12日閣議決定された地球温暖化対策基本法案には、2020年に温室効果
ガス排出量を1990年比で25%削減する中期目標が明記された。民主党は
昨年示した政権公約(マニフェスト)でも25%減を掲げ、温暖化対策に力を
入れる方針を示しており、法案に中期目標を盛り込んだことで、公約実現へ
一歩進んだ格好だ。
しかし国内排出量取引制度や原発などの各論に入ると、政府・与党内の
意見対立が表面化。対策の具体化は容易でない。
鳩山由紀夫首相は就任後間もない昨年9月、国連気候変動首脳級会合で
25%減の中期目標を表明。海外から高い評価を得た経緯がある。このため
政府内では、中期目標は「守らなくてはならない政策」(某省幹部)とされ、
産業・労働界に慎重論があっても法案に目標値を明記するのは既定路線
だった。
ところが目標実現への個別政策に話が及ぶと、政府・与党内でも議論が
百出。二酸化炭素(CO2)を排出しない原発をめぐっては、経済産業省が
当初、増設や利用率向上を明記するよう求めたのに対し、社民党党首の
福島瑞穂消費者・少子化担当相が「地球温暖化(問題の解決)のために
原発を推進するというのは(考え方が)違う」と反対した。
結局法案では、原発増設などの具体的な記述は避け、「原子力施策の推進」
という表現にとどめることで「玉虫色の決着」(別の省の幹部)をみた。JIJI
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010031200798