財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)が多額の利益を上げていた問題で、協会の
理事や評議員が、文部科学省から「役割を適切、十分に果たしていたとは言い難い」との
指導を受けたことに対し、理事・評議員からは自らの辞任の申し出がある一方、大久保昇
理事長の辞任を求める声も上がっている。
理事、評議員のうち、大久保理事長と息子の浩副理事長を除く19人は、著名な文化人や
国語学者らで構成されている。しかし、会議に一度も出席したことがないメンバーもいると
いう。
同省などによると、理事、評議員の会議などの出席率は低く、特に理事会は、問題発覚後
開かれた2回のうち1回は、大久保理事長と浩副理事長だけが出席。もう1回も、代理人を
除けば、理事本人はほかに1人しか出席しなかった。
2回とも欠席した元国立国語研究所長の水谷修・名古屋外大学長は「仕事があった。
もっと詳しく知ろうとするべきだったかもしれない」と話す。
評議員会(13人)でも、約10年前に就任したが、出席したことがない哲学者の梅原猛さん
は大久保理事長に依頼されて加わった。梅原さんは「信用したことを後悔している。関連会
社への委託などとんでもないことで、評議員の機能を果たせなかった自分への怒りも感じる
」と評議員を続けるかどうかは検討中という。評議員の中には、野間佐和子講談社社長の
ように、すでに辞表を提出した人もおり、複数の理事、評議員も辞任を検討しているという。
一方、評議員で、同協会の内部調査委員会委員でもある大森厚・中央工学校理事長は、
「理事長が責任を取って辞任し、新体制で再出発するべきだ」と自発的な辞任を求めている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090316-OYT1T00019.htm