ウィキペディア丸写しで書面間違い 妊婦死亡訴訟で町側
2009年12月22日4時3分
奈良県大淀町の町立大淀病院で2006年8月、出産中の妊婦が
19の病院に転院の受け入れを断られた末に死亡した問題で、
遺族が町と担当医師に約8800万円の損害賠償を求めた訴訟で、
被告の大淀町側の代理人が事実と異なる経緯を準備書面に記載
していたことがわかった。
誰でも書き込みができるインターネット上の百科事典「ウィキペディア」
からそのまま引用していた。今後、大阪地裁に上申書を提出し、
この部分を訂正するという。
長男の出産後に脳内出血で亡くなった高崎実香さん(当時32)の
夫で原告の晋輔さん(27)が、大阪地裁で21日にあった陳述で
明らかにした。
被告側の第7準備書面は訴訟に至る経緯を「07年2月に検察が
立件を断念すると、検察審査会に不服申し立てをし、不起訴不当
議決を得て検察が再捜査を始める中で、当初民事訴訟はしないと
言っていた原告らは07年5月に本訴を提起した」とした。
しかし、立件を断念したのは奈良県警で、検察審査会にはかかって
いなかった。被告側代理人の米田泰邦弁護士は「書面作成に
あたってウィキペディアを参照した。具体的な日付まで書いてあった
ので、間違いがあるとは思わなかった。争点に関係ないので、被告
の大淀町に刑事告訴の有無などの事実経過は確認していない」と話した。
晋輔さんは「法廷は真実だけを述べる場だと信じていましたが、
亡くなった実香の人格を何度も何度も踏みつけにし、私たち遺族を
二重、三重に傷つけるこのような行為を決して許せません」と話した。
http://www.asahi.com/national/update/1222/OSK200912210168.html