国特別天然記念物トキのペア2組が8日、分散飼育のため石川県能美市の「いしかわ動物園」に向け、
新潟県佐渡市の佐渡トキ保護センターを出発した。石川県ではかつて、本州最後の野生トキ「能里(のり)」が
生息。能里が繁殖のため捕獲され、佐渡に移送されたのが1970年1月8日だった。県内でのトキ復活を
夢みてきた関係者は万全の準備で4羽を迎える。
「40年間待ち続け、ついに夢がかなった」。トキ保護に半生をかけてきたNPO法人「日本中国朱鷺(とき)保護協会」の
村本義雄名誉会長(84)(石川県羽咋市)は感無量の表情を浮かべる。
幼い頃、近くの山で朝日を浴びて黄金色に輝くトキの姿に魅了された。しかし、森林破壊や密猟でトキは激減。
64年には雄の能里だけとなり、求愛相手を探して1羽、鳴き声を上げる姿を今も忘れない。
能里は、佐渡に移された翌年死に、佐渡でも人工繁殖のため5羽が捕獲されたが、
2003年に最後の日本産トキ「キン」が死んだ。
「日本の二の舞いになってほしくない」と、村本さんは野生のトキが残る中国・陝西(せんせい)省を
20回以上訪問。「トキが暮らす場所には豊かな自然がある。野生のトキが生息する場所の誇りを
忘れないで」などと、現地の子どもたちに語りかけてきた。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20100108-OYT1T00590.htm?from=top