◆年金使って被災地支援
【浜田知宏】さくら市の60歳以上が集まる学習会「菜の花学級」が15日、
東日本大震災の被災地を巡る日帰りバスツアーに旅立った。
折しもこの日は年金支給日。
「被災地を経済的に支援しよう」と、財布のひもを緩めて食事やお土産を購入する
高齢者に一日同行した。
ツアーは日帰り。午前7時半、会員の約7割にあたる112人が大型バス3台で
さくら市を出発し、正午前に宮城県名取市の閖上(ゆり・あげ)地区に到着した。
津波で生徒14人が亡くなった閖上中学校を訪れ、記念碑や花束に手を合わせた。
喜連川から参加した女性(87)は「切ないね。まだ若いのにね」と涙を浮かべた。
中学校近くに設置された資料館「閖上の記憶」スタッフで、震災の体験を語った
針生淳子さん(41)は「自分のことのように話を聞いてくれた。1年半が経っても、
まだ復興されない現状を知ってもらえたと思う」。
正午過ぎ、バスは名取市の仮設住宅に併設された「閖上さいかい市場」へ。
氏家公民館の橘川恵介館長が「今回のツアーの趣旨でもある経済支援です。
いっぱい買って、貢献しましょう」とマイクで声を上げると、車内から一斉に
歓声があがった。約20分の滞在時間で、参加者は主に食品店に詰めかけ、
競うように商品に手を伸ばした。
氏家の男性(70)は、ささかまぼこや牛タンなどの食品を中心に1万円分を購入。
「一人ひとりは小さな金額でも、ツアーで来ると意味がある」。氏家の女性さん(66)は
市場でかまぼこや昆布、帰路で立ち寄った仙台市中心部でカバンなど計約6千円を
使った。「年金の使い道としてはいいと思う」と話した。
ツアーのきっかけは昨年10月、さくら市の氏家公民館が開いた防災講座だった。
約300年前に鉄砲水で町の大半が流されるなどした市の歴史と、昨年3月の
東日本大震災による津波の被害について学んだ会員から「何かできることをしたい」
との声が上がり、実施が決まった。橘川館長は「被災地を支援しながら、自分たちの
街の水害にも興味を持ってもらえたらうれしい」と話した。
朝日新聞 2012年10月16日
http://mytown.asahi.com/tochigi/news.php?k_id=09000001210160001 スレ立て依頼