東証2部に上場していた制御機器メーカー「春日電機」(旧本社・東京都三鷹市)旧経営陣による特別背任事件で、
産業用機器開発会社「アインテスラ」(中央区)への融資の際、
契約書にア社側が担保設定すると明記されていたことが13日、関係者への取材で分かった。
実際の融資は無担保で行われており、
春日電機元社長でア社を実質経営していた篠原猛容疑者(53)=同容疑で逮捕=が
正当な融資を装い、契約書に虚偽条項を盛り込んだとみられる。
篠原容疑者は警視庁捜査2課の調べに対し
「財政難に陥ったアインテスラを助けようと貸し付けた」と供述しており、同課で不正融資に至った詳しい経緯を調べている。
篠原容疑者は春日電機株を買い進めて平成20年6月、社長に就任。
同7月までの間、太陽電池の共同開発などの名目でア社に計5億5000万円を融資し、
ア社の運営費や株取引の委託保証金(追い証)の支払いなどに充てていた。
このうち4億5000万円について、
春日電機の監査法人から「決算の承認ができない」との指摘を受け、8月にア社から1億7000万円の返済を受けた。
残る2億8000万円は、ア社から春日電機の株式125万株の担保提供を受けることで合意。
合意事項は篠原容疑者が主導する形で「金銭消費貸借契約書」として文書化されたが、
以降も担保提供は行われず、期限を過ぎても融資金は返済されなかった。
篠原容疑者は、春日電機社内で「詐欺の被害にあい、提供すべき株式を失った」などと釈明していたという。
春日電機の特別背任事件で逮捕された篠原猛容疑者について、
証券取引等監視委員会が別会社の株でインサイダー取引をしていた疑いがあるとして、
証券取引法(現金融商品取引法)違反容疑で関係先を強制調査していたことが13日、分かった。
証取委は今後、刑事告発に向け捜査当局と合同で捜査を進める方針。
捜査関係者によると、篠原容疑者は平成18年、
ソフトウエア開発会社が損失を計上するとの内部情報を基に、
公表前に同社などの株を売り抜け損失を回避した疑いが持たれている。
この会社は篠原容疑者がかつて経営していた会社という。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/110114/crm1101140131004-n1.htm