厚労省所管法人、予定価格作らず随意契約 天下り法人と
2009年10月7日3時4分
厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者雇用支援機構」が、
同省OBが天下る公益法人「雇用開発協会」に発注していた委託
事業について、07年度分までコスト計算をせず予定価格を作らない
まま、競争入札によらず特定業者と契約する随意契約を繰り返して
いたことが分かった。身内同士によるずさんな契約手続きが浮き
彫りになった。
予定価格は、事業に必要な人件費などを発注者が積み上げて
作る契約の目安。受注希望者が示す見積もりが予定価格を
下回れば契約する。予定価格がなければ、業者の言い値のまま
割高な契約を結ぶおそれがある。
会計検査院の08年度の検査で、機構が06年度に結んだ随意契約
の97%にあたる365件、07年度(12月まで)の契約の100%の
267件で予定価格を作っていなかったことが判明。検査院は個別
の契約名を公表しなかったが、取材に対し、機構は47都道府県の
協会と結んだ障害者雇用納付金の受け付けなど雇用支援業務の
委託事業が含まれていることを明らかにした。
一方、機構が随意契約を企画競争入札に切り替えた10年度分の
委託事業で、機構が9月末に入札参加者を締め切ったところ、東京都
を除く46道府県で協会しか参加せず、無競争で協会が受注する見通し
となった。唯一、競争のある東京都も、協会の相手は厚労省OBが
天下る公益法人で、参加状況からも「名ばかり」入札が裏付けられた。
10年度分から契約期間が1年から3年に延長されており、機構は
提出された企画を審査し、年内に契約するという。入札に参加するには、
雇用支援業務の3年間以上の実績▽複数の委託業務の一括受注
などの条件があり、新規参入が極めて困難な状況だった。
取材に対し、機構は「検査院の指摘を受けてからは予定価格を作って
いる。入札の状況は契約締結まで公表できない」としている。機構の
委託事業をめぐっては、機構が協会に支払う委託費で天下りOBらの
年収を保証し、協会事務所の家賃などもほぼ丸抱えしていた問題が
発覚している。
http://www.asahi.com/national/update/1007/TKY200910060451.html