◆南海トラフ 古い堤防の60%点検不十分
10月17日 17時54分南海トラフ巨大地震と津波で大きな被害が想定される地域
などで、古い時代に設置された海岸の堤防のうち、およそ60%は耐震性が
十分かどうか点検が行われていないことが分かりました。
また、水門などの3分の1が、津波が到着するまでに閉める作業が間に
合わないことも分かり、会計検査院は、対策を急ぐよう求めています。
会計検査院は、南海トラフ付近で起きる巨大地震と津波で大きな被害が想定
される地域を中心とする、15の都道府県の海岸に設置された堤防について、
平成16年に見直した最新の耐震基準を満たしているか、ことし3月末の時点で
調査しました。
その結果、それより以前の耐震基準で整備された堤防全体の59%に当たる
2000キロの部分で点検が行われず、どの程度の耐震性があるか把握されて
いませんでした。
>>2以降へ
NHK 2012年10月17日
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121017/k10015814231000.html >>1の続き
国は基準を見直した際、既存の堤防が新たな基準を満たしているか、改めて
点検するよう都道府県に通知を出していませんでした。
自治体も、地域を選択しながら点検をしているものの、経費の問題もあり、
十分進んでいない実態が明らかになりました。
また、都道府県は、点検を行ったうえで順次補強工事を進めていますが、耐震性の
不足が判明している堤防のおよそ62%に当たる84キロ余りで、耐震補強工事が
終わっていませんでした。
会計検査院は、できるだけ早く点検を行って、耐震性がどの程度確保されているか
把握するとともに、補強工事を急ぐよう求めています。
指摘について、国は「点検が進められていると考えていたが、こうした結果が出たので、
都道府県に対し早急に点検を行い、必要性の高い堤防から耐震補強を行うように
求めていきたい」と話しています。
一方、河口や海岸への通り道など、堤防の隙間から津波が侵入するのを防ぐために
設置されている水門や陸こうと呼ばれる施設を会計検査院が調べたところ、3分の1に
当たるおよそ3500か所は、津波が到達するまでに閉める作業が間に合わない
おそれがあることも分かりました。
会計検査院は、各都道府県に対し、あらかじめ陸こうを閉めたり、遠隔操作で
水門を閉めたりするなど、確実に閉鎖できる体制を整備するよう求めました。