知的障害者の元成年後見人に実刑判決
2009年03月25日
成年後見人の立場を悪用し、福山市内の親類の男性の預金から現金計
約3790万円を横領したとして、業務上横領罪に問われた同市新市町の
元アルバイト店員籠田玲子被告(39)と母親の節子被告(60)に対する
判決公判が24日、広島地裁福山支部であった。
金馬健二裁判長は「生活費や遊興費などに使った動機に酌量の余地はない」
として、玲子被告に懲役1年10カ月(求刑懲役3年)、節子被告に懲役1年
8カ月執行猶予3年(同2年)を言い渡した。
弁護側は、2人は知的障害者であり、家裁が玲子被告を大金を管理させる
成年後見人に選んだことが誤りで、公訴権の乱用だとして公訴棄却を求めて
いたが、判決は「選任の調査方法や内容に過失があるとは言えず、犯行
終了時まで後見人の職務を継続させたことに重大で明白な欠陥はない」
として退けた。
玲子被告の犯行の一部、節子被告の犯行についてはそれぞれ心神耗弱を
認めたものの、「自己の行為の是非は判断できる」として責任能力はあると
認定。
後見人への選任と犯行との関連性について、情状で「財産管理の業務は
玲子被告の能力に過負担で、選任時の状況にかんがみるとやむを得な
かったとはいえ、知的障害のある玲子被告に犯行を容易にする環境を与え、
誘発した」とした。
判決などによると、玲子被告は04年3月、交通事故で意思表示ができなく
なった親類の男性の成年後見人として、広島家裁福山支部の家事審判官
により選任された。保険金や預金口座など男性の財産管理を任されていた
が、05年2月〜06年8月に節子被告と共謀して口座から約70回にわたって
計約3790万円を引き出し、横領した。
弁護側は家裁による後見人選任への評価について不服があるとして控訴する
方針。(広津興一)
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