イネの急成長、遺伝子を特定 水没しても生存 食糧難解決に光
8月20日7時56分配信 産経新聞
東南アジアなどの洪水多発地域で栽培されるイネの一種「浮きイネ」が、
増水時に急成長して生き延びる仕組みを、名古屋大や九州大などの
グループが分子レベルで解明した。
急成長のスイッチとなる遺伝子を、生産性の高い品種に組み込めば、
洪水多発地域の食糧難解決に貢献できそうだ。20日付の英科学誌
「ネイチャー」に発表した。
一般的なイネは水没すると酸欠で枯れるが、浮きイネは1日約20センチ
のペースで急成長して数メートルの水深でも葉を水面に出し、生き延びる。
水没時に蓄積される「エチレン」と呼ばれる植物ホルモンが急成長を促す
ことは知られていたが、遺伝子レベルの仕組みは不明だった。
研究グループはバングラデシュの浮きイネで、エチレンが蓄積された
ときに働く染色体の領域を突き止め、2つの遺伝子が急成長のスイッチ
となっていることを見いだした。2つの遺伝子は潜水用具にちなんで
「スノーケル1」「スノーケル2」と命名した。
この遺伝子を含む3カ所の染色体領域を交配によって日本型イネに導入
すると、水深約150センチの水没環境下でも、4日間ほどで70〜80センチ
も草丈を伸ばし、浮きイネ性を示した。
芦苅基行・名古屋大教授は「浮きイネの生産性はとても低いが、浮きイネ
性の要となる遺伝子を高い生産性や味の良さを持つイネと組み合わせれば、
食糧問題の解決に貢献できる」と話している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090820-00000046-san-soci