今年9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)観光大臣会合を招致した
奈良県が、出席する各国の大臣らVIPの宿泊に頭を悩ませている。多くの
寺社や遺跡を抱える観光地のイメージと裏腹に県内の宿泊施設数や客室数は
全国最下位レベルで、VIP用のスイートルーム級の客室がわずかしかないた
めだ。
観光庁は大阪府など県外を宿泊先とする異例のプランも検討しているとい
い、県は「観光行政のトップに奈良をPRする絶好の機会は逃せない」と宿泊
先確保に懸命だ。
■客室数最少、高級ホテル相次ぎ頓挫
APEC観光大臣会合は日本や米国、中国など21カ国・地域が観光資源
開発のノウハウや交流促進をテーマに話し合う会議で、2年ごとに開催。
ソウル(韓国)やリマ(ペルー)などが会場となってきた。
奈良県は、今年が平城遷都1300年祭の開催年にあたることから、各国の
観光行政のリーダーに奈良をアピールする絶好の機会とみて会合を招致、
奈良市内での開催が決まった。
各国の大臣らVIPクラスを含めた会合参加者は約200人とみられる。県に
よると、平成21年3月時点のホテル・旅館と客室数は490施設計9436室
で、施設数は全国で45番目、客室数は最下位。県観光振興課は「観光客は
夜になると電車で30〜40分で行ける大阪や京都に流れてしまう」と嘆く。
貧弱な観光の「インフラ」を充実させようと、県と奈良市はそれぞれ、
遷都1300年祭にあわせて大型、高級ホテルの誘致を奈良市内で計画した
が、相次ぎ頓挫。結局、市内でVIPを収容できるスイートルームが数部屋程
度しかないという状況のまま、APEC観光大臣会合を迎えることになった。
MSN産経
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100312/plc1003121409015-n1.htm