社団法人 金融先物取引業協会 平成22年7月28日
http://www.ffaj.or.jp/userfiles/file/pdf/shinki-kaiin/ffaj-kaiin_syobun100728.pdf 会員に対する処分について
本協会は、本日、本協会の会員に対し、下記のとおり定款第19条第1項に基づく処分を行いました。
1.処分を受けた協会員名
株式会社 MJ
2.処分内容
過怠金500万円の賦課
3.処分理由
@ 平成19年4月から平成20年11月までの間に、外国為替証拠金取引に係るシス
テムにおいて、少なくとも74件のシステム障害を発生させ、その中には顧客取引に
損失を与えたものも多数含まれる。同社は、システム管理及びシステム障害発生時の
対応に関する諸規程の整備が不十分であり、実効性を伴う内容となっていないこと、
システム管理の殆どを担っている外部委託先の管理に関する規程・態勢が整備されて
いないこと、経営陣のシステムリスクに対する意識が低いことから、システム障害発
生時の顧客対応において、顧客から障害発生に起因する損失が発生したとして苦情等
の申し出があったもののみ、損失補てん等の対応を行うなど十分な対応がなされてい
なかった。また、システム障害発生時における顧客への影響の調査も外部委託先任せ
とし、調査結果を鵜呑みにしたことにより、システム障害に起因する顧客被害を見落
とす事例が認められた。
A 平成20年4月29日に発生したシステム障害により損失を受けた顧客199名
に対し、損失補てんを行っているが、内1名の顧客より、当該損失補てん処理のほか、
新規注文分を建てるために必要な証拠金を同社が負担するよう要求を受け、同社は当
該顧客に対し、本来の補てん金額に加えて不当な利益の提供と知りながら、合計で
355,061円の特別の利益を提供した。
B 平成20年3月6日、同年4月29日及び同年8月5日に発生したシステム障害に
より損失が生じた顧客のうち120名の顧客に対し、損失の補てんとして、合計
5,162,662円を支払っていながら、東海財務局長へ報告を行っていなかった。
C インターネット取引による外国為替証拠金取引において、顧客から注文を受けた場
合に
イ.顧客取引を約定させた後、カバー取引先に発注する方法
ロ.受注レートでカバー取引を執行し、当該カバー取引が成立した後に顧客注文を
約定させる方法
の2通りの約定経路を設けていた。また、同社は上記イの方法を原則としており、同
社が指定した特定の顧客には、上記ロの方法を採用していた。
このような状況下、平成20年5月30日から同年12月1日までの間にロに指定
された顧客51名の成行注文は、イの顧客の成行注文が、速やかに約定する中、
58,329件の注文の内、少なくとも25,466件の注文が不成立となっている
ほか、少なくとも30件の約定がイの顧客の約定に比して5秒以上遅延し、内5件に
ついてはロスカット注文が遅延したことにより損失が拡大するなど、両顧客の間では
著しい差異が生じた。
同社の顧客が取引において使用するトレードシステムの活用ガイドでは「成行注文
は、今の為替レートで素早く約定する」と説明されているが、ロに指定された顧客の
注文は、当該説明とは異なり、カバー取引が成立した後でなければ約定しない扱いと
していた。なお、顧客から注文が不成立になったことに関する苦情を多数受けている
が、「当社の提示レートが変動したことにより注文が不成立となった」旨の説明を一
律的に行うのみで、ロに指定された顧客に対して適切な説明を行っていなかった。
同社の行った違反行為のうち、@は法第40条第2号に基づく金商業府令第123条
第14号、Aは法第38条第6号に基づく金商業府令第117条第1項第3号、Bは法第
39条第3項に基づく金商業府令第119条第3項、Cは法第38条第6号に基づく金商
業府令第117条第1項第2号にそれぞれ違反し、また、金融先物取引業務に従事する従
業員等の服務に関する規則第4条、金融先物取引業務取扱規則第3条及び金融先物取
引業務の内部管理責任者等に関する規則第3条に違反するものである。
以上より、定款第19条第1項第3号の規定に該当すると認められること。