宮崎・口蹄疫 排せつ物 畜舎に放置 ウイルス残存の可能性
口蹄疫(こうていえき)の発生が集中した宮崎県川南(かわみなみ)町などワクチン接種
地域(3市5町)で、家畜のふん尿などの排せつ物が処理されず、畜舎に残されたままに
なっている農場が相当数に上っていることが分かった。殺処分した家畜の埋却が
優先されたためとみられる。政府現地対策本部長の篠原孝農林水産副大臣は26日、
「ふん尿などの中にウイルスが残っている可能性がある」と指摘。近く関係自治体に
早急な消毒処理を求める方針だ。
発生農場の約7割が集中する同町。今月20日に感染とその疑いのある家畜計14万5千頭の
処分をすべて終え、ワクチン接種した家畜(約1万3千頭)の処分も急ピッチで
進められている。
しかし、内野宮正英町長によると、ふん尿などの排せつ物は石灰をまいただけのような状態の
ところが少なくないという。家畜伝染病予防法に基づく指針では、排せつ物も農場内で
埋却・焼却することが原則。
感染疑いの豚が見つかり、飼育する豚約600頭を処分した同町の養豚業男性(57)の
豚舎にも2トントラック約15台分にもなる山積みの排せつ物が残る。男性は
「『(埋める)穴がない』と後回しにされたまま。一応、消毒のため石灰をかけているが…」
と困惑している。
県畜産課は「(ふん尿に)石灰をかけたり、ブルーシートをかけたりすることで、
(ウイルスの)封じ込めは終わっている」との見方。だが、封じ込め後に発酵消毒しないと、
指針が定めた防疫措置完了とはいえず、宮崎大の堀井洋一郎教授(獣医学)は
「発生農家に残る排せつ物や飼料はウイルスが残る可能性が高い。放置したままでは
危険」としている。
24日、宮崎県を訪れていた山田正彦農相も事態を重視。「膨大なウイルスが生き続けている。
油断するといつ飛び火するか分からない」と厳しい見方を示している。
【ソース】=西日本新聞=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/180826