青木ケ原樹海 自殺者防ぐ取り組み 「迷い」受け止め
10年続けて自殺者が3万人を超えた日本で、山梨県は昨年、自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)が最も高かった。
富士山の北西部に広がる「青木ケ原樹海」で自殺する県外者が多いからだ。なぜ樹海なのかを探ると、
原生林の中を最期の場所を求めてさまよい歩く人たちの「逡巡(しゅんじゅん)」の時間に自殺防止の可能性があると知った。
樹海に入って2週間、入沢勇さん(45)=仮名=は凍傷による足の壊死(えし)でとうとう歩けなくなった。
昨年11月25日夜、氷点下の闇の中で決心がついた。「ここで死のう」。
下着1枚になり持っていたペットボトルの水を頭から浴びると、カラスの鳴き声が聞こえた。
「お迎えが来たかな」。安堵(あんど)のため息が自然と出た。
「誰にも迷惑をかけず、簡単に死ねる」。テレビで見た樹海を選んだ。
所持品はロープなどを入れたスポーツバッグ一つ。免許証など身元が分かるものは処分した。
だが、「簡単」ではなかった。首をつるのに適した木が見つからない。
犬の遠ぼえも聞こえる。「食われて死ぬのだけは嫌だ」と木の棒を抱えて寝た。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080720-00000002-maip-soci