試される政権の「本気度」=補正凍結、来週にもヤマ場
2009年度補正予算の見直し作業は、執行凍結可能な事業・金額の上積みに向け、
来週中にもヤマ場を迎える。政府は今後、仙谷由人行政刷新担当相らを中心に、
各省庁が2日に報告した見直し案を精査。さらに必要度の低い事業を洗い出し、
重要施策の財源確保のため3兆円以上を捻出(ねんしゅつ)したい考えだ。首相官邸と
各閣僚が衝突する場面も予想され、鳩山由紀夫首相の指導力が試されそうだ。
「現時点ではできる限りの数字を出した」。川端達夫文部科学相は官邸への報告に
先立つ1日の記者会見で、文科省として最大限の見直しを行ったと強調した。同省は
「アニメの殿堂」と批判された「国立メディア芸術総合センター(仮称)」(117億円)の
建設中止などにより、執行停止額として2000億円超を計上した。
今回の見直しでは官邸サイドの精査に備え、意図的に「削りしろ」を残そうとする動き
も当初はあったという。ただ、4000億〜5000億円と報告したとみられる厚生労働省の
ある幹部は「そういう意見もあったが、変に小細工すると官邸の心証が悪くなりかねない
から、ぎりぎりのものにした」と明かす。
「過少申告」を避けた結果、各省庁にとっては今回の報告が「精いっぱい」との思いが
強い。しかし、約1兆8000億円とみられる凍結総額は、政権が目標とする3兆〜4兆円
には遠く及ばず、平野博文官房長官は記者会見で、仙谷氏や菅直人副総理兼国家戦略
担当相らによる再精査が必要と強調した。
これに対し、「霞が関」からは「もう万策尽きたって感じだ」(別の厚労省幹部)と悲鳴に
近い声が上がっており、報告以上に切り込もうとすれば各省庁からの反発は必至だ。
ただ、目標通り財源を捻出できなければ、続く10年度予算編成にも影響を与えかねない。
首相周辺は「仙谷さんから『鳩山政権に対する忠誠が足りない』と(各閣僚に)プレッシャー
が掛かるだろう」と語り、これから本格化する政府内の攻防の激しさを予測した。
(2009/10/02-21:08)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009100200926