SEDテレビ キヤノンが独自技術で開発 米特許使わず
商品化も危ぶまれていた次世代の薄型テレビ「SED(表面電界ディスプレー)テレビ」に
ついて、キヤノンが独自技術で開発に乗り出したことが分かった。当初は米国企業の特
許を使う計画だったが、特許使用権を巡る米国企業との訴訟が長期化し、商品化の時期
にメドが立たなくなっていた。すでに独自技術による試作段階に入っており、量産技術の
開発を経て商品化を目指す。
キヤノンが開発したのは、映像を映し出すために電子を放出する部分を製造する基幹技
術。これまで使うことにしていた米国のベンチャー企業、ナノ・プロプライアタリーの特許で
は、ガラス基板上に電子を放出する膜を形成し、カーボンで覆っていたが、安定性に問題
があることもわかり、キヤノンはカーボン以外を使う手法を開発した。
キヤノンは99年にナノ社から特許使用権を取得した。ところがナノ社が特許使用をめぐり
米連邦地裁に提訴し、今年5月の地裁判決はキヤノンが契約違反をしていると判断した。
現在は控訴審で審理中だ。
キヤノンは地裁判決を受け、07年内としていたSEDテレビの発売を、時期は未定のまま
当面見送ると発表。一方で、自社のビデオカメラなどとつながるテレビの商品化という悲願
を実現するため、ナノ社の特許を使わない方法を模索してきた。今後も訴訟は続けるが、
独自技術の採用で、判決に事業の行方が左右されるのを避ける。
http://www.asahi.com/business/update/1229/TKY200712290216.html