◆軍・政権の内部対立が背景=武装集団、日本人を敵視か−アルジェリア人権活動家
【ジュネーブ時事】スイス・ジュネーブに拠点を置く人権団体
「アルカラマ(尊厳)」事務局長で、アルジェリア出身の
ムラード・ディナ氏(51)は、日本人10人が犠牲になった
アルジェリア南東部イナメナスの人質事件について、
政権や軍の内部対立が背景にあり、一部の勢力が特定グループの
失脚を図るため事件の発生を許した疑いがあるとの見方を明らかにした。
16日までに時事通信のインタビューに応じ、語った。
ディナ氏は、犯行グループと国際テロ組織アルカイダとのつながりは薄く、
隣国マリへのフランスの軍事介入停止だけが動機ではないと指摘。
事件には、軍が実権を握った1992年以降の政治権力闘争など
「根深い背景がある」と語った。
さらに過去の内乱でも反体制派に攻撃されなかったガス施設へのテロが
起きたことは、「(施設を守る)軍の上層部に問題が生じていることを示す」と強調。
「事件に一部の軍、治安部隊の関与が疑われている」とし、政権や軍部の
特定グループ失脚を狙い、一部治安部隊などが武装勢力を支援、あるいは
攻撃を意図的に許した可能性があると分析した。
日本人犠牲者が多かった点については、外国人を狙えば問題が大きくなり、
政権や軍の対立グループを揺さぶることができる上、日本人は
「(対立グループの)支援者」として敵視された可能性があると指摘。
「外国人を標的としたテロ事件は再発する恐れがある」と懸念を示した。
また、軍上層部は旧ソ連軍でテロ対策訓練などを受けたとし、多数の人質が
犠牲になった今回の救出作戦と、ロシア特殊部隊によるモスクワ、北オセチア
共和国での人質事件での制圧作戦との類似性を説明。
アルジェリア軍が人質の人命を優先することは「あり得ない」と断言した。
(2013/02/16-15:00)
時事通信 2013.2.16
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_date2&k=2013021600192