【EUR】ユーロに想いを託すスレ 3カ国目【欧州】
むかし、MULTICSという巨大なコンピュータのプロジェクトがあったのですが、
あまりの巨大さにどうにも動かなくなり、頓挫しました。
そのときの反省から生まれたのが UNIX というOSで
MULTI に対して UNI というちょっとひねった名前が付けられました。
この頃から、「大きくて複雑なもの」を設計することに
疑問を持つアーキテクトが出てきました。
そして、それらのアーキテクトは「最小のOSとは何か」と考えて、
マイクロカーネルが設計されました。その設計を元に1990年代に
カーネギーメロン大学(CMU)でMachが実際に作られました。
これはインテルベースでコンパイルすると60Kバイト程しかない
とてもコンパクトなOSです。
現在、Windows2000/XPやマックでも採用されています。
なぜこんな小さなOSが出来たかというと、
「サービス」と「権限」を設計上分離したからです。
マイクロカーネルはサービスが規則を守っていることを監視する仕事だけをします。
マイクロカーネルの思想は政治的にも大きなインパクトがあり、
小さな政府とサービスの民間委託が一つのムーブメントになりました。
サービスが権限から切り離されることで、
サービスの新陳代謝が起こります。
時代に合わないサービスは衰退してゆきます。
より良いサービスはより活発に更新されますし、
利用者はより便利なサービスへの乗換えを行います。
ケータイなどが良い例ですね。写メールが楽しかった頃にはJ-Phoneで、
i-modeが流行ればドコモに、インターネットの定額が流行れば、
AUに乗り換えという人も多いと思います。
数年のサイクルで新陳代謝が起こっています。
(cbRがポケベル・Pメール時代から遊んでたのは秘密です♪)
政治的な面で見ると、サービスと権限が分かれていなかった時代には、
権限を持っていた人の「既得権益」がありました。
この既得権益が、マイクロカーネル化の流れと拮抗しています。
権限の移動は大きな抵抗や激しい議論を伴うので、流動性が低く
硬直化、老朽化が進みます。新陳代謝と対照的ですが
すでに出来上がっているものの強さがあります。
サービスの自由化と既得権益の戦いという視点で世界を眺めると、
今後の世界の新陳代謝と老朽化を占う一つの鍵が見えてきます。
発展している国の元気の源は新陳代謝にあるのかもしれませんね。
コンピュータの世界ではこうした流れを汲んで、
オープンソース化による多くの人手によるシステムの構築が進みました。
その一つの例がLINUXというOSです。
このような開発手法に関して、エリック・レイモンドという人が
「伽藍とバザール」という論文を書いています。
伽藍というのは大きな寺院のことで、教会建築のように
緻密で細部にわたる設計と支配のことを意味しています。
いっぽうバザールというのは市場のように、
ガヤガヤと多くの人が集まって好き勝手に商売をしているのに
なぜか奇妙な調和と安定を保っている状態を指します。
伽藍方式とバザール方式は「どちらが良い」という単純な比較ではなく、
むしろ適材適所であって、それぞれの利点と欠点を理解した上で、
適用されるべきです。
バザールは「圧倒的な支配力」を持ち得ないのですから。
とはいえ、理不尽な支配を無視するぐらいの自立性は持っています。
ドルとユーロとを比べてみたときに、ドルが伽藍方式により近く、
ユーロがよりバザール方式に近いことは想像に硬くありません。
ヨーロッパ全体が巨大なバザールのようです。
たとえ「武士は食わねど、高楊枝」になって武士が廃れ
城下町が栄えるようになったとしても、
商人はお城を壊そうとは思わないものです。
けれど実質的に商人が武士よりも力を持つことは起こりうるでしょう。
というわけでユーロに思いを託してみました♪