>>899 続き
こうして僧侶から派遣業者にバックされたお布施の一部は、多くのケースで、派遣業者に僧侶派遣を依頼した葬儀会社に
紹介手数料やリベートとして流れる。お布施は数万〜数十万円で、葬儀会社の取り分は3割程度。所得隠しが指摘された
僧侶派遣会社「グランド・レリジオン」(埼玉県川口市)は、僧侶から受け取った紹介料の一部を収入から除外し、
葬儀会社への手数料やリベートに充当。葬儀会社もリベートを簿外で受け取るなどしていた。
葬儀会社幹部は、リベートの一部の使途について「患者が亡くなった時に紹介してもらえるよう、病院関係者らを接待する
のに使う」と明かした。
こうした仕組みが施主側に伝えられることはまれだ。グランド社から葬儀に派遣された僧侶の一人は「施主は読経の対価
としてお布施を払っている。施主に実態は知られたくない」と語る。
僧侶の宗派をごまかして派遣するケースもある。
ある派遣会社から法事の仕事を受けていた関東地方の僧侶の場合、いつも知らない寺院の僧侶を名乗るよう求められて
いた。宗派も異なり、法事会場で「〜寺の副住職さんです」などと施主に紹介されるのが後ろめたかったという。
他宗派の四十九日の法要で、重要な「位牌(いはい)入魂」までやらされ、その宗派の作法が分からず、自分の宗派のやり方
でごまかしたこともある。「とんでもないことをしてしまった」と、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねた。