業務ミスで日勤教育、JR西に620万賠償命令
JR西日本が業務でミスをした運転士らに課した懲罰的な「日勤教育」で精神的苦痛を
受けたとして、ジェーアール西日本労働組合(JR西労)所属の運転士ら計258人が、
同社に対し総額2億5800万円(1人あたり100万円)の損害賠償を求めた訴訟の判決が
27日、大阪地裁であった。
中村哲(さとし)裁判長は、うち61人の日勤教育について、「社員教育に関する裁量の
逸脱・乱用」と指摘し、計620万円(同5万〜30万円)の賠償を命じた。
日勤教育は、ミスした運転士らを通常勤務から外し、再発防止を教育する取り組みで、
2005年4月に起きたJR福知山線脱線事故の運転士(死亡)も受けていた。
原告らは事故の1年後に提訴した。
中村裁判長は、JR西に社員教育の広範な裁量を認める一方、「労働者の自由、名誉
など人格的利益を尊重すべき義務も負う」とし、教育内容などがこうしたバランスを損なう
ものだったかどうかを個別に検討。草むしりやペンキ塗りをさせられた、面談時に上司が
「給料泥棒」と罵倒した――など61人のケースについて違法と認定した。
JR西は社員教育の広い裁量を主張し、争っていた。
日勤教育については、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時)が福知山線脱線
事故の調査報告書で、懲罰的な日勤教育など厳しい運転士管理が事故の背景にあった、
と言及している。
JR西日本広報部の話「判決をいただいたばかりで、現段階ではコメントできない」
(2011年7月27日12時40分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110727-OYT1T00336.htm