来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の議題を決める準備委員会が4日、国連本部で
12日間の日程で開幕する。北朝鮮の核実験をはじめ拡散の懸念が高まる中、主要国の間で
は「核兵器のない世界の追求」を掲げるオバマ米政権の誕生など核軍縮の潮流が高まって
いる。準備委での議論は、この機運を政策に結実させる最初の一歩になる。
準備委は5年に1度の再検討会議の間に計3回開かれ、今回は来年の会議前最後の会期。
各国が核政策を表明するほか、5日の非政府組織(NGO)の意見陳述で、「平和市長会議」
会長の秋葉忠利広島市長らが核廃絶を訴える。
前回2005年の再検討会議では、不拡散を重視する米国などと核軍縮を求め強硬論を唱え
る非同盟諸国が対立。さらに米国が包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効に反対する
などしたため、同会議は成果を出せずに決裂した。
ただ、北朝鮮の核実験やイランによるウラン濃縮活動の拡大など、核をめぐる情勢はその後
も悪化している。NPTへの挑戦に「どう対処するかの試金石」(外交筋)になる来年の再検討会
議を成功させるには、今回の準備委でできる限りの地ならしを進める必要がある。
明るい材料は多い。オバマ大統領は核兵器廃絶を最終目標とする包括戦略を発表し、CTBT
発効促進に前向き。唯一の被爆国である日本も独自に核軍縮会議を主催するなど、積極的に
活動する方針だ。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009050200220