【フジVSライブドア】日本の株式制度崩壊の危機

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414山師さん@トレード中
http://www.maconsulting.co.jp/PDF/050225_PR(J).pdf
転載します。

                                           2005 年2 月25 日
       ニッポン放送の新株予約権発行に対する当社見解

                                  株式会社M&Aコンサルティング

当社は、ニッポン放送の株主として、同社が2 月23 日に発表した、第三者割当による新株予約
権の発行は、日本の株式市場にとって重大な悪影響を与えかねないと非常に危惧しております。
その主な理由として、以下の3 点をあげることができます。
・ 発行済株式総数を大幅に超える多大な新株予約権を株主総会の決議なくして特定の第三
者に対して安価にて発行するものであること(発表のあった23 日の終値6,800 円に対して、
新株予約権の行使価格は5,950 円と時価よりも低く、新株予約権の発行価格も約336 円に
過ぎない)
・ 新株予約権の行使により調達する資金(最大約3,000 億円)の使途が明確でなく、希薄化し
た株式の価値が将来的にどの様に高まるのか株主は理解できないこと
・ フジテレビによる公開買付け期間中の発表であり、株価に大きな影響を与えたこと(発表の
あった23 日の終値6,800 円に対して、発表後の24 日の終値は6,280 円)
今回の新株予約権は、特定の株主を排除することを目的として、フジテレビに対してのみ発行す
るものと思われますが、本来、株式会社制度においては、取締役が株主を選ぶのではなく、株主
が取締役を選ぶのであります。仮に、経営陣が好まない株主に自社株式を保有されたくないので
あれば、株式を非公開化して自社株式に譲渡制限を付ければよいのであり、企業経営者には株
式公開の意味をきちんと理解していただきたいと思います。
また、新株予約権が行使されれば、フジテレビ以外のニッポン放送株主は、保有株式が希薄化
します。フジテレビとライブドアとの争奪戦のなかで、ニッポン放送の取締役会では他の株主の存
在が忘れ去られているのではないでしょうか。
今般のように、企業買収への対応策について、株主の判断を経ずに、株主価値を毀損する可能
性が高い施策を、経営者自身で決定することが認められたならば、これまで行われてきた経済産
業省や法曹界での防衛策に係る議論は意味をなさなくなるのではないかと懸念いたします。
もちろん、日本の公開企業においてようやく根付き始めた、株主による経営陣に対するチェック
やガバナンスの努力も台無しにしてしまいます。日本の株式市場にて運用している、国内の年金・
信託、外国人等の資金が愛想を尽かして海外に逃げ出してしまうことでしょう。高齢化社会におけ
る有力な資産運用の選択肢が減り、諸産業へのリスクマネーの供給に支障が出るため、わが国の
将来に中長期の悪影響が出ることは必至です。
今回の件については、法廷に判断を委ねられますが、私どもは裁判所が公開企業の本質とわが
国株式市場への甚大な悪影響を洞察し、公正な判断を下されることを期待します。
以上