イラクの首都バグダッド南方に位置するバビロンは、「空中庭園」や「ハンムラビ法典」で
知られる古代メソポタミア文明の中心都市のひとつ。だが、80年代にフセイン政権が「復元」
と称して手を加え、03年のイラク戦争開戦後は駐留米軍などが駐屯地として使った結果、
重大な損傷を受けたとされる。国連教育科学文化機関(ユネスコ)は来年初めをめどに、
詳細な実態調査をまとめる予定だ。
AP通信の取材班は先月、イラク当局の許可を得て現地に入った。バビロン遺跡の発掘は
約100年前に中断したまま。空中庭園の仕掛けや、旧約聖書に登場する「バベルの塔」の
起源など、依然として多くのなぞが残る。
フセイン元大統領はこの遺跡を観光資源として活用するため、古代の建造物をまねた急
ごしらえの模型やレストランなどを設置。それが03年から04年にかけ、米軍とポーランド軍
の駐屯施設として使われた。
04年にバビロンの惨状を調査した大英博物館のジョン・カーティス氏によると、米軍はれん
がの敷きつめられた古代の大通りに軍用車や重機を走らせ、ヘリポートや駐車場を建設し、
出土品の破片を含んだ砂を土のうに詰めるなどして、遺跡を破壊したという。米国はこうした
指摘に対し、「駐屯地にしなければ、略奪によってさらにひどい状態になっていただろう」と
主張。一方で、非政府団体(NGO)のワールド・モニュメント・ファンド(WMF)とイラク当局に
よるバビロン復旧事業への資金協力を約束しているが、出資額などは不明だ。
実際、イラク各地の遺跡では略奪が多発してきた。最近はやや落ち着いているものの、
警備態勢が不十分なことに変わりはなく、観光客や研究者にとっては今も危険で近づけ
ない場所が多い。AP通信とのインタビューに応じたマリキ首相の側近に遺跡保護政策に
ついて質問すると、「それよりも緊急を要する課題がある」との答えが返ってきた。失われ
た遺跡バビロンの、復旧への道は遠そうだ。
http://www.cnn.co.jp/science/CNN200811160024.html 淫婦バビロンに、憎むべきものアメリカが駐屯している...
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