愛知県の豊橋市民病院職員(44)が、知り合いの男からストーカー被害を受けていた
女性患者(31)の住所を、この男に漏らしていたことが分かった。女性は男から逃れる
ため名古屋市内に引っ越していたが、男は住所を聞き出した翌日、女性宅で待ち伏せて
連れ去ろうとし、暴行容疑で名古屋・緑署に逮捕された。病院側は漏えいを認めている。
緑署などによると、逮捕されたのは、同県田原市の男(40)。男は2月7日、名古屋市
緑区の女性宅近くで、帰宅した女性を車に押し込もうとした暴行容疑で逮捕され、同罪で
起訴されている。女性は、男のストーカー行為や暴力から逃れるため同県東三河地方
から引っ越していた。女性が緑署に被害届を出して事件が発覚し、捜査の中で市民病院
の情報漏えいが明らかになった。
病院関係者によると、この職員は、病院が受け付け業務を委託している医療事務会社
の社員で、豊橋市職員ではない。職員は2月上旬、友人だった田原市の男から頼まれ、
病院のパソコンで女性の転居先の住所を調べ、男にメールで教えた。男は女性の兄を
装い、「妹が家の金を持ち出して家出した。子どもが虐待されないか心配だ」と住所を教
えるよう持ちかけてきた。職員は「男が、女性の子どもの生年月日を知っていたこともあり
親族だと信じてしまった」と話しているという。
病院関係者によると、業務委託契約書には守秘義務が明記されていた。職員は現在、
出勤しておらず、会社の懲罰委員会で処分が出される見通しだ。
市民病院の小林淳剛院長は、本紙の取材に「女性と家族には多大なご迷惑とご心痛を
おかけし、心からおわび申し上げたい。今後、個人情報保護の徹底を図り、再発防止に
務める」と話している。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009030302000148.html