人の髪の毛をデンタルフロス(歯間磨き)のように使うことを覚えたタイの野生ザルの
群れで母親が子どもと向き合いながら大げさな身ぶりで歯磨きのやり方を“教育”して
いることを、京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)の正高信男教授らが突き止め、
米科学誌に10日発表した。
同研究所によると、親が子に道具の使い方を教えるのを野生のサルで確認したのは
初めて。
チンパンジーやニホンザルの群れで、シロアリを巣から草で釣り上げたり、イモを海水で
洗ったりする行動が広がった例は知られているが、一般的には子が親のやり方を単純に
まねていると考えられてきた。
こうした文化的な行動の広まりに、親の積極的な働きかけがあったことを示す成果。
正高教授は「人に近い動物なので教育の起源を解明する手がかりになるかもしれない」と
話している。
グループは昨年2月から約1カ月、タイ中部の寺院跡近くにすむカニクイザルの群れ
約250匹を観察。群れでは10年前から、落ちている人の髪の毛を両手に持って歯の
間を掃除する行動が見られるようになり、100匹近くに広まったという。
幼い子ザルがいる母ザル7匹に注目し、髪を口に出し入れする回数や、歯の間をこする
時間を計測。子ザルが目の前で見ている場合は、見ていない場合に比べて回数が2倍に
増えた。時間もたっぷりかけて磨き、しぐさが大げさになる傾向も確認できた。
http://www.47news.jp/CN/200903/CN2009031001000894.html