<年金機構>是正放置 会計検査院指摘の記録、半数統合せず
毎日新聞 9月29日(水)2時39分配信
会計検査院が昨年に当時の社会保険庁に指摘した年金記録統合の
手続きミスについて、事務を引き継いだ日本年金機構が一部を是正
せず放置していたことが、検査院の今年の調査で分かった。
官公庁などが不適切と検査院から指摘を受けながら是正処置をとらな
かったのは異例。今年新たな事務的な問題も見つかり、検査院は日本
年金機構と業務を委託する厚生労働省に業務体制の改善を求める方針だ。
検査院は昨秋、社保庁が06年以降に全国で実施した年金記録相談で、
地方事務所が社保庁の通知と異なる書類を使うなどしたため、年金記録
を統合できたのに統合されなかった人が1133人いたと指摘し、08年度
決算報告書の中で公表した。
関係者によると、検査院が今年4月から日本年金機構の本部や地方事務
所を調べたところ、昨年に不適切と指摘した件数の半数ほどしか年金記録
が統合されていないことが発覚。
機構も独自で調べたところ、8月時点で約90人の年金記録が統合されず、
検査院の指摘後に統合に必要な書類を対象者に改めて求めることもして
いなかった。
日本年金機構は、昨年末に廃止された社保庁の後継組織として今年1月
に発足。正規職員の約9割は社保庁から移行した。機構の記録問題対策部
の担当者は「検査院から指摘を受けた際、社保庁の当時の担当者が各事務
所にメールや電話で連絡するだけで文書では指示せず、うやむやになった
ようだ」と説明。「業務を引き継いだ私たちにも適正な処置をしなかった責任
がある。誠に遺憾」と話した。
また、検査院の今年の調査で、住民基本台帳の情報などを使って照合し、
対象者からも自分の年金記録との回答を得ながら統合していない記録が
2000件以上あることも新たに判明した。
機構の担当者は「昨年に不適切と指摘されながら直していなかった分と合わせ、
8月中に改善するよう各事務所に文書で指示を出した」と話している。【桐野耕一】
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