西松建設から二階前経産相側への違法献金事件では、年間5万円以下の
小口献金について、政治資金規正法が寄付者名を政治資金収支報告書に
記載する必要がないとしている点が悪用された。
鳩山首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の偽装献金問題でも、
今回と同じ構図が明らかになっている。
同法は、5万円超の献金については収支報告書に寄付者の名前や住所、
金額などの記載を義務づける一方、5万円以下なら「その他の寄付」の欄に
総額を記載するだけで良い。
今回の事件で、西松建設は毎年300万円を送金する際、60人が5万円ずつ
献金した形に仮装し、二階氏の政党支部は収支報告書に総額だけを記載した。
友愛政経懇話会も、2008年までの5年間で個人献金の「その他の寄付」欄に
計約1億7700万円を計上していたが、実際は大半が鳩山首相や母の資金だった。
同法は、政治団体の会計帳簿に、金額にかかわらず寄付者すべての名前などの
記載を義務づけている。しかし、帳簿は非公開のため、収支報告書と帳簿の記載を
比較し、外部からチェックすることはできない。国会議員の関係する政治団体の
収支報告書は、09年分から公認会計士らによる会計監査を受けることが義務付け
られるが、監査対象は支出に限定されている。
寄付者などの記載が必要とされる献金額は、1993年のゼネコン汚職事件などを
契機に、95年以降、「100万円超」から「5万円超」に引き下げられた経緯がある。
政治資金に詳しい小林良彰慶大教授(政治学)は、「小口献金の匿名性を容認して
いる現行法は、法律に抜け道を作っているようなもの。金額にかかわらず、寄付者名
などはすべて収支報告書に記載するように改める必要がある」と指摘している。
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20091209-567-OYT1T01518.html