社保庁ヤミ専従、社会保険料も国負担
計33人の職員が労働組合のヤミ専従をしていた社会保険庁に
ついて、会計検査院が調べた結果、33人に国から不正に支払わ
れていた約9億円の給与のほかに、社会保険料も国が負担して
いたことが5日、わかった。
不適切な負担は10年間で約8000万円に上るとみられ、検査院
から指摘を受けた社保庁は先月、労働組合側に負担分の返還を
求めた。ヤミ専従は、農林水産省や国土交通省の北海道開発局
でも発覚しており、今回の指摘の影響は両省にも広がるとみられる。
共済組合の負担金について定める国家公務員共済組合法では、
労組の専従者については労組が負担金を支払うことになっている。
しかし、検査院によると、社保庁ではヤミ専従の職員については長年
の慣習として、年金や健康保険を担う「社会保険職員共済組合」に
対して負担金を支払っており、検査院が過去5年分の約20人を
調べただけで、1億数千万円の給与とともに総額約1500万円の
負担金を支出していた。10年間では8000万円程度に上ると推定される。
社保庁は昨年9月、過去10年間に職場の業務をせず、組合活動に
専従しながら国から給与を受け取っていた30人に約8億3000万円
の給与の返還を要求。現在までに約7億9000万円が返還されている。
さらに今年7月には、新たに3人がヤミ専従で約5600万円の給与を
得ていたことも判明しているが、共済組合の負担金については明らか
になっていなかった。
指摘に対し、社保庁職員課は「ヤミ専従者は組合が正式に雇っていた
わけではなく、国が負担金を支払うことは法的には問題はないと考える
が、組合側に不当な利益を与えるという点で不適切だった」としている。
(2009年10月6日03時15分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20091005-OYT1T01313.htm