カリフォルニア州南部地域の140万戸に電力を供給してきたサンオノフレ原子力発電所。
三菱重工製の蒸気発生器に異常が発生し、放射能漏れが起きたことで、
1月末から夏も含め8カ月以上にわたって停止が続いている。
今月9日には再稼働をめぐって公聴会が開かれ、地元住民ら1000人以上が参加した。
地元テレビは公聴会開始前から主要ニュースとして取り上げ、
10日付の有力紙ロサンゼルス・タイムズは大きな写真とともに5段抜きの記事で報じた。
「地震が多い地域」「海岸沿いにある原発」で福島原発事故と共通するだけに、地元の関心は高い。
これを日本の新聞はどう報じたか。記事検索システム「日経テレコン」で調べたところ、
朝日新聞が11日付朝刊7面の1段見出しの記事で伝えただけである。新聞紙面を点検する限り、
公聴会の現場を取材した日本人記者は朝日のロサンゼルス特派員1人だけだった。
テキサス・レンジャーズのダルビッシュ投手が今年2月23日に初めてキャンプ地入りしたときはどうか。
同月25日付で全国紙・地方紙合わせて合計15紙が「ダルビッシュ始動」などと伝えている。
それもそのはず、AP通信によると総勢数十人の日本人記者団が現場取材していたのだ。
同じアメリカ発日本関連ニュースというのに、ダルビッシュの大リーグデビューは記者数十人で
取材する価値があるのに対して、サンオノフレ原発の事故は記者1人分の価値しかないのか。
そもそも稼働停止以降、日本の主要紙はサンオノフレ原発事故についてほとんど何も報じていない。
6月21日に三菱重工が「日本の原発では同じ型式の蒸気発生器は使っていない。
類似の事象が発生する可能性はない」とのプレスリリースを流すと、それをオウム返しに短く伝えるだけだった。
福島原発報道でもみられた「発表報道」の縮図がここにある。
>>2へ続く