全身透視検査、国内でも導入可能に 航空各社は慎重姿勢
2010年12月9日2時0分
航空機の搭乗者の全身を透視して不審物の有無を調べる「ボディースキャナー」
について、国土交通省は8日、プライバシーを保護することなどを条件に国内の
空港でも導入できるよう、今月中に指針を改定する方針を明らかにした。
当面は金属探知機の補助的な役割を見込むが、実際に検査をする航空会社側
からは、高額な機器の費用負担などを懸念する声も上がる。
国交省は7〜9月に成田空港で5機種のスキャナーで実証実験を実施したが、
利用者からは不快感を示す反応が少なかったことから国内でも導入は可能と
判断した。
指針ではスキャナーを「二次的な追加検査の手段」と位置づけ、採用するかどうか
は航空会社の判断に委ねた。導入した場合、金属探知機で引っかかった人や航空
会社が必要と判断した人にのみ使うこととし、搭乗者は係員の接触検査かスキャナー
の検査か選べるようにした。
国交省が「検知能力が最も高い」としたタイプの装置は体のラインを鮮明に映し
出すため、別室で搭乗者と同性の係員がモニターする▽別室への記録媒体の
持ち込みを禁ずる――などしてプライバシーを確保する。
一方、航空会社側は導入の是非を含めて慎重に検討する方針だ。1台2千万
〜3千万円のスキャナーや検査にかかる人件費は、国や空港会社と折半だが、
外国では検査を国が担うケースも多い。
航空会社60社でつくる成田国際空港航空会社運営協議会は「保安強化は重要な
課題」としつつも「国のさらなる支援が望ましい」と訴える。(永田工)
http://www.asahi.com/national/update/1208/TKY201012080531.html http://www.asahicom.jp/national/update/1209/images/TKY201012080552.jpg