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風吹けば名無し:
千年以上前に書かれた万
葉集にも記述がみられる、古くから親しまれている果物であり、和歌山
県が名産地として有名である。大変馴染み深い
松竹梅の格付けは、かつては松竹柿梅であった。庶民の
戸口から見えるそれらを都から近い順に並べたことが由来らしい。かの織田信長が敷いた楽
市楽座は外国人にも開かれた市場であり、東アジア固有種である柿は大変珍重された。ビロードが八分銀で取引される時代に
六分銀で取引されたことからも柿の価値の
高さが伺える。当時の様子を伝える資料としては
台<うてな>に登りて柿を盗まふ異人、という題の絵巻物が
2点残されており、これらは国の重要文化財に指定されている。柿は大勝を意味する縁起物でもあり15
78年元旦に安土城で行われた茶会では丹羽長秀によって柿40貫が献上されたとされる。ちなみにその
3年後には羽柴秀吉によって鳥取城が落とされ、信長の目指す天下布武がぐっと現実的なものになった。