先ごろ来日したブータンのワンチュク国王の国会での演説が話題になっている。
「私は若き父とその世代の者が何十年も前から、日本がアジアを近代化に導くのを誇らしく見ていたのを知っています。
日本は当時開発途上地域であったアジアに自信と進むべき道の自覚をもたらし、以降、日本のあとについて
世界経済の最先端に躍り出た数々の国々に希望を与えてきました。
日本は過去にも、そして現代もリーダーであり続けます」などと語った。
復興に向けて取り組む日本を激励する内容で、終了後、議場では拍手が鳴りやまなかった。
南北をインドと中国に挟まれたブータンは、人口約70万人の小さな国だ。1人当たりの国民総所得は1920米ドル
(世界銀行、2010年)で、日本円に換算すると約15万円。にもかかわらず、05年の国勢調査では、
国民の約97%が「幸せ」と回答している。それは、ブータンが、国民総生産(GDP)よりも
国民総幸福量(GNH)を重視しているからだという。国がGNH追求に努力することは憲法にも明記されている。
ブータンはどんな国なのか。「幸福王国ブータンの智恵」の著者で、現地取材をした小原美千代氏に聞いた。
「訪れた街でいろんな職業の方と話しました。王様が好きですかという問いにみな『当然、大好き』という返答だったのが印象的です。
また、GNHの国と聞くけど幸せですかという問いにも、高校生、OL、道に座っている人、
出会う人みんな『幸せです』と言っていました。
例えば、ブータンでは、自分たちが輸出するなら何かという話のなかで『時間』という議論が出たくらいで、
豊かな時間を過ごせる国なのです。世界における自国のポジションを把握し、近代化からはまだ遠い国かもしれないですが、
国民の幸福度を客観的に見て国の政策を立てているのです。小学校から英語を学び教養レベルも高い国です」
日本は、かつてはアジアのリーダーだった。しかし、経済成長を優先するあまり格差が広がり、
心の豊かさを失った。今こそ日本人はブータンから見習うべきではないか。
http://news.infoseek.co.jp/article/27gendainet000159525