ペンギンはキョロキョロしている。周辺に敵がいないか、警戒しているのである。ま
た、同時にどの方向に向かうのか、作戦も練っている。しかし、所詮はペンギンであるこ
とから、海へと戻るしかない。産卵という大役を終えた後は、我が子のために餌を取りに
行かなくてはならないのだ。そのとき、もしかしたら思わぬ災難に巻き込まれるかもしれ
ない。二度と我が子に会うことなく、生き別れてしまうかもしれない。悲しいストーリー
だが、現実は現実のものとして受け入れなくてはならない。今晩米国から吹くブリザード
に、ペンギンは恐れおののくことになりそうだ。
(黒岩 泰)