【7832】バンダイナムコ32

このエントリーをはてなブックマークに追加
777山師さん@トレード中
バンダイナムコHD − (上)バンダイナムコHDの今期はゲーム・映像ソフト不振で大幅減額、統合後初の最終赤字に
詳細

バンダイナムコホールディングスの業績が急悪化している。
今2010年3月期は、玩具が定番キャラクターを中心に健闘しているものの、家庭用ゲームソフトや映像音楽ソフトなどのパッケージ商品の販売不振で営業利益が急減。
資産内容の見直しや人員削減などに伴う巨額の特損等も加わり、05年の経営統合以来初の最終赤字に転落する見通しだ。09年4〜12月期発表と同時に会社側が修正した。

修正後の今期見通しは、売上高3800億円(前期比10.9%減)、営業利益10億円(同95.5%減)、最終損失310億円(前期は118億円の黒字)。
従来予想に比べ、売上高で200億円、営業利益で140億円、最終損益で395億円と大幅な下方修正となる。

減額の最大の要因は、玩具と並ぶ主力事業、ゲームコンテンツの不振だ。とくに、家庭用ゲームが苦戦しており、欧米中心にヒットした「鉄拳6」(出荷累計290万本)を除き、目玉となるヒットも乏しかった。
国内では、「20万〜30万本を目標とする旧バンダイ、バンプレスト系のタイトルの売れ行きが悪い」(石川祝男社長)といい、通期発売見込みの新作タイトル92のうち、
ほぼ5割が赤字(前09年3月期は74タイトルのうち3割が赤字)。仕掛かり在庫評価損10億円に加え、海外では店頭での販売価格低下に伴うプライスプロテクション(値下げ分の補填)への引当30億円も追加費用となり、
ゲームコンテンツ部門全体で50億円の赤字に転落する見通しだ(従来は55億円の黒字計画)。

同様に、映像音楽パッケージも苦戦しており、こちらでも10億円の在庫評価損を計上する。DVDからブルーレイへの切り替えが進んでおらず、期待したヒット作も出なかったためだ。
また、この映像音楽事業を担うバンダイビジュアルはじめ子会社3社については、収益見通しの悪化により、のれんの減損(約125億円)を実施するうえ、
不調が続いているアミューズメント施設の店舗閉鎖に伴う損失60億円、グループ全人員の1割(約630人)の削減を前提とした特別退職加算金約20億円などで225億円の特損を計上。
一部繰越税金資産の取り崩し35億円もあり、最終赤字310億円と巨額な赤字計上になる。

バンダイナムコHDは、業績悪化の責任をとって、高須武男会長が代表権を返上を決めた。他の役員もすでに役員報酬を返上している。あわせて、バンダイナムコゲームズの鵜之澤伸社長が副社長に降格し、
社長をHD社長の石川氏が兼ねる役員人事も発表した。
ゲームコンテンツと映像音楽を「コンテンツ事業」として実質的に統合し、そのなかで「プロデューサー」集団と「パブリッシャー」集団に分けたバーチャルな組織再編を行い、「中小規模の集団ごとに責任と権限を与え、
切磋琢磨してヒットを生み出す体制」(同)づくりを急ぐ、という。

来11年3月期については、人員削減による人件費の削減効果(約35億円)、のれん償却費の減少(約35億円)など最低でも80億円の費用減効果が現れる見通しだ。
また、今期膨らんだ在庫評価損も減少すれば利益底上げ要因となる。
ただ、問題は石川社長も強調するように、統合吸収で巨大化していく過程で弱まった「ヒット商品を生む力」を回復し、コンテンツ事業の成長力を再構築できるかどうか。
パッケージ流通からネット配信へのシフト、3Dテレビに象徴されるゲームと映像ソフトの垣根の消失、といったコンテンツを取り巻く市場変化の荒波は容赦なく押し寄せてきており、
「スピード感の回復」(同)が何にも増して重要な課題となる。