89年に当時の中央公論社が
文庫化したが、96年に絶版となった。桂書房には、再版を求める声が多く寄せられて
いたため、昨年12月〜今年2月に「高志の国文学館」で行われた「少年時代」の
企画展に合わせて再版した。
店頭販売は東京の一部大型店などを除くと県内、金沢市に限られるが、愛知や東京、
埼玉など全国から注文が相次ぎ、一人で3冊購入した人もいたという。
富山市の紀伊国屋書店富山店では、「郷土の本」のコーナーに陳列している。
これまでに入荷した20冊のうち12冊が売れた。
店長は「売れ行きは上々。特に初速が良かった印象で、(再版を)待ちわびていた
人がいたのでは」と話す。
近年は店頭で売れ残るとすぐに出版社に返本されることが多いが、桂書房は
「これまでに返本は全くない。書店側もこの本を売り込みたいと考えてくれているようだ。
郷土の名作として全国の人々にも広げていきたい」と手応えを話す。
読売新聞 2013年06月19日
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news/20130618-OYT8T01655.htm 棚に並べられた「長い道」(18日、紀伊国屋書店富山店で)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20130618-967439-1-L.jpg スレ立て依頼