東証マザーズ上場の電気検査装置メーカー「オー・エイチ・ティー」(OHT、広島県福山市)
を巡る粉飾決算疑惑で、広島地検は4日午後、証券取引等監視委員会と合同で石岡聖悟
前社長(53)ら旧経営陣3人に対し、旧証券取引法違反(有価証券報告書等の虚偽記載)
容疑で本格的な取り調べに乗り出す。
容疑が固まり次第、逮捕する方針。OHT株は弁護士による株価操作事件の舞台になった
が、会社自体の粉飾決算が明確になったことで、新興市場への不信感を招きそうだ。
捜査関係者によると、石岡前社長らは2005年4月期連結決算の当期純利益(税引き前)
が実際には約2億円の赤字だったのに1億72万円の黒字と偽った有価証券報告書を、06
年4月期連結決算でも約1億円の赤字を2億6764万円の黒字と偽った有価証券報告書を
それぞれ中国財務局に提出した疑い。06年9〜10月に虚偽の決算内容を記載した有価証
券届出書に基づき、30億円分の無担保転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行した疑
いも持たれている。
粉飾は、受注伝票を改ざんして架空売り上げを計上したり、出荷前の製品を出荷したよう
に装って売り上げを前倒ししたりする手法で行われていたという。
石岡前社長は監視委などの任意の調べに対し、粉飾決算を部下に指示したことを認めて
いるという。関与したとみられる元役員2人のうち1人は証券会社出身だった。
石岡前社長は不適切な経理処理の責任をとって今年2月に辞任したが、現在もOHTの筆
頭株主のままとみられる。株価操作事件でさいたま地検から旧証取法違反容疑で逮捕状が
出ている弁護士の椿康雄容疑者(54)とも交友があり、05年6月の第三者割当増資の際に
は資金調達先の相談を持ちかけていた。
広島地検と監視委は、椿容疑者との関係についても調べる。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081204-OYT1T00458.htm