出産前後の携帯電話が子どもの行動障害に影響か 米研究
2010.12.08 Wed posted at: 18:54 JST
胎児期から7歳ごろにかけて母親の携帯電話からの電磁波にさらされた子どもは、
そうでない子どもに比べて注意欠陥、多動などの行動障害を示す割合が高かった
との研究結果を、米カリフォルニア大ロサンゼルス校のチームが発表した。
研究は疫学と公共保健の専門誌JECHの最新号に掲載された。それによると
同大のリーカ・カイフェッツ氏らは2万8000人の子どもを対象に、母親が
自己申告した携帯電話の使用状況と行動障害との関係を調べた。
妊娠中に携帯電話を使っていた母親のうち10%以上が、1日に4回以上通話したと
申告。また50%近くの母親が、携帯電話のスイッチを常時オンにしていたと答えた。
チームによれば、母親が携帯電話をよく使っていたケースほど、子どもに行動障害が
現れやすいことが分かった。
同氏らは前回、デンマークの国家調査プロジェクトから得られた1万3000人の
子どもたちのデータを分析し、同様の傾向を確認した。ただ当時は母親たちの間で
携帯電話の普及が進んでいなかったため、さらに研究が必要と結論付けていた。
新たな研究では、行動障害の家族歴や母親の育児放棄といった要因も排除されている。
ただ、チームによると、携帯電話からの電磁波が子どもの行動障害に影響を及ぼす
仕組みは不明。母親が電磁波を受けることで体内のメラトニンと呼ばれるホルモンの
分泌が変化し、胎児の脳の発達に影響するという説もあるが、それも「憶測のひとつに
すぎない」とカイフェッツ氏は話す。非常に強い相関関係があるとはいえず、母親の
申告の正確さにも疑問が残る。結局、携帯電話が行動障害の原因になるかどうかを
この研究から判断することは不可能とみられる。
ただしカイフェッツ氏は、携帯電話が世界中に普及するなか、健康被害の可能性に
注意を払うのは重要なことだと強調。電磁波を避けるためにハンズフリー装置を使う
よう提案している。
http://www.cnn.co.jp/fringe/30001149.html