自動車の排ガスで健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者らが、
国や都、自動車メーカーなどに損害賠償を求めた東京大気汚染訴訟の控訴審で、
政府は、ぜんそく対策事業の基金から東京都に60億円を拠出する方針を決め、
安倍首相が30日、石原慎太郎知事に伝えた。
石原知事はこれを受け入れる考えを表明したため、都が和解案として提案している
患者の医療費助成制度が実現する公算が大きくなった。原告側も国の救済策を高く
評価しており、訴訟は和解に向けて大きく前進することになった。
政府の提案は、ぜんそく対策で広く活用されている独立行政法人「環境再生保全
機構」の基金約510億円の中から、国の支出分である60億円を取り崩し、都に拠出
するというもの。環境省はすでに、この基金の運用益約14億円を毎年、東京23区も
含めた指定地域の患者の予防事業に振り向ける和解案を原告側に提示している。
今回の政府提案は、さらに60億円の拠出を都に単独で上乗せするものだ。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070530i115.htm