ホンダの福井前社長は「500km以上走れないクルマはクルマじゃない」という
ような発言で電気自動車に対してかなり否定的でした。
2020年には世界の自動車需要の10%が電気自動車になると豪語し、プリウスで
さえ12年以上かかった年産50万台規模を電気自動車で2012年までに実現させる
計画だと吹聴している日産のゴーン社長は、もはやペテン師に近いというのが
私の個人的な印象です。
ゴーン社長はこのように無謀ともいうべき大袈裟な数字を振りかざして電気
自動車推進を唱えてきました。その一方でハイブリッド車は「世界需要の
2%に過ぎないニッチ商品」などいう詭弁で散々扱き下ろし、また
ハイブリッド車では「地球温暖化問題の根本的な解決にはならない」といった
旨も度々述べてきました。
そこまでハイブリッド車を悪し様に言うのなら何故フーガを電気自動車仕様
ではなくハイブリッド仕様で発売するのか大いに疑問です。要するに、都合の
良いことだけ言いたいように言っている独善者ということなのでしょう。
こうしたゴーン社長の発言を日本のメディアの多くは全般的な状況などに
照らして妥当なものなのか否か検討もせず、大いなる期待感と共に伝えて
きました。が、事情が解っている業界関係者はもちろん、欧米のメディアにも
冷ややかな反応は少なくないようです。
昨年行われたリーフの発表会や東京モーターショーでゴーン社長は電気自動車
について熱く語っていましたが、そのときから「10年で自動車の世界需要の
10%が電気自動車になるなどという数字は何を根拠にしているのか?」と
いった疑問をはじめとして、業界内では懐疑的な声で溢れていました。
そうした声に対してゴーン社長は「これは地球を守るということだ。我々が
最初から懐疑的であれば、何も実現しない」などと宗教的とも取れるような
スタンスで反論する始末です。
広げてしまった風呂敷があまりにも巨大すぎたため、もはや自分でこれを畳む
ことが出来ない状況に陥ってしまい、完全に開き直ってしまったようにも
見えます。そうした彼の発言に疑いの声が上がると、彼は子供のようにムキに
なり、さらに意固地になっていくというスパイラルに陥っているようにさえ
見えます。
「我々は、EVに関するすべてに携わる唯一の会社なのです。政府や街に
どのようにインフラを構築すべきか、消費を促す補助金システムがつくれるか、
EVに興味を持っている世界の街に指標を提供することができます」「リーフは
大成功するだろう。バッテリーや車本体も機能が向上し、コストもどんどん
下がっていくだろう。EVは今、長い物語の始まりに立ったにすぎないのです」
ま、電気自動車が「長い物語の始まりに立ったにすぎない」という点について
は否定しませんが、ハナシの内容はいずれも具体性に欠けており、説得力の
カケラもありません。インフラ面でもテネシー州の大都市を結ぶ幹線道路に
充電ステーションを設置する計画や、イスラエルでルノーと共に例のベ
タープレイス社と提携したバッテリー載せ替え方式のインフラを展開する
計画を発表していますが、「計画」なら何とでも言えます。
日本やアメリカで全国を網羅するような急速充電器の整備計画がなされている
わけでもありませんし、現段階で特筆するような実績があるわけでもあり
ません。「EVに興味を持っている世界の街に指標を提供することができます」
というような台詞は、それなりの実績を重ねて比較的早期に採算が見込める
ビジネスモデルくらいは示してからいうべきことです。
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