知的障害者への年金、不支給処分取り消し判決 大津地裁 2010年1月19日13時50分
知的障害の程度を判断する国の基準は抽象的であり、要件を満たす障害があるのに
障害基礎年金の支給を認定されなかったとして、滋賀県の知的障害者6人が国を相手
取り、処分の取り消しを求めた訴訟の判決が19日、大津地裁であった。石原稚也
(ちがや)裁判長は程度を個別に判断し、いずれも「年金受給の程度に達していた」として、
全員の不支給処分を取り消した。障害者の年金認定をめぐる処分取り消しは異例。
訴えていたのは、県内の25〜29歳の男女6人。訴状などによると、いずれも軽度の
知的障害があり、周囲の準備・指示がなければ服を着替えることができなかったり、
財布などをしばしば紛失したりする状態の人もいるという。
6人は2003〜05年度、障害基礎年金の支給を請求したが、滋賀県草津市の
草津社会保険事務所(現草津年金事務所)は、障害の程度をいずれも「日常生活に
著しい制限を受けるほどではない」と判断。障害基礎年金2級に該当しないとして、
不支給処分を決定した。それぞれ不服を申し立てたが、すべて棄却された。
国民年金法は、同年金の支給の請求を受けて障害の程度を判断する際、同法施行令
「等級表」に基づき認定するよう定めている。しかし、等級表は身体障害については
「両下肢のすべての指を欠く」などと具体的な基準を示しているのに対し、知的障害を
含む精神障害については身体機能の障害と「同程度以上と認められる程度のもの」と
され、原告側は「認定者の主観で結論が大きく左右される」と主張していた。
さらに、原告5人が不支給の決定後、改めて支給を再請求すると、一転して支給が認められたことを挙げ、当初の不支給処分は明らかに不合理であると訴えていた。
国側は、専門医の診断書で判断の適正を保つ制度的な工夫をしているなどと反論して
いた。
http://www.asahi.com/national/update/0119/OSK201001190046.html