トルコ、国民投票で憲法改正承認 世俗派との対立先鋭化も EUは歓迎
2010.9.13 09:11
厳格な政教分離の世俗主義を国是とするトルコで12日、世俗主義の守護者を自任する
軍・司法機関の改革を柱とした憲法改正案の是非を問う国民投票が行われ、約58%の
賛成で承認された。改憲を提案していたイスラム系の与党・公正発展党(AKP)にとっては、
来年7月までに行われる総選挙に向けて追い風となるが、世俗主義派との対立がさらに
先鋭化する可能性もある。
AKP党首のエルドアン首相は同日夜、「改憲はトルコの民主主義の転換点になる」と
述べた上で、今後、野党勢力にさらなる改憲への協力を呼びかけていく意向を示した。
投票では、ボイコットを呼びかける一部野党と治安当局との間で小競り合いも起きたが、
全体的に大きな混乱はなかった。投票率は77〜78%に達するとみられる。
改憲案には、現状では世俗主義派が多数を占める憲法裁判所の判事の定員を拡大し
任命に政府関与を強める案などが含まれており、最大野党・共和人民党(CHP)など
世俗主義派は「司法への政府の介入が強まる」と非難していた。
一方、改憲案には女性や少数派の権利擁護に関する規定なども盛り込まれており、
AKPは、トルコの悲願である欧州連合(EU)加盟に向けた重要なステップと位置づけて
いた。
EUの欧州委員会は同日、「正しい方向への一歩だ」と、投票結果を歓迎。政権安定を
望む経済界からも評価する声が上がっている。
AKPは2002年にイスラム系政党では初の単独政権を発足させ、積極的に海外からの
投資を呼び込む一方、イスラム色の濃い政策を推進し世俗主義派と対立してきた。
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/100913/erp1009130912000-n1.htm