世界の名品を借りやすく 美術品の被害、国が補償へ
2010年8月17日3時7分
美術館や博物館が、展覧会のために海外などから借りた絵画や彫刻など
が破損や盗難にあった際、国が補償する制度を作る方針を文化庁が固めた。
作品の保険料の高騰による美術館の負担を軽くし、世界の名品を集めた
展覧会を開きやすくする。50億円以上の損害を補償の対象とする方向で、
早ければ今秋の臨時国会に新法案を提出し、来年4月の施行をめざす。
美術品を借りて展覧会を開く際、事故や地震による破損などに備え、主催者
は掛け捨ての保険をかける。現在の保険料率は、作品評価額の0.25%
程度とされる。
ところが近年、美術品の評価額が国際的に高騰。ゴッホ展の総評価額が約
4千億円にのぼった例もある。またテロや自然災害などで保険料率も上昇し、
2001年の「9・11テロ」後は約2倍になったという。国内でも一つの展覧会
の保険料負担は、数千万円から数億円にのぼるといわれる。その結果、作品
数を大幅に減らしたり、開催を断念したりする事例があるという。
補償制度は、50億円以上の損害を補償対象とし、損害の一部を国が肩代わり
する。国の負担は950億円を上限とする方向。主催者は、損害のすべてを
保険でまかなう必要がなくなり、保険料を抑えられる。合計評価額が500億円
程度の展覧会の場合、保険料負担を「半分程度」に減らせる見込みだ。
企画や美術品管理体制などの審査を経て、年間10件程度を対象に選ぶ。
(赤田康和)
http://www.asahi.com/culture/update/0816/TKY201008160388.html