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児童ポルノ摘発 国境の壁
 児童ポルノの動画をインターネットに配信し、3億円以上を売り上げたインターネット関連会社について、神奈川県警が児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)容疑で摘発を目指したが、米国のサーバーを経由していたため立件を断念していたことが10日、わかった。

 児童ポルノの温床となっているインターネットで、摘発逃れのために「国境の壁」を利用する手口に対し、有効な対策のない実情が浮き彫りとなった。

米経由でネット配信
 この会社は、横浜市港北区の「サイバーデータ」。同県警は奈良県警などと合同で今年2月、ネットで顧客を募って児童ポルノビデオなどを郵送販売したとして、社長の松井裕二被告(38)(横浜地裁で公判中)らを同法違反(児童ポルノ販売)の疑いで逮捕した。

 同社はビデオなどの販売で約1億9800万円を売り上げていたが、このほかに米国業者のサーバーを経由した日本人向けのサイトを開設し、女子中高生を中心としたポルノ画像を掲載。

 今年2月までの1年余に3億1000万円を売り上げていたことが、松井被告らの供述などから判明した。

 同サイトは、月額5000円程度の利用料で児童ポルノ画像を自由にダウンロードできる仕組み。利用料は同社が東南アジアに開設した複数の口座で決済され、日本に送金されていた。

 多額な売上高や数千人とみられる顧客数などから、ネット上の大規模な公然陳列事件として神奈川県警は立件を目指した。ところが、松井被告らの逮捕後、米国のサーバー上の同社サイトが何者かに書き換えられ、直接証拠となる違法画像が失われた。

 県警は米国への捜査協力要請も検討したが、現状では実効性のある対応を得るのは困難と判断。ある捜査員は「この種の事件は殺人などの凶悪事件と違い、照会事項の回答に半年以上かかるなど、すぐには捜査協力を得られないだろう。

 捜査効率の面でも長期継続は難しい」と話す。県警は、サーバーが国内にあれば独自捜査で記録をたどり、立件も可能だったとみている。

 財団法人インターネット協会によると、国外サーバー経由で配信する手口は、児童買春・児童ポルノ禁止法が施行された1999年以降、急増した。

 同協会は「施行直後に摘発が相次ぎ、業者らが『国外なら捜査の手が及ばない』と編み出した」と分析。

 「捜査機関のサイバーパトロールにひっかからないよう、秘密のメッセージを駆使して児童ポルノ画像へ導くなど、手段も巧妙化している」とし、技術面でも違法サイトを封じ込める対策強化が急務だと指摘する。

 警察庁の担当者は「国外のサーバーを経由したサイトは開設者の特定さえできないケースがあり、各国の捜査機関との連携強化が必要だ」としている。